保活!② ドキドキの一時預かり
保育園へ一時預かりの登録に行ったときに、さっそく次回利用の予約をした。
その日は6月5日。
4月から私が通っている着付け教室の最終日だ。
それまでは着付け教室に毎回サトイモを連れて行き、邪魔をしたりぐずったりするのを、先生にもあやしてもらいながらだましだましやってきた。
集中して学ぶことなんて全然できなかったから、最終回はくらいビシッとやりたかった。
それに、最後だけは自分の着物を持ってきて着てみましょう、ということになっていた。
先生に借りている練習用の着物なら着られるけど、自分のじゃ勝手が違って上手く着られない、っていうんじゃ目も当てられないからだ。
初めての一時預かりに、着付け教室の総仕上げ。その日は私の一大イベントだった。
一時預かり前夜
夫はサトイモを時預かりに出すことをやたらとかわいそうがった。
これまでお姑さんや友達に家の中でみてもらうことはあっても、よそに預けて他人にサトイモをみてもらうことがなかったせいもある。
「たかが半日、たった3時間預けられるだけで何がそんなにかわいそうなんよ」
「これまでの経験からするとな、なみ松が迎えに来て、ママの顔を見た瞬間、あいつ泣きだすんやで。あいつの泣き顔を想像したら、なんかかわいそうでな…」
確かに、どこかへ出かけた際に私がトイレに行く間誰かに見ていてもらったりすると、サトイモは平然としているように見えて、私が戻った瞬間にホッとして泣きだす、ということが何度かあった。
夫はその瞬間を見ていない。私から話を聞いただけだ。
なのに、まるで目に浮かぶようだという。
まあ、泣きだすかもしれない。
泣いているサトイモを見て、私も泣いちゃうかもしれない。
だけど、そんな経験だって必要だ。もう1歳を超えているんだから。
保育園に登録に行ったとき、案内された1歳児クラスに知っている男の子がいた。
去年まで 児童館でときどき会っていたヨースケくんだ。
まだ2人ともおすわりだったころ、ボールプールの中でお互いに顔の触りあいをして、ヨースケくんがいきなりサトイモのほっぺにチューしたんこともあったっけ。
そういえば、ママが4月から育休復帰するので皆さんとはサヨナラ、という挨拶をしていた。
そうか、ここの保育園だったのか。
顔見知りの子が一人いるだけで、私はなんとなくほっこりした気持ちになっていて、もしかしたらサトイモも同じように感じていたかもしれなかった。
ヨースケくんが毎日通ってるんだもの、たった3時間の何がかわいそうなものか。
世の中には0歳児から預けられてる子だってたくさんいるんだから。
そんなことを思いながら、前日の夜、サトイモの持ち物にマジックで名前を書いていった。
手拭きタオル、食事用エプロン、昼寝用バスタオル、オムツ、お尻拭き、お着換えセット…。
忘れ物がないように、スマホのチェックリストアプリで何度も確認した。
保育園の持参物はあっという間に用意できたのだけれど、時間がかかったのは私の着付けの持参物だった。
母が買ったそのままの着物にも長襦袢にもしつけ糸がまだついていて、それを外す作業に時間がかかった。
そのうえ、長襦袢には半襟という襟の部分を縫い付けないといけない。
着物は頻繁に洗えるものではないので、汚れやすい襟の部分に半襟をつけ、取り外して洗えるようにするパーツだ。
どうやってつけるのか先生にきいてみたけど、
「どんな縫い方でもいいんですよ。外しやすいように、ザクザクっとつければ」
と言う。
ザクザクって言われたって…。
お裁縫も苦手な私は、その作業をするのにさらに1時間以上かかってしまった。
め、面倒くせえ…。
着物、現代人のライフスタイルには合わないはずだわ…。
案ずるより産むがやすし
気が張っているせいか、寝不足でも不思議と眠くなく当日を迎えた。
保育園グッズに着付け一式という大荷物。カバンにリュックにウエストポーチという家ででもしそうな格好で家を出た。
サトイモは普段、昼食前後に昼寝をするのだけれど、この日は昼食を食べてからすぐに出発をすると、ベビーカーの中で寝てしまった。
眠ったまま保育園に到着、そのまま預けてしまった。
起きてビックリ、知らない場所でママもいなかったら、泣くだろうなぁ…。
でも、それも試練だ、ガンバレ息子よ!
そう思いながら、着付け教室の時間までまだ30分ほどあったので、去年くらいに元町商店街にできた焙煎コーヒー豆屋さんCOFFEE ROAST ONE'Sに寄った。
できた当初は授乳中だったからコーヒーも飲めなかったし、卒乳してからも焙煎の煙がすごいのでベビーカーでは遠慮して、これまで入らなかった店だ。
コーヒーを待っている間に試飲させてもらいながら、一人で好きに行動できる幸せをかみしめた。
シングルだった頃は当然のことだった自由が、今はこんなに貴重。
そんなウキウキした気分で着付け教室へ。
時間がかかったわりに不細工きわまりない半襟を先生にみてもらう。
「そうそう、これで大丈夫ですよ」
と言いつつ、
「端は合ってるけど、襟の真ん中が浮いてるでしょう。肝心なのは外から見える首回りなので、真ん中から縫い始めたほうがよかったかもね。マチ針は使いました? でも、これも勉強ですよ」
と指摘されてしまった。
最初から教えてくれよ~、と思いつつ、確かにやってみて初めて気づくことばかりだったので、やらないままだとわからなかったかも。何事も勉強。
そんな半襟にばかり気を取られていたので、着付け一式全部持ってきたつもりが、伊達締めを入れるのを忘れていた。
必ず何かはチョンボする性格。
「伊達締めさえ持ってきていたら、着物のまま帰れたのになぁ」
と言うと、
「お草履がないからそれは無理よ」
と先生に笑われた。そうだそうだ、履物のこともすっかり忘れていた。
それでも、最は後ちゃんと自分で着物を着られるようになった。
せっかく覚えた着方を忘れてしまわないか心配ではあるけれど、一通りの知識は得たつもりなので、万が一のときに喪服を着るのももう怖くない。
着物を片付けると、もうお迎えに行く時間。
バタバタと先生に挨拶を済ませて出ていった。
保育園に着くと、サトイモは園長先生と事務室で待っていた。
泣きだすかと思ったら、おう、という感じで振り向いただけであった。
「起きたときに少し泣いただけで、そのあとはハイハイで園の中をいっぱい探検して、機嫌もよく、元気いっぱい遊んでいました。おやつのニラチヂミも完食で、食べっぷりが気持ちよかったです」
一時預かり担当の先生が今日の様子を教えてくれた。
先生たちを困らせることなく過ごせたことが頼もしくて、帰りの道すがら、
「えらかったねぇ、本当におりこうさんだったねぇ」
とベビーカーの後ろから声をかけた。
家に帰ってから、サトイモが気に入っている「ロケット発射」(と呼んでいる「たかいたかい」)をして、抱きしめてあげた。
何がそんなにえらかったのか理解していないサトイモは、目をクリクリさせて笑っているばかりであった。
夫が帰ってきてから報告をすると、
「そうか、あいつ泣かんかったか」
と満足気だったけれど、それよりも、
「おやつがニラチヂミって…?」
とそればかりに突っ込んでいた。
保活!①保育コーディネーターさんの提案
「保育園落ちた日本死ね」が話題になったのは2016年のこと。
3年以上経った今も、待機児童問題は解決されていない。
その当時は全くの他人事として、「へ~、保育園て大変なんだなぁ」程度に思っていた私が、今や切実な問題として直面することになってしまった。
私の会社では3歳の誕生日まで育休が取れる。
子どもがいてもいなくても、もういい加減働きたくなかった私は、
「そんな素晴らしい制度があるんなら、めいっぱい休まなきゃ損だもんね~」
と何も考えずに上限いっぱいの期間で育休期間を申請した。
これがまずかった…。
調べてみてようやくわかったのが、3歳から保育園に預けるのが最も困難なのだ。
今は小規模保育園という0~2歳児までを預かる小さな保育園があって、それがどんどん増えている。
運営側からすれば、ビルの一室などそれほど広くないスペースでも開設できるからお手軽なのだ。
一方、親からすれば、都会にあるから仕事の行き帰りに送り迎えでき、利便性が高い。
元町近辺でも、ここ1、2年で新しくできた小規模保育園がいくつあるだろう。
ところが。
小規模保育園は2歳まで。
3歳になったら、子ども園や幼稚園、大きな保育園に移らないといけないのである。
それを、
「3歳の壁」
というらしい。
ちゃんと考えている親御さんたちは、早いうちに小規模保育園に通いながら、0歳から5歳まで長期間預けられる大きな保育園への転園希望を出し続けるという。
そんなこと全然知らなかった…。
よりにもよって私は一番保育園に預けにくいところに育休期間を設定していたのだった。
コーディネーターさんとの面談
そんな事情だからできるだけ早めに「保活」を始めなければならない。
まずは手始めにと、保育サービスコーディネーターさんに会いに行ったのが4月の半ばだった。
ほかの行政にもいるのかどうかわからないけれど、神戸市には区役所に保育サービスコーディネーターという人がいて、家庭の事情に応じた保育サービスの情報を教えてくれたり相談に乗ってくれたりする。
正直いって、そういう人が必要なほど、保育サービスについては認定だとか申し込みだとか制度が複雑だ。
保育園や幼稚園に入るのって、いつからこんな難しいことになったんだろう?
コーディネーターさんに私の育休期間について相談すると、やはり大変あきれられてしまった。
しかもわが社の規定では育休期間の短縮ができない。
延長はできるけど、私は最初から上限で申請してしまっている。
ニッチモサッチモ、である。
「もし保育園に落ちてしまったらどうすればいいんでしょうか?」
と尋ねると、
「認可外保育所に入って転園希望を出し続けるか、幼稚園に入って、お迎え等はおばあちゃんなどご家族親類の方に協力してもらい、幼稚園が休みの日は認可外保育所に預かってもらうか、でしょうね」
ということだった。
ちなみに、保育園と幼稚園は何が違うのか、知らない方のために補足しておくと、幼稚園は午後早く終わるうえに夏・冬・春休みがあり、保育園はフルタイムで預かってくれるうえに夏休みなどがない。あと、幼稚園はお弁当、保育園は給食である。
つまり正社員が復帰しようとするなら絶対保育園。幼稚園なんてありえない。
「認可外が一概に悪いとは言えませんよ」
とコーディネーターさんは言う。
けれど、おススメされた近い認可外保育所はオフィスビルのワンフロアで園庭がない。
悪くないのかもしれないkど、できれば園庭がある広々した認可保育園がいいに決まっている。
そして提案されたのが、「一時預かり」という制度だった。
保育園や子ども園で一日もしくは半日、子どもを一時的に預かってくれる「一時預かり」という制度があるらしい(園によってはやっていない園もある)。
「入園を考えている候補の園で、一時預かりを利用されてみてはどうですか? 雰囲気がわかりますよ」
教えてもらうまで、そんな制度があることも知らなかった。
一時預かりで預かってもらったら、体験入所的に園の雰囲気ややっていることもわかるし、預けている間私の自由時間もできる。
まさに一石二鳥!
さすが保育サービスコーディネーターさん、いいことを提案してくれた!
3園目でようやく
3歳から預けたい保育園・子ども園の候補は5つある。
それに、もし保育園に落ちた場合にキープしておきたい認可外保育園が1つ。
これから育休があけるまで、一時預かりでサトイモを預かってもらって、各園のいいところ悪いところを体験していこうと考えた。
保育サービスコーディネーターさんによれば、4月は年度替わりで先生方もバタバタしているので、4~5月は一時預かりを受け入れないところもあるという。
4月は問い合わせも遠慮し、5月中旬になってからようやく保活再開。
まずは第1希望・第2希望の園に電話してみた。
ところが、どちらの園でも今は定員いっぱいで、一時預かりの受け入れができない状況だといわれた。
「一時」預かりなので、いずれ空く日も出るだろうと思っていた私は、「当分は無理です」と断られたことにショックを受けていた。
「こちらは急がないので、いつ頃になったら空きがでるでしょうか?」
と尋ねると、
「保育所に入れなかった方を一時預かりで預かっていたりもするので、当分空くことはないです」
と疲れた声で回答があった。
「一時」ですら預かってもらえない。
いつ空くかもわからない…。
ようやく「保育園に入れない」という待機児童の現状を実感する。
3園目。
第1希望と第2希望の園は老舗で評判も高い園だったんだけれど、3園目は一昨年できたばかりの新しい保育園。
まだ評判も何もわからない。
電話をしてみると、感触が全然違う。
園で面談をして登録すれば、一時預かりが利用できるようになるという。
そして5月27日、そこの保育園で一時預かりの登録をしてきた。
新しい施設はとてもキレイで、
「第1希望・第2希望の園よりステキかも!」
と満足してしまった。
(続く・・・)
5月下旬の出来事あれこれ
初めての神戸まつり
5月19日日曜日。
児童館や子育て広場が閉まっている土日はお出かけ先が悩みの種だ。
この日は特に予定を考えていなかったので、途中まで家でだらだらしていたけれど、神戸まつりだということに気づき、サトイモをベビーカーに乗せ、散歩がてら出かけて行った。
大丸の北側がちょうどパレードの終点になっている。
そのあたりだと観客もまばらだったので、ベビーカーでも陣取ることができた。
ただし終点なので、ちょうど目の前にきたところで演技や演奏が終了してしまう。
それでも、目の前をパレードが通っていくのは見た目も華やかだし音の迫力も違う。
サトイモにはできるだけいろんなものを見せてやりたいから、来てよかったと思った。
「ほらみてごらん!面白いねぇ!」
と一生懸命サトイモに促す。
けれどかんじんのサトイモは、パレードは見ずに道路脇の花壇にばかり気を取られていた。
確かに、スターウォーズにプレスリーなど、赤ん坊には興味薄いかもしれん。
スターウォーズのパレードでは、かなり完成度の高いチューバッカが歩いていて、
「見て見てサトイモ!本物みたいだねぇ!」
と指をさした瞬間、チューバッカが頭をパカッ!と取って、暑さも限界なおじさんが現れたときにはガッカリ…。
終点だから仕方ないけれど、、、見えないところで取ってほしかった…。
ま、サトイモは花壇しか見てなかったけどさ…。
ちなみにサトイモが一番反応したのは、特に有名でもなさろうなウサギの着ぐるみだった。赤ん坊はそんなもん。
ちなみに、その前日には児童館で初めて人形劇を見た。
劇が始まる前には親子で歌ったり踊ったりする遊びがあったのだけれど、その間はずっと脱走を繰り返していたサトイモ。
これまでも絵本の読み聞かせやみんなで手遊びする時間にじっとしていられたためしがなかった。
人形劇も同じかなぁ、と思いきや、子ブタの人形が出てくると目を輝かせてじっと見ていた。
お話が終わるまでうろうろすることなく、ちゃんと座っていてくれたことに感動。
ちょっとしたことに日々成長を感じる。
ママ・パパプラネ
5月25日土曜日。
バンドー神戸青少年科学館というところへ、夫とサトイモと3人でプラネタリウムを見に行った。
そこは月イチで「ベビーとママ・パパのためのプラネタリウム」というプログラムをやっている。
内容が子ども向けというのではなく、ベビー連ればかりなので泣いても騒いでもお互い様ということにしようね、という企画。
12星座についての解説が主な内容で、入るときに係員に伝えておけば、子どもの星座のときに名前を呼んでくれるというお楽しみつき。
3月末に生まれたサトイモは牡羊座。
そういえば、これまでサトイモの星座についてあまり考えたことがなかったなぁ。
これから雑誌とかで星占いを見かけたら、牡羊座のとこも読むようにしなきゃね、なんて考える。
人形劇のときと違い、サトイモにプラネタリウムは難しく、とにかく暴れる暴れる…。
夫と交替で抱っこしていたのだけれど、身体をねじって逃げていこうとするので私も夫も押さえつけるのに必死。
泣いている赤ちゃんもたくさんいたけど、じっとしててくれるなら泣くくらいなんてことないよ。
そうこうしているうちに、あごに強烈な頭突きを食らわされた。下唇を思い切り噛んで、ひどく内出血してしまう。
プラネタリウムはよかったけれど、一番記憶に残ったのは頭突きによる唇の内出血、というトホホな思い出。
耳が遠いせいかボケのせいか
父からこんなメールが届く。
「今日病院に行くお母さん元気風呂にはいていた、そのあいだプレハブのせんせと面談お母さん状態はよいといていた」
プレハブの先生というのが何かわからないが、たぶん主治医の先生のことだろう。
もう月末も近くなっているので、入院費の支払いをちゃんと済ませてくれたかどうかも気になって、父に電話をかけた。
とはいっても、父との電話は会話が噛みあわない。
対面していてもトンチンカンなのに、電話だとなおさら聞き取れなくなるからだ。
「サトイモくんは元気か?」
と聞いてきので、
「今日はサトイモを連れてプラネタリウムに行ってきたのよ。暗闇で暴れて頭突きされて痛かったぁ」
と話すと、
「ず?」
と頭突きが聞き取れない様子。
何度も、「ずつき!」「え?」「ず!つ!き!」「う?」と耳の遠い老人のイライラ会話が続いたあと、
「だから頭をゴツンとやる、頭突きだよ!ず、つ、き!」
「ず、つ、き?」
「そう、ずつき!」
「頭突き…? …そんなん知らんわ」
ズコーっ!!
知らん…わけないと思う。
これもモウロクなのかなぁ…?
あ、「プレハブの先生」がどういう意味なのか聞くの忘れた。
自宅で筋少ライブ
5月26日日曜日。
オーケンファンの友達がうちに遊びに来てくれた。
ここ10年ほど、いつもオーケン関連のライブに一緒に行っていた友達だ。
妊娠以降、ライブに行けないうえ彼女とも会えなくなって寂しいかぎりだった。
今回は、筋肉少女帯の新しいライブ映像のブルーレイが出たので、一緒に見ようということで来てもらった。(タイトルは「メジャーデビュー30周年記念オリジナルNew Album「ザ・シサ」リリース・ツアーfinalライブ完全版!!」とめちゃくちゃ長い…)
サトイモも、私と友達が手を振ったり飛び跳ねたり折りたたんだりしているのを見つつ、一緒に楽しんでいた。
音楽に合わせて手振りをするという点では、筋少ライブも『おかあさんといっしょ』も同じ!
私たちがオーケンに夢中になっている間に、何気にサトイモが一人でたっちして2歩くらい歩いた。
「え?!今歩いたよね!?もっかい歩いてごらん!!」
しかしこの日はそれ以降サトイモが歩く姿を見せることはなかった。
なかなかじらしやがるぜ。
ついでに最上魁星も
ライブ映像を見たあとは、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』(これまたタイトル長い!)の悪役・最上魁星ことオーケン出演シーンのみをチャプターで選んで鑑賞。
いやぁ、白い最上さんはやっぱり最高に可愛い。
この映画のDVDは、ずっと買おうかどうしようかずっと迷っていた。
というのも、Amazonのプライムビデオで見ることができていたので、
「ネットで見ることができるなら、わざわざDVD買うのもなぁ…」
という気持ちになっていたのだ。
けれど、新井浩文やピエール瀧のことがあって、出演者が事件を起こした場合に作品が配信停止や出荷停止になることを知った。
ちゃんと映像ソフトを買っとかないと、ライダー俳優の誰かが何かやらかしたらこの映画を二度と見られなくなるかもしれないぞ?!と、慌てて購入したのだった。
そういえば、この映画の劇場公開時は友達と一緒に見に行った。
そのときお腹にいたサトイモ。
今は伝え歩きで足にまとわりついている。
時の流れは本当に早い。
ハイハイ競争ふたたび。
2019年5月18日土曜日は再びハイハイ競争に出場した。(ブログを書く時間がなくてこんなにも日にちが経ってしまった…)
前回とは主催も場所も違う。
前回は「078」というイベントの一環で行われていただけに、プロのアナウンサーが司会と実況中継をしていて、各レース一位の赤ちゃんには表彰もあったけれど、今回はオーディエンスも参加者の家族くらいしかいず、2人もしくは3人ずつの競争で、競争というより参加することに意義があるというゆるい雰囲気。
おかげでサトイモも緊張することなくレースに臨めた。
前回と違うのはシステムもで、前回は母親一人が誘導していたのに対し、今回はスタート地点とゴール地点で一人ずつ必要となっていた。
そこでお姑さんにもご協力いただき、スタート地点はお姑さん、ゴール地点は私、夫はカメラマン、というふうに役割分担を決めた。
前回の轍を踏まないように、誘導グッズも考えた。オモチャなんかじゃ全然ダメ。
今回は必殺のテレビのリモコンを持参。もしくは食い意地を利用して「しまじろうのベビーボーロ」で誘導!
しかもレースまでそれらを与えておいて、直前に取り上げるという完璧な作戦!
ところが、本番直前にベビーボーロがなくなるというトラブルが発生した。
夫と2人でカバンの中をひっくり返して探したけれど見つからず、「まあええわ、リモコンだけで大丈夫」とレースに臨んだら、スタート後、お姑さんがベビーボーロを取り出してぐいぐい誘導しはじめた。
「おかんが持ってたんか…」
とつぶやくカメラマンの声が録画に入る。
お姑さんのベビーボーロ、私のリモコンのダブル攻撃で面白いように突進してきたサトイモ。対戦相手をぶっちぎりでゴール。
ゴール直後、目的を達成できて喜んだ私は、何気にリモコンもお姑さんのベビーボーロもカバンの中へ。
それらを触りたいがために頑張って進んできたサトイモは、最後の最後に突然取り上げられて大声で泣き出してしまった。
ごめん、ごめん! そりゃ取り上げられたら泣くわなぁ。ベビーボーロを食べて、存分にリモコンを触ろう!
今回、素晴らしい雄姿を見せてくれてママは本当に誇らしかったよ!
IKEAと4歳児のヒミツ
サトイモが遊ぶ様子を見ていると、何ができるようになったのか、今何がお気に入りなのかがすぐわかる。
5月に入ってからは、人差し指でボタンをポチッと押すのが気に入っているようで、ボタンを押すと音が鳴る系のオモチャでよく遊んでいる。
オモチャならいいけれど、リモコンやハードディスクレコーダーのボタンを押されるから、なかなか困る。
突然電気が消えたり、テレビの音量ボタンを押し続けて爆音を鳴らしたり、なんだかわからない番組が録画されていたり。
リモコンはなるべく手の届かない高い場所に置いたり隠したりして努力しているけれど、そうすると、
「リモコンどこいったぁ??」
と自分で置いておきながら場所がわからなくなって捜索ばかりしている。
リモコンは対処できるけれど、問題なのがブルーレイレコーダーだ。
私がもともと持っていたテレビ台は扉がないタイプだったため、サトイモがボタンをさわりたい放題なのだ。
ブルーレイディスクのトレイ開閉ボタンを触られるとヒヤヒヤする。ただでさえ、ディスクを入れるトレイって故障しやすいのに!
扉がついているテレビ台をなるべく早く購入しなければ、サトイモにブルーレイレコーダーを壊されちゃう!
IKEAの子どもたち
夫はIKEAが好きな人で、引っ越し後の我が家は夫が買ってくれたIKEAの家具だらけである。
今回も夫がIKEAのカタログからめぼしいテレビ台を検討してくれて、買ってくれることになった。
私は今回でIKEAに行ったのは3回目だけれど、いまだにIKEAの「2階のショールームで見て1階で商品を取る」というシステムに慣れない。
長時間のショッピングではサトイモが退屈してしまうこともあり、商品のピックアップや精算は夫に任せて、私とサトイモは待っていることにした。
IKEAにはスモーランドという子供向けプレイルームがある。(スモーといっても相撲ではないよ、念のため。)
なんと無料で子どもを預かってくれる。
ただし、対象年齢は4歳から。なので残念ながらサトイモは対象外。
そのかわり、スモーランドの入り口横にちょっとした子供向けスペースが設置されている。
壁にはアニメーションが流れ、靴を脱いで入れるようになっていて、IKEAで売っているオモチャで自由に遊べるようにしてある。
サトイモをフロアに置くと、大好きなキッチンセットをめがけてさっそくハイハイし、フライパンにかじりついた。
私はサトイモが変なものを舐めないか、つきっきりで様子を監視。
「それは口に入れるのはやめとこうね。代わりにこっちはどう?」
サトイモとそんなふうにやりとりしている私に、ある女の子が話しかけてきた。
「この野菜、何?」
IKEAの野菜のオモチャについて、名前を尋ねてくるのだった。
「きのこ。シイタケかな?」
「これは?」
「長ネギかな」
「これは?」
「オクラかな。大きさが変だけど」
「これは?」
「トマト」
「みーちゃんトマト知ってる。トマト食べれるよ。でもちょっとだけ嫌い」
子どもの意味のない発言に対して、ブラックなみ松としては、
「だからどうした!」
と思わなくもないのだけれど、幼児と会話するコツは「オウム返し」と「褒め」の二つだと何かで読んだことがあるので、とにかくそれを実践してみる。
「あらそお? 嫌いなのにトマト食べられるの。すごいねぇ」
すると、その後みーちゃんはずっと私の周りで遊び始めた。
みーちゃんは4歳で、高松からやってきて、ポートピアホテルの12階に泊まっていて、おじいちゃんとおばあちゃんは今日は草刈りをしていて、昨日の晩御飯はオムライスで、今日の晩御飯はIKEAで食べるらしい。
妹のあーちゃんも、みーちゃんの周囲をウロウロしていて、まだ言葉がおぼつかないながらに姉をマネて私に声をかけてくる。
「あっ! ちょっとこっち来て!」
とみーちゃんが突然走って行った。
いやいやいや…。
こっちはサトイモから目を離すわけにはいかないので、困ってしまった。
サトイモはみーちゃんのことなんてどこ吹く風で遊んでいる。
私がついていかないことを理解すると、みーちゃんもあーちゃんもまた戻ってきた。
しばらくして、鍋にトマトをいっぱい入れてきたので、
「玉入れみたいだね」
と私が言うと、そこから鍋にトマトを投げ入れる遊びが始まった。
やがて、遠巻きに見ていたみーちゃんくらいの女の子がこぼれたトマトの球拾いをはじめ、
「じゃあ、そこから投げてみて」
と私が声をかけたら、その子も遊びに参加するようになって、幼稚園化に拍車がかかってきた。
女の子のお母さんが呼びに来た。
私はようやく解放される、とホッとしたのだけれど、
「もうちょっと遊ぶ!」
とダダをこねだしたので驚いた。
みーちゃんならまだしも、遠慮がちに参加していた大人しげな子が。
お母さんからは、
「遊んでもらってどうもすみません」
と声をかけられる始末で、なんだか気恥ずかしかった。
そもそも、遊んでやるつもりは毛頭なかったのだけれど…。
実は、前回IKEAに来たときも、同様だった。
「ぼく、でんぐり返りできるよ」
と突然私に宣言して、でんぐり返りを始めた男の子がいて、
「あら、上手にでんぐり返りができるのねぇ。すごいねぇ」
と褒めたら、その様子を見ていた別の子がやってきて、
「わたしもでんぐり返りできる」
とやり始めた。
でんぐり返りを褒めると、次には、
「わたし何歳でしょう?」
と飲み屋の会話のような質問を浴びせてきた。
「う~ん、7歳かな?」
と落語の『子ほめ』に倣って少し年上に答えてみると、
「ぶー!正解は4歳でした!」
と喜んでいる。
「もうちょっとちゃんと見て!」
と生意気なことまで言う。
「いろんなことが上手だからもっとお姉ちゃんなのかと思ったわ」
と答えると、今度は男の子が来て、
「ぼくは何歳やと思う?」
と尋ねてくる。
女の子と変わらないくらいなので4、5歳だろうと思ったけれど、それではプライドが傷つくだろうからと遠慮し、
「7歳?」
とアホのひとつ覚えのように7歳を繰り返した。
「ぶー!ぼくも4歳でした!」
「あらそう!大きいから7歳くらいかと思った!」
と同様のパターンで褒めると、彼らは親が迎えにくるまでひっきりなしに話しかけてきたのだった。
4歳児のヒミツ
先日Eテレで『4歳児のヒミツ ~子どもの行動をカガクする~』という番組を見た。
内容を簡単に言うと、10人の4歳児の行動をカメラで隠し撮りし、その行動を専門家が分析するというもの。
なぜ4歳児なのか、というと、そのころに人間は社会性に目覚めるんだそうだ。
あ~、だからIKEAで話しかけてくるのがみんな4歳児なのか~!
番組は、子どもたちの世界を知ることができてとても面白かった。
大人がいない場所で、子どもたちは子どもたちなりの流儀を持っている。
揉め事の調整役がいたり、みんなが納得できる妥協点を探ったり、友達を励ましたり励まされたり。
印象に残ったのは、幼稚園の名前を決めよう、という場面。
ここには先生がいたので、子どもだけの世界ではなかったのだけれど、子どもたちがちゃんと意見を出し合う。
いろんな名前の候補が出る中で、女の子は「ハート幼稚園」がいいと言い、男の子は「ダイヤル幼稚園」がいいと言う。男女で意見が割れた。
すると、
「ハートダイヤル幼稚園は?」
と提案した子が出てきた。
その後、
「ロボット幼稚園がいい」
と今さらな意見を出してきた子がいたのだけれど、それさえ吸収して、結果「ハートダイヤルロボット園」という名前になった。
専門家の先生(『すくすく子育て』にも出てる大豆生田先生)が解説で、「じゃんけんを使わずに話し合いで解決した」ところを評価していた。
大人の世界でも、意見が割れたらじゃんけん、よく使うもんね。
それか、じゃんけんじゃなければ、多数決。
でも、多数決が公平かというと、本当はそうじゃない。
4歳児のように、みんなが納得いく妥協点を話し合いで解決するほうがよっぽど「大人」だ。
利害じゃなくて純粋だから4歳児にはできることなんだろうな、と思う。
これって、政治家にぜひ見習ってほしい。
サトイモはまだちょっとしたやり取りができるようになったばかり。社会性にはほど遠い。
彼が4歳児になるのが楽しみになってきた。
ちなみに上記は、まだ水色のカバーがついたままの新しいテレビ台。
サトイモの初節句
今年のゴールデンウイークは、サトイモの初節句が中心となった。
とはいえ、初節句とは何をするものなのかわからなくて、とりあえず検索してみると、鯉のぼりや兜を飾り、祖父母を呼んでごちそうを食べ、お祝いをもらったりお土産を渡したりするようだ。
来てもらうとしたらお姑さんだけなのだけれど、ちょうど5日は親戚の法事だそうで、夫と2人だけで祝うことに。
となると、わざわざごちそうを用意することもなく、夫と私がおやつに柏餅とちまきを食べるだけのことだった。
…それじゃ普通の「子どもの日」じゃないか。
父のモウロクっぷり
前回帰ったとき、父にもうすぐサトイモの初節句だということを話した。
すると、
「初節句って、何の節句や?」
というので、
「男の子の節句は端午の節句に決まってるでしょ!」
とびっくりしてしまった。
「そうかなるほど、端午の節句か」
と父はうんうん頷いている。
そんなことを知らなかったはずはない。歳をとって忘れてしまったのだろうか。
こういうところに、父がずいぶんモウロクしてきたと感じる。
若い頃の常識が通じなくなってきた。
「九州の伯母さんなんかわざわざ電話かけてきて、従弟のお兄ちゃんの兜を送ろうかって言ってきたくらいなのに! お父さんが何もお祝いを考えてくれないなんて!」
と私が嫌みを言ったせいか、しばらくしてから、父からこんなメールが届いた。
「サトイモくんのせつくのお祝いだが、考えたが、ハモニカがいいと思います、たてかえてかつて下さい」
ハーモニカかぁ…、とは思ったが、せっかく父が考えたというので調べてみた。
しかし、赤ちゃん用だと吹いて音が出るだけのラッパと同じオモチャだし、幼児用だと3歳くらいからの楽器になるしで、なかなか1歳児に相応しいものが見当たらない。
そのうえ、値段のことを言うのも気が引けるけれど、だいたいが千円前後で、その金額でお祝いの品と言われても残念なかんじがする。
父には、「サトイモにハーモニカはまだ早いです」と断りのメールを入れたけれど、それについての返信はないままだ。
お祝いしようという気持ちで十分。
鯉のぼりの歌
柏餅とちまきを食べるときに、『こいのぼり』と『せいくらべ』の童謡をBGMとしてかけた。
最初、AmazonMusicでかけていたのだけれど、私が聴きたかった『鯉のぼり』の曲が出てこない。
私が聴きたかったのは、
「屋根より高いこいのぼり」
ではなく、
「いらかの波と雲の波」
で始まる歌だ。
幸い、Spotifyで調べるとそちらにはあった。
夫に尋ねると、「いらか~」で始まる『鯉のぼり』の歌を知らないという。
「いらか~」は「屋根より高い~」に駆逐されてしまったのか…。
ずいぶん前にテレビのクイズ番組で「登竜門」の語源についてやっていた。
どういう質問でどういう答えだったか忘れたけれど、鯉が竜門という滝を登って竜になったという中国の故事と、それにあやかって鯉のぼりを飾り男の子の成長を願うのだという話に、スタジオでは「へぇ~」の大合唱だった。
それを見ていた私は、
「『鯉のぼり』の歌詞に出てくるのに、なんで皆知らないの?!」
となんだか不服だった。
『鯉のぼり』の三番の歌詞はこうだ。
百瀬の滝を登りなば たちまち竜になりぬべき
わが身に似よや 男子(おのこご)と
空に躍るや 鯉のぼり
「この曲を知ってたら、鯉のぼりの由来もわかるし登竜門の故事もわかるし、一石二鳥なんだよ」
と夫に説明をすると、非常に感心された。
「竜になるためには滝を登らなあかんのやなぁ。滝やで。流れを逆走やで。サトイモもこれからの人生、つらいこともしんどいこともいっぱい経験せなあかんのやろなぁ」
「無理して竜にならんでええ。鯉のままでも楽しく生きれたらええわ」
そんなことを話しながら、ベランダで泳いでいるトイザらスの豆サイズの鯉のぼりをバックに、夫がサトイモを抱っこして記念撮影をした。
最近の出来事ダイジェスト
父の買い物
実家に帰ると、ダイニングテーブルに「高麗人参」の箱が置いてあった。
高そうなサプリメントだ。
父に尋ねると、電話がかかってきて注文したのだという。
これまでも父は、キューサイのヒアルロン酸、味の素のグリナ、サントリーのノコギリヤシ、日本薬師堂のグルコンEXなどなど、テレビでCMをしているサプリをよく買っていた。
しかし、たいていは自分から電話を「かけて」注文している。
電話が向こうから「かかってきて」、見たことも聞いたこともない会社の商品を買ってるのが非常に気にかかる。
実は3、4年前にも同様のことがあった。
そのときもやはり高麗人参で、電話勧誘で父が注文していたのを、たまたま私が家にいた週末に配達だったおかげで、代引きだったのを受取拒否することができた。
今は月イチでしか帰れないから、そんなところまで目が行き届かない。
通販ならまだマシだけれど、詐欺にひっかからないか、非常に心配である。
母の点滴
母を見舞いに行くと、手の甲に点滴の針が刺されてあった。
見ると針が折れ曲がっていて手が腫れている。
慌てて看護師さんを呼びに行った。
一昨日から熱が出ているので、抗生物質の点滴をしているという。
朝と夕と点滴するので、針は刺しっぱなしで固定しているらしい。
「痛そうに見えるけど、プラスチックの軟らかい針だから大丈夫ですよ。何度も刺すのも痛いから抜かないでおきます」
という。
納得できないでいると、しばらくしてから、
「朝の点滴のときは腫れてなかったそうなので…」
と針を抜いてくれた。
やはり家族がみていないと、こんな調子である。
病院に任せっきりにはできない。
その前日には父も見舞いに来ているのに、点滴をしていることさえ気が付かなかったという。
まったく目が節穴にもほどがある。
父が見舞いに来るときはたいてい母は寝ているらしい。
私が行くとたいてい起きている。
本当はどうなのだろう。
いつも帰り間際に、
「お母さん、ゆっくり寝てて。次に私がお見舞いに来るまで寝てていいんだよ」
と声をかける。
発熱のしんどさや点滴の痛みが、眠っている間に過ぎていてくれたらいいのだけれど。
夫婦の傷
夫がかつての同僚と久しぶりの再会を果たしたそうだ。
十年近く前に転職して会社をやめていった人で、偶然仕事を通じて再会し、飲みに行ったのだという。
彼が会社を辞めるまでは、長らく一緒に仕事をし、苦楽を共に経験し、とても懇意にしていた人らしかった。
夫が、
「あいつが『会社をやめてからいろいろありました』って言うから、『俺もいろいろあったで』って。あいつの性格も知っとうから、ほんまにいろいろな苦労があったんやろうなぁって想像したら涙が出そうになったわ」
と言う。
夫は普段そんなに情にもろい人ではないので、そんなふうに言うなんて、と珍しがっていたら、
「なみ松には想像できへんやろ。のほほんと暮らしてきて、たいして何の苦労もなかったやろうから」
と言われてカチンと来た。
何の苦労もなかったって…。
その日はそれ以後夫と口をきくのも嫌になった。
悪いけど、こんなふうに言われたことを女は一生忘れない。
たぶん、夫はもう忘れているだろう。
妊娠中に夫から言われた「おろさないの?」という言葉も、「そのお腹には百年の恋も冷めた」という言葉も忘れない。
夫は冗談のつもりで言ったのかもしれないが、女心は傷つきやすいのだ。
夫婦というもろい陶器のうつわは、こういう小さな傷が積み重なって、いつかひび割れ、水が漏れ、ガチャンと割れるのだろう。
入籍することになったとき、義母が夫に、
「どうせおまえはまた離婚するで」
と言ったらしいことを思い出す。
サトイモのハイハイレース
サトイモがハイハイレースに出場した。
普段は家の中を縦横無尽に高速ハイハイしているので、いつもどおりの実力が出せれば一等間違いなし!と自信満々で臨んだレースであった。
ところが、レースが始まっても動く気配がなく、私の呼びかけにもオモチャの音にも全く応じない。
それどころか、動いたと思ったら逆方向に進み始め、係員に3度も連れ戻される始末。
3人がとっくにゴールしたあとになって、ようやくまともに進みだし、猛ダッシュしたものの、結果は5人中4位。
夫は、
「情けない奴や。完全に場に飲まれとった。逆走したのはあの場から逃げ出したかったからや」
というけれど、私は単に反対側に置いていた私の靴が気になっただけだと思いたい。
やればできる子なはず。
二週間後にも別の主催者が企画するハイハイレースにエントリーしている。
今回の反省点を踏まえて、次は好成績を残したい。
平成で卒乳
平成の終わりをきっかけに、卒乳、つまり母乳をあげるのをやめることにした。
サトイモは離乳食を三食しっかり食べてくれる優秀な子なので、ずいぶん前から栄養は食事から摂れている。
日々の生活リズムもできているので、夜中にミルクを飲むこともなくなった。
それでも母乳を飲んでいたのは、睡眠導入剤として寝る前におっぱいを咥えさせていたせいだ。
つまり、入眠さえできればおっぱいはいらないわけで、私がどう決断するかというだけの問題だった。
きっかけは何でもかまわなかったので、時代の区切りとともに卒乳することにした。
これで令和の世にはカフェインを気にせずコーヒーや紅茶をガブ飲みできる。
夫のビールを「ひとクチちょうーだい」と味見することだってできる。
風邪をひいたら風邪薬が飲めるし、サプリメントだって「授乳中の方は~」という注意書きを気にせず飲める。
いろんな意味で平成に感謝。そして令和に乾杯。