3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

『アンダー・ザ・ドーム』とシンクロする世界

アメリカ大統領候補のトランプさんが出てきたとき、
「ビッグジムみたいなおじさんだなぁ」
と思った。

ビッグジムとは、『アンダー・ザ・ドーム』というアメリカのドラマに出てくる人物。
アンダー・ザ・ドーム』は、スティーブン・キング原作のドラマで、去年BS のDlifeで放送してたとき楽しみに見ていた。

あらすじを簡単に言うと、
透明で大きなドームが現れ、チェスターズミルという小さな町を覆ってしまった。
町の人たちは外に出られないし、外から入ることもできない。
正体不明のドームは、軍の攻撃でも爆破できない。
予測不能な天変地異が起きるドームの中で、閉じ込められた人々のサバイバルが繰り広げられる。
そして徐々に明らかになるドームの正体…。
といったところ。

ビッグジムは、いつも自分が正しいと思っている傲慢な町のリーダー。
普段は中古車ディーラーをしている。
田舎のワンマン社長にありがちな、独善的で支配的な性格。

倫理観はそっちのけで、
「俺は、俺の家族と俺の権利を守るために戦う!町を守るのは俺だ!」
というかんじ。

町のみんなはそんなビッグジムを頼りにしている。
何かが起こると、彼の決定に従ってしまう。

ビッグジムは悪役に近く、私も嫌いなタイプ。
だから、チェスターズミルのみんながどうしてビッグジムを支持するのかがわからなかった。

しかし、アメリカへの長期出張が多い私の彼氏は、
「わかるわかる、アメリカ人はああいうの好きやからな」
と言う。

だから、トランプ氏が出てきたときから彼氏は、
「大統領になる可能性、かなりあるんちゃう?」
と言っていた。
まさかまさか、と笑っているうちに、ほぼ半分の確率で現実化しそうなとこまできている。

ああいうワンマン社長タイプがアメリカ人の好み、というのが彼氏談。
ビッグジムとトランプ氏のイメージがかぶる。

ドラマでは、外部と閉ざされた町の中で、ビッグジムの権力欲がどんどん暴走していく。
倫理観はそっちのけで、強く押し進める一方的な正義。
自分に不利益なものには、迷いなく銃の引き金を引く。
人々はそれに喝采を送る。

ビッグジムが町のリーダーなら、トランプ氏が大統領でもおかしくない。


★ここからは、『アンダー・ザ・ドーム』のネタバレになるのでご注意を★


後半の『アンダー・ザ・ドーム』は、地球外生命体の女王が共同体を支配する世界に突入。

だんだんと酸素が薄くなってきたドーム内において、女王は共同体にとって足手まといになる者を消していく。

屋根から落ちて脊椎を損傷した仲間を自殺させようとする。
老人を列に並べ、湖に沈めていく。
次は子供たちを…。

女王さえ生き延びれば種は保存でき、他の命は共同体のために捧げられるという宇宙人(?)。

女王に洗脳された人々は、それが正しいと思っているので、障害者や高齢者を殺すことが当然だと思っている。

ドラマなので、主人公たちがその企てを阻止していき、車イスの青年は助かり、溺れた子供は救出される。

先月障害者施設殺傷事件が起きたとき、ニュースを聞きながら、私はぼんやりと『アンダー・ザ・ドーム』を思い出していた。

まさか現実の日本で、宇宙人の考えを持っている人間がいるとは思わなかった。

誰だってケガをする。病気もする。
今健康で元気な人も、いつかは弱者になる。
弱って動けなくなったら死になさい、なんて世界で、安心して生きていける?

女王中心の虫なら、心もなく、平気で生きられるかもしれないけど、人間なら無理なはずだ。

なのに、ドラマではなく現実で、日本で、虫のような考え方をする人間がいるなんて。

ドームの閉塞感が、知らず知らず世界を覆っている。
気がついてないだけで、もう私たちはドーム内にいるのかもしれない。