3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

チケットを忘れて劇場に行ったバカ。

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金曜日の夜から実家に帰り、土曜日と日曜日は実家で過ごす。
土日、母はデイサービスに行ってくれるから、その間、10時から17時くらいまでなら外出可能だ。

普段、食料や日用品などの買い出しに行くのがせいいっぱいだけど、時々は特別なお出かけをする。

昨日の土曜は梅田芸術劇場へ、劇団☆新感線の『乱鴬』を見に行ったのだ。
梅田から姫路にある実家へは、17時までに帰ることはできない。
私の帰りが少し遅くなることは、ちゃんとケアマネさんに伝えて、段取りしておいた。

新感線の公演を見るのは、デーモン小暮閣下がゲスト出演した『星の忍者』以来。
なんと20年ぶりになる。

今回、観に行くことになったきっかけは、彼氏だった。
私と正反対で、演劇はもちろん、日本のポップカルチャー全般に対して、からっきし疎い。

「演劇というものを観たことがないから、一度観に行きたい」
というので、
「初心者にも楽しめそうな舞台といえば、新感線だね!」
と、チケットを取ったのだった。

初めて演劇を見る人を、「演劇嫌い」にしてはいけない。
「面白かった」と思わないまでも、絶対絶対、「つまらなかった、もういいや」と思わせてはならない!

なぜ新感線かというと、

☆話がわかりやすくて感動的なところと笑えるところがある
☆演出が派手
☆アクションシーンがある(男性にはウケるはず)
☆テレビで見たことがある俳優さんが出ている
☆キレイどころの女優さんがいる

というところを満たしているからだ。

知ってる俳優さんを生で観られるというのは、初心者にはポイントが高いはず。
その点、新感線なら主演が古田新太なので、知名度も実力も折り紙付き。
生粋の神戸っ子で地元愛の強い彼氏は、神戸出身というだけで古田新太に好感を持っていたりするし。

今回のゲストは稲森いずみ
それも、とりあえず彼氏が知っている女優さんだから、安心感。
女優さんがキレイなだけで、エンターテイメントとして満足感が出る。


そんなわけで、母をデイサービスに送り出してから、バタバタで出かけて行った。

彼氏とは三宮で待ち合わせをして、阪急電車の中で神戸の北区で橋げたが落ちた事故の話などをしていたところ、ふと、気が付いた。

カバンの中にチケットがない!!!!!!

何度も何度も確認したけれど、入っていない。
どうやら、実家でカバンの中身を入れ替えたときに、うっかり置いてきてしまったのだ。

どうしよう!!!!!

劇場へはぎりぎりの時間で向かっているので、とても取りに帰る時間はない。

そういえば。
2、3年前、職場の福利厚生で、新歌舞伎座のチケットを団体で買ったことがあった。
私が取りまとめの係をしていたのだけど、チケットを紛失した人がいて、泣きそうになりながら電話をかけてきた。
間違えてチケットを捨ててしまったというのだ。
ええっ!? 捨てたっておい…。
呆れつつ、チケット購入先の新歌舞伎座の担当者に相談をしてみた。
座席番号はわかるし(私が誰にどの座席番号のチケットを渡したか覚えていた)、その席をうちの団体が買っているのは明らかなことなので、なんとかなりませんか?と。

すると、こういう回答だった。
「開演まで待っていただいて、開演時間になってもその座席が空席だということが確認できたらお入りいただくということで、よろしいですか?」
もちろん、よろしいですとも!

あのとき何とかなったのだから、今回の場合もなんとかなるはず。
ネットでチケットを購入している履歴はメールで見せられるし、座席番号もなんとかなる!
家にいる父に置き忘れているチケットを見てもらって、座席番号を教えてもらおう!!

梅田についてから、慌てて父に電話をかけた。
携帯にかけたけれどつながらないので(また充電を忘れたにちがいない)、家の固定電話にかける。

「はい波野です」
「もしもし、お父さん! ちょっとお願いがあるんやけど」
「もしもし?誰?」

父の耳はだんだん遠くなってきている。
電話だと、本当に会話がかみあわない。
ふだんなら、耳が遠い年寄りでも聞こえるように話す配慮をするんだけど、こっちもチケットのことでパニクっているので、ゆっくり話す余裕がない。

「もしもし?ちょっとお父さんに助けてほしいことがあるのよ」
「何?」
「え?ちゃんと聞こえてる?」
「何や。誰や。」
「だから、お父さんにちょっとお願いがあるんやって」
「ほんで、あんた誰?」
「なみ松に決まっとうやろ! あんたの娘は何人おるんや!」

どうやら、父はオレオレ詐欺だと思ったらしい。
つい、イラついて怒ってしまったけど、私の言い方が悪かった。

それからは無事、父にチケットを見てもらうことができて、座席を確認できた。
よし!

そして、劇場窓口へ。

「チケットを忘れてきたんですが」

梅田芸術劇場の窓口の人は慣れたものである。

段取りは下記のとおり。

1.購入先と名前・電話番号を伝える
→劇場から購入先に購入履歴と座席番号の確認
2.開演10分前になっても、その座席に誰も座っていないことが確認できたら、その座席番号のチケットを7,500円で再購入
3.月曜日の消印有効で、忘れてきたチケットをキョードー大阪に送る
4.7,500円が返金される

まず驚いたのは、購入先(私の場合はe+)と名前と電話番号を伝えただけで、すぐに座席番号がわかったこと。
父と電話で素っ頓狂なやり取りをしなくてもよかったのだ。

それから、7,500円という金額。
2枚だから1万5千円。
た、高けえええ。
保証料みたいなもんなんだから、もうちょっと安くならないかなぁ…。

そして、チケット発送期限が月曜日という超スピード処理。
チケットと一緒に、返金のため550円の切手を同封しなきゃならない。
忘れてきたほうが悪いんだから、文句は言えないけどさ。

でもおかげさまで、無事入場でき、舞台を楽しむことができた。
彼氏も「初めての演劇鑑賞」を楽しんでくれたみたいだったし。

ただ、チケットを忘れて本当にバタバタしたので、彼氏には謝りっぱなしだった。

終演後は急いで実家に帰らないといけなかったので、帰路の電車の中、LINEで彼氏に誤りのメッセージを入れた。
チケットを忘れてごめんね、と。
すると、劇場ではさんざん私をバカにしていた彼氏が、

「オレも人のこと言えへんわ。劇場に携帯落としてきた…」

とのこと。
これまた失敗の重ね塗り。