3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

繁昌亭で『神も仏もアルマジロ』

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昨日は天満天神繁昌亭に『桂かい枝松尾貴史ふたり会』を見に行った。
松尾貴史さんのTwitterで、中島らもさんの噺を上演すると知ったからだ。

実は私、らもさんが最後に現れた神戸BIG APPLE三上寛さんのライブに行っていた。
店を出るとき一緒に行った友達たちはみんな、寛さんとらもさんに握手をしてもらったのに、私だけ、らもさんと握手しそびれてしまった。

十代の頃、大好きだったらもさん。
でも、最新作を読んでいない、という引け目で遠慮してしまったのだ。

まいいや、また今度、機会があるだろう。

そう思ったのが大間違いで、その未明、らもさんは階段から落ちてしまったのだった。

なんであのとき、らもさんに握手してもらわへんかったんやろう・・・。

また今度なんて、ない。

それからは、自分がやりたいことは遠慮せずできるだけやろう、と意識している。
だって、二度とああいう後悔はしたくないもの。


ふたり会では、松尾貴史さんがらもさんの『神も仏もアルマジロ』を話してくれた。
淡路島の南淡町から通っている社員が、東京出張のために上司の家に泊まるが、その家庭が宗教戦争中、という噺。

うちの職場にも淡路島から元町まで毎日通っている同僚がいるし、かつての中国語教室で一緒だった女の子も淡路島から大阪まで通勤していた(それで三宮の教室に通うっておい!)。
淡路から通うのは神戸近辺ではよくある話だけれど、それは明石大橋ができてから。
南淡町が今は合併で南あわじ市になっていることや、主人公が船で通っていることから、ちょっと時代を感じたりする。

来る前まで、松尾貴史さんの落語ってどうなのかなぁ、芸達者なのはわかるけど本職の落語家と一緒に並ぶと・・・、と内心思わなくもなかった。
でも、実際は「なんで私、『本職じゃないのに』みたいなアホな心配してたんやろう?」と不思議になるほどの安定感。

噺も面白かったけど、何よりうれしかったのは、中島らもさんのモノマネで、らもさんの超大作『甚兵衛の一生』をやってくれたことだ。
2014年、らもさん没後10年の記念イベントの冒頭で、松尾貴史さんがらもさんに扮して出てきたのを思い出した。
何もかもそっくりで、
「まるでらもさんが生き返ったみたいだったね」
と、終了後に皆が口々に言っていた。
そのそっくりなモノマネで、らもさんのテッパンネタをやるんだから、面白くないわけがない。


そんなわけで、今回の一番の目的はらもさんの噺だったのだけど、びっくりしたのは桂かい枝さん。

お、面白い!!

失礼ながら、かい枝さんの落語を初めて聴いた。
とにかくマクラが可笑しくて可笑しくて、ツボにはまりまくり。
何でもない言葉の一つ一つが可笑しい。

兵庫県民は米朝一門をひいきするところがあって(私だけか?)、上方落語一番の注目株は桂吉弥さんだと思っていたけれど、自分の井の中の蛙ぶりを知る。
神戸の蛙は大阪を知らなきゃ。

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繁昌亭にも初めて行ったけど、いい寄席だった。
神戸では、元町の風月堂で月一開催の恋雅亭か、神戸アートヴィレッジセンターでやっているKAVC寄席で落語が聴ける。
でも、常連客でチケットはすぐ完売するし、回数が少ないからタイミングが合わなかったり。
繁昌亭のような素敵なハコで、常設の寄席がうらやましい。

ブログのような雑文だって、落語のように面白い話が書けたらなぁ、と思う。
らもさんのようなエッセイが書けたらなぁ。

けれど、上手にまとめようとすればするほどまとまらない。
まるで服についたカレーの染み。
まったく落ちません。
…しょーもな。