3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

ジョジョバーで同一労働不同一賃金を嘆く

大槻ケンヂファンにとって、ジョジョといえば音石明なのだが、アニメでは先日待望の登場。

ヒビ割れメイクがところどころ形が異なっているのを、コマ送りでチェックするという嫌味な楽しみ方をしたばかり。

あるカットのヒビはコミックに忠実に(-_亻)、あるカットのヒビはオーケンのメイク(-_π)になっていたようだけど?(そして後者のほうが多かった。)

でもだからなんだといえばそれまで。

 

さて、水曜日の夜は、ヲタクな女友達と久々に会って食事。

二軒目どうする?と言いつつ、ふと、『ジョジョの奇妙な冒険』のコンセプトバー、ヘブンズ・ドアーを思いつく。

tabelog.com

 

昔からずっと気になっていたのに、これまでなぜか訪問の機会がなかったのだ。

f:id:naminonamimatsu:20160702213031j:plain 

 

地下を降りていき、勇気を出して扉を開ける。

f:id:naminonamimatsu:20160702213046j:plain

 

平日のど真ん中なのにお客さんでいっぱい。

みんな若い。

おばさん二人は壁際で小さくなる。 

その壁の横には、柱の男。

f:id:naminonamimatsu:20160702213100j:plain

 

店内はフィギュアやコミック、擬音などでディスプレイされていて、楽しい。

メニューもジョジョにちなんだカクテルが用意されていて、カクテルはお店のスタッフさんが、セリフとともに運んできてくれる。

 

ただ、メニューを見ただけでは、どんな味のカクテルなのかはわからない。

名前やキャッチコピーから想像するだけ。

お店に来る前はさっぱりした炭酸系の飲み物が飲みたいと思っていただけに、メニューとにらめっこが続く。

むむむ、これじゃあオーダーできないよ…。

 

残念ながら私はあまりお酒が飲めないので、ノンアルコールカクテルの中から絞る。

ちょうど先週、アニメで放送されたばかりの、「透明な赤ちゃん」が載っていたので、それを選んだ。

 

カクテル「透明な赤ちゃん」。

透明な飲み物が入ったグラスが運ばれる。

そこへ、スタッフさんによってジョセフの血が注がれ、氷の形が浮かび上がる。

氷が赤ちゃんに見立てられているというわけだ。

グレイトですよ、こいつは。

画像を取り忘れて申し訳ないけど、気になる方は行ってオーダーすればよろしい。

 

というようなジョジョバー。

カウンターの若人たちはジョジョの話で盛り上がっていたけれども、テーブル席のおばさんたちは職場の愚痴に花が咲く。

 

彼女もアラフォーシングル女性で、かつて私の職場で派遣社員として働いていた元同僚。

うちの職場も不景気のあおりで次々と派遣切りをしたのだが、彼女もそれで職を失った一人。

その後彼女は正社員の就職先を探して就活していたけれど、結局正社員の働き口が見つからず、現在は某公立病院で委託として働いている。

 

ところが。

3年ほど勤めていたその病院を、来月退職するという。

そうか、とうとう辞めるのか。

一緒に働いていたからわかるけど、彼女は真面目で有能だし、辛抱強い。

それでも、ずっとやめたいと言っていたくらいなのだから、よほど職場がひどいのだ。

 

そこの病院事務は、出向で来ている公務員と、委託職員で構成されているらしい。

第一に、とにかくそこの公務員が仕事をしないのだそうだ。

「病院ルートに乗る」という言葉があるくらい、その病院への出向はある種の左遷先になっているらしい。

(※すべての公立病院ではなく、‘その病院は’、ということ。念のため誤解なきように。)

 

左遷されるくらいだから、仕事ができなくて、問題があって、やる気がない職員がやってくる。

その仕事を、委託職員たちがカバーする。

しかし、委託職員も総じてあまり仕事ができない。

雇用をするときに人選をする人が無能なので、スキルが足りない人を入れてしまうのだそうだ。

 

職場というのは、仕事をしない人のところからは、仕事が逃げて行く。

逆に、仕事をするところに集中する。

真面目な人がバカを見る。

そんなものだ。

 

公務員 vs 委託。

仕事っぷりはどっこいどっこい。

しかし、そのお給料の差たるや、愕然となるほど雲泥の差があるらしい。

給与明細の仕分けをやっている彼女にとって、その差を見るにつけ、毎月ハラワタが煮えくり返ったそうだ。

 

他人の職場の、専門的な仕事の中身は計り知れないものだから、

「働かない」

「仕事ができない」

と言われても、どの程度なのかなかなかわからない。

ただ、聞いていて、

「ああそれは、職場あるあるだね!」

と思ったエピソードがある。

 

それは、シュレッダーの裁断くずの廃棄だ。

オフィス用のシュレッダーの場合、裁断くずのボックスがいっぱいになると、アラームがなったりランプが点灯したりして、廃棄を促すようになっている。

これがなかなか「黒ひげ危機一髪」みたいなもので、誰のときにそれが当たるかは運次第。

当たってしまったら、ゴミを捨てに行って、新しいゴミ袋をセットして、という作業をやらないといけなくなる。

みんなが使うものだから、できれば自分じゃなくて誰かがやってくれたらうれしいな、と思うのは人情だ。

 

だから、一度ゴミ捨てアラームが出ても、中の紙くずをギュギュっと押し込む。

そうすれば、少しスペースができて、あとちょっとくらいは裁断可能になる。

 

ギュッギュ。

ガーガー。

ほっ。

 

ギュッギュ。

ピーピー。

あーあ。

 

ギュッギュでもアラームが出たら、もう観念するしかない。

黒ひげが飛び出したのだ。

 

さてそれが、彼女の職場の場合、誰もシュレッダーのゴミ捨てに行こうとしない。

「誰かやれよ。自分だけが貧乏くじを引きたくない」

と皆が思っているため、シュレッダーはいつもパンパン。

みんながギューギューやっているので、圧縮されたゴミは相当な重量。

どんどん捨てに行きたくなくなる。

とうとう、シュレッダーをかけるのをやめてしまって、段ボールに書類をため始めた人も現れた。

 

さらにひどいのは、職場のフロアの引っ越し作業があったときのこと。

シュレッダーも移動荷物の一つだったそうだが、中身のゴミを入れたまま運搬したのだそうだ。

どんだけ捨てたくないねん!

 

似たような事象にコピー機やプリンタの用紙補充がある。

用紙切れを起こした場合、補充をするのは当たり前のこと。

これが彼女の職場では、切れっぱなしということがよくあるのだそうだ。

 

通常なら、コピー機の横にスペアの用紙を置いていなければならないところを、スペアも使ってしまって、なおかつ補充をしていないから、次の人が使うまで切れっぱなし。

次の人のことも考えて、なくなったら発注をするのは当然のはずなのに…。

今、自分の分さえコピーできればいい、という自分勝手な人が多すぎるというわけ。

 

「コピー用紙でよかったねぇ。トイレットペーパーだったらどうするん」

と私がチャチャを入れると、

「それやねん! トイレットペーパーもやで! 今日なんか3回もトイレットペーパーをセットしたんやから!」

というので笑ってしまった。

「とにかくうちの職場は、躾がなってない人が多すぎるわ」

 

昔、職場で上司に言われて、「5S活動」のポスターを作らされたことがある。

整理、整頓、清掃、清潔、躾。

その頭文字をとって、「5S」と呼ぶんだそうだ。

 

最初それを聞いたとき、反抗期若手社員だった私は、

「最初の4つはわかるけど、躾ってどうよ? Sが一つ足らんからコジツケ?」

と思ったものだ。

 

でも、今は躾が入っている理由がよくわかる。

 

次の人のことを考えて、シュレッダーの裁断くずを片づけたり、コピー用紙を補充したり、トイレットペーパーをセットしたりするような、ちょっとした心がけ。

それがない職場では、一緒に働いている人への思いやりが欠けている。

ちょっとしたことだけど、それがすべてを表しているかもしれない。

重要なことでもきっと、他者への配慮のかけた仕事をするだろう。

ひいては、生産性も低くなるに違いない。

 

ただ、なんでそこの職場がそうなってしまったのかを考えると、人の性格のせいではない気がしてくる。

そこが特殊な環境とも思えない。

 

左遷された出向公務員には、職場への愛着がない。むしろ嫌う。

委託職員は、職場に対する責任は持っていない。持つ理由がない。

だいたい、賃金が全然違うのだから、委託職員が率先して働くはずもない。

どちらも、その職場を良くしようと思う要素がない。

 

それじゃ、仕事を押し付けあう空気が生まれるのも当然だ。

彼女が退職したあとでも、きっとその職場は延々と躾の悪さを繰り返すんだろうな…。

次の職場では、彼女が正社員になって、いい仲間に恵まれますように。

あ、でも、そうなったら私なんかとはもう遊んでくれなくなるかも!?

 

そんなことを考えながら、透明な赤ちゃんを味わった三宮の夜。

「キミたち、ジョジョの話をしろよォォォォ!!!!」

と空耳が聞こえつつ、

「だってレッドホットチリペッパーのカクテルがなかったんですもの」

と心の中で独り言をつぶやいていた。