3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

採血が上手になりますように。

スマホに入れている過去の日記を繰っていると、こんなのが出てきた。

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2014年3月10日。
母をT病院の内科へ連れて行った。
便秘と、逆流性食道炎と、貧血の薬のお代わりをもらうため。

月曜日の朝だからか、めちゃくちゃ待たされて、母もクタクタ。
退屈で母も私もウトウトしてしまったけど、待合室がやたら寒くて、
「寝たらあかんっっ!」
と何度も呼び掛ける。

診察では、私から質問した。
「パーキンソンのほうで出ているコムタンという薬に、鉄剤と一緒に飲むと鉄剤の効きが悪くなるってかいてあったんですが…」

すると先生は、「えっ?!」と言って薬剤事典を取りだし、
「そっちの薬は見てなかったからなぁ」
とつぶやきながら、ペラペラとページをめくった。
「ああ、ほんまやね。そやけど、鉄剤を増やすことはできへんからねぇ。鉄剤を飲むと気分が悪くなる場合があるので、2錠が限界やねぇ。じゃあ、血が増えてるかどうか、採血して調べておきましょか」

うながされて、母を連れて処置室へ。
採血のために腕捲りをしたあとは看護師に任せ、私は一旦お手洗いのためにその場を外した。

戻ってくると、なんだか上手くいってない様子。
何がどうかはわからないけれど、若い看護師が失敗して、「ごめんね、ごめんね」と母に誤っている。
指導役らしい年配の看護師は、
「血管が出てへんから仕方ない」
と彼女をフォローしているが、母には何もなし。
どうやら針を刺したのにもかかわらず、血液がとれなかったようだ。

そしてもう一度やり直し。
空の注射器に流れてくる血液はほんの少し。
注射器をポンプ状にシャカシャカやって、ようやくいくらか血が取れた。

「これだけじゃ、ダメですねぇ」
と若いほうの看護師が尋ねると、
「○○の検査もするんやったら、○ccじゃ足らんわ」
と年配が答える。

「じゃあ今度は左腕でいきましょか」
と年配が母に呼び掛け、母が、
「はい」
と返事をした。
ぼんやりしていた私は、
「え?あ、左腕?? 左腕は無理です」
と慌てて答えた。

「動かなくてもかまへんよ」
「いえ、そうじゃなくて拘縮してますから無理なんです」
「伸びひんの?ほなあかんな」
年配は明らかにムッとして、
「本人さんがハイ言うたったのに」
と吐き捨てた。

私がカチンときたのは言うまでもない。
「本人が判断つけられないから私が付き添ってるんですよ!認知症ですけど何か?」
…と、言いたかったけど、黙っていた。

自分の病識がない母の前で、母が認知症だということを言いたくないからだ。
看護師のくせにそんな配慮もできないのかと思うと、余計に腹が立った。

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もう2年以上前。
そのときもこんなこと書いてたのかぁ、とあまりに変わらない情景に呆れてしまった。

つい前回受診に行ったときも、やはり母の採血はうまくいかなかった。
相も変わらず、でっかい注射器でシャカシャカ。
全く血が流れて来ないので2回針を刺し直し、それでもダメ。
最終的には手首にある血管に針を射し、なんとか採血できたものの、内出血で大きな青アザができた。

一度だけ、別の総合病院で採血したことがある。
そこでは、注射器ではなくて、点滴みたいなチューブに小さな針がついたタイプの器具を使っていた。
それだと、スルスルとあっという間に採血終了。
思わず、
「すごい!こんな上手な採血は初めてです!」
と感嘆すると、看護師さんは照れ笑いしていた。

でっかい注射器じゃなくて、あの小さな針のチューブの採血器具を使ってくれないものだろうか。

ずっとそう思っていて、ふと思い付いた。

T病院の入り口に、ご意見箱が設置されてある。
改善提案など書いて入れる、あれだ。

先週、お薬のお代わりをもらいに行ったとき、待ち時間を利用して、意見アンケートを書いた。
意見を書く人はほとんどいないのだろう、アンケート用紙は黄ばんで、ホコリでザラザラしていた。

クレームではないこと、でも困っていることを伝えたくて、なるべく丁寧に書いたつもり。

祈る気持ちで箱に投函。
この箱の中身はちゃんと回収されるのかしら。
箱の機能自体が死んでなければよいけど。

まともな人が真面目に読んでくれますように。

そして、ああ、神さま、すべての看護師さんが上手に採血してくれますように。