テントさんはトロピカルに偲びたい
先週水曜日の朝は、悲しいニュースで始まった。
テントさんが交通事故で亡くなったらしい。
早いもので、亡くなられてちょうど1週間だ。
テントさんは、めったに見られないという理由から、ツチノコ芸人と言われていた。
それでも、私は少なくとも4回は生でライブを目撃している。
覚えているだけで4回なので、実はもっとかもしれないし、テレビも合わせるともっとになる。
ツチノコの目撃情報としては、多いほうだろう。
そう、私はテントファンだった。
テントさんのネタというと人間パチンコと蜘蛛の決闘が有名で、訃報のニュースで紹介されていたのは、ほとんどその2つだった。
それらも面白いけど、私はテントさんの歌のほうが好きだ。
先日テレビで「歌ネタ王決定戦」を見たときに、「テントさんもこれに出たらいいのに」と思ったものだ。
「はじめにきよし」とのコラボを見た以外は、たいていアカペラで自作自演。
歌うときは、なぜかサングラスをかける。
カッコつけたいからか照れ隠しかはわからないけれど、サングラスは芸人から歌手へ変身した合図なのだ。
CDも2枚出している。
シングルの『わらびもち』と、アルバムの『デカメロン』。
『デカメロン』には、テントさんのスタンダードナンバーとも言える『行き先は若者2003』が収録されている。
テントさんのキャッチコピーに、「カルトを超えたデカルト芸人」というのがあるように、なんとなく哲学的な名曲だ。
検索したら、歌詞をアップしている人がいた。
http://blog.goo.ne.jp/hemerocallis-citrina/e/5914b2de11383ed2927f23e78743bbc1
テントさんを偲んで、久しぶりにCDを出してみた。
歌詞カードを読む。
『一から十まで八つ目ウナギ』の歌詞が目に止まった。
今となっては示唆的なかんじがする歌詞である。
アルバム『デカメロン』の良さは、下手に伴奏などを加えないで、ステージでテントさんが歌うときそのままに、ギャグも含めて収録されているところだ。
曲の前には、必ず「この歌は、〇〇〇に歌いたい」と言うのだけれど、『一から十まで八つ目ウナギ』は、
「この歌は、ちょっぴりダイナミックに、そしてダイナマイトに、そしてADSLに、そしてトロピカルに、歌いたい。」
と紹介さていた。
ADSL という時代を表す単語が、笑わしよんな。ウィ、ウィ、ウィ。
去年の5月20日、大阪のトリイホールで「テント64 一笑健明願夢春」を見た。
まさかあれが最後になるとは。
その帰りに、人々に囲まれている白髪の紳士を見た。
テントさんの師匠、上岡龍太郎氏だった。
上岡龍太郎がテントさんをすごく可愛がっていたのは有名な話。
憎まれっ子世に憚るの逆で、神様に愛される人は早死にするらしい。
テントさんは上岡龍太郎だけじゃなく、神様にも好かれてしまったのだろう。
神様も、ツチノコ芸人がどんなんか見たかったんちがうかな。
まあそんなんですよ。
どんなんや。
ギョッ。