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3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

父の膝の骨折と、誤診だらけの病院の話

もともと土曜日は、私と母がインフルエンザの予防接種を受けに行く予定だった。

どうせ病院へ行くついでだし、父のケガの具合も診てもらったらどうかという話になった。

 

「まだ痛むんやったら、ちゃんとお医者さんに診てもらったら?」

と私が言うと、父は、

「診てもらったんやで」

と言う。

 

どこの病院か尋ねると、高血圧の薬を処方してもらっている近所の脳外科だった。

そもそも脳外科で転んだケガの具合がわかるのかどうかも疑問だが、ここの病院と我が家は因縁がある。

 

もう10年ほど前になるが、母がときどき胸がキューっと苦しくなると訴えていた。

母も高血圧のお薬をもらいにT井脳外科を受診していたので、定期受診の際に先生にそれを相談した。

心電図の結果、T井先生は、

「気のせいですよ」

と言い、異常なしの診断を下した。

 

2か月ほど経って、それでもまだ胸の痛みに襲われるので、母はもう一度T井先生を受診。

やはり異常なしと言われたけれど、

「こんなに苦しいのに、気のせいなはずはない!」

と、T井脳外科を出たその足で、別の総合病院に行った。

 

結果は、心筋梗塞

緊急入院で担当に当たってくれた循環器科の先生は、

「すぐに病院に来て、命拾いしましたね」

と言ったという。

もし、あのときT井先生の言葉を信じていたら、母は死んでいたかもしれない。

 

私としては、

「T井先生の誤診で母が殺されかけた!」

という気持ちなのだけど、父は、

「脳外科やから、心臓のことはわからんかったんかなぁ?」

と、それ以後もT井脳外科に通い続けている。

 

去年の夏は父が脳梗塞を発症。

そのときも、最初はT井脳外科を受診していた。

めまいがして足がうまく動かない、という症状を自覚して、病院を訪れたのだ。

ところが、診察券と保険証を忘れてしまい、呑気な父は、

「また明日来るわ」

と受付で引き返す。

翌日、T井先生に診てもらうものの、

「土曜日に日赤の専門の先生が来るから、土曜日もう一度来なさい」

と言われ、また日延べに。

結局、自覚症状発症から5日後に3度目の来訪をしたものの、日赤病院への紹介状を書いてもらっただけ。

日赤病院で検査のうえ、2週間の入院となった。

 

いったい、T井先生は何が治療できるんだろうか?

地元のいろんな人に話を聞いても、評判は最悪である。

それでも父は、T井脳外科に通い続ける。

常識では考えられない。

 

「T井先生も歳とってモウロクしてるんちゃう?まともな診察できるの?」

と私が悪態をつくと、父は、

「このごろ若くなっとうで」

と言う。

おじいさん医師の若作り?それともアンチエイジング

「見た目なんか関係ないし!お医者さんは腕やんか!」

「それと、先生、女になったんや」

ええっ!?せ、性転換手術!?ニューハーフ脳外科!?

…なわけはなくて、これまでいた老先生のほか、後継ぎとして息子とその嫁が医師として勤務し始めたというだけの話だった。

言い方が紛らわしいわ! アンジャッシュのコントかよ!

 

「T井先生、ちゃんと診てくれたん?」

「ちょっと触って、腫れとんなぁ、言うて、シップ出してくれた」

だめだこりゃ。

レントゲン撮影すらしなかったらしい。

息子と嫁が加わっても、どうも病院の体質は変わらないみたいだ。

 

土曜日、地元の総合病院で母を内科へ、父を整形外科へ連れて行った私。

車イスの母と違って、父は杖をつけば歩けるし話すこともできるのだから、父の付き添いは不要だろうと思っていた。

 

しかし、待合室で看護師さんから、

「今日はどうされましたか?」

と尋ねられた父の、

「別に。どうもせえへんけど?」

という返答を聞いて、ひっくり返りそうになった。

 

「転倒して、膝を打って、歩くと痛むんでしょ!」

「え? ああ、そうそう」

父は平然としている。

どういうボケだ?

父も母も両方なんて、面倒見きれないよ!

 

問診のあとは、看護師さんが父を引き取ってくれたので、あとは母と内科の待合室で順番を待っていた。

どうやら父の整形外科の診察のほうが早く終わったらしく、看護師さんがわざわざ私のところに来てくれて、報告をしてくれた。

 

「あのね、お父さん、膝の皿が割れてたんです」

ええーーーーっ!?!?

ずっと平気で歩いてたのに、骨折してたなんて!!

「幸い、割れただけでズレてなかったのでね、手術は必要ありません。マジックテープで止める簡易ギプスで固定するだけです。ズボンの上から止められますからね」

 

看護師さんが去ったあと、簡易ギプスを足にはめた父がヨチヨチ歩きでやってきた。

「膝、割れてたんやって?」

「これ、ブサイクやなぁ。こんなんはめて、格好悪いわ」

父は自分の膝が割れていたことよりも、ギプスをはめて歩くことの体裁ばかりを気にしていた。

 

たまたま母の受診のついでがあったおかげで、父を病院に連れてきてよかった。

あのままT井先生に診てもらっただけで済ませていたら、どうなっていたことか。

骨折してるのに、シップで治るか!

 

それにしても、父の膝が完治するまで最低1か月はかかるという。

年の瀬のせわしいときに、まったくもう。