健康食品あれこれ
実家の庭になっている柚子の実が傷み始めたので、いくつかをちぎって、お風呂に入れることにした。
湯船に浮かべるときには、洗濯ネットの中に入れる。
見た目はよくないけれど、終わったときに回収しやすいからだ。
母がやっていた生活の知恵。
ネットに入れる前に、つまようじで柚子に何か所か小さな穴をあける。
これも母に教わった。
そうすると中の果汁が出やすくなるし、香りもいい。
ぷすぷすとつまようじを刺すと、ふーっと柑橘系の良い香りが広がった。
さあ、柚子風呂に入ろう、と浴室に入ってシャワーを浴びる。
ふと、洗い場の片隅に白い物体が置いてあることに気が付いた。
父のブリーフである。
また漏らしたのだろう。
洗おうと思って置いていたらしい。
仕方がない、さっとすすいで、たらいに着け置き洗いでもしておくか、と手に取ったら、中が茶色く汚れているので、パッと手を放した。
そ、そっちを漏らしたのか…。
さすがに洗う気がなくなり、浴室の片隅に戻した。
どうせ何年も履いているブリーフなのだし、お風呂から上がったら、ビニール袋にでも包んで捨ててしまおう。
黙って捨てないと、うっかり父に言ったなら、
「捨てるのはもったいない!洗う!置いといて!」
と言うだろう。
けれど、父は怠惰なので長期間洗わずに、そのまま置いておいて、次の週に私が片付けるのが関の山だ。
そんなことを考えながら、柚子風呂に浸かった。
しかし、気のせいか、浴室中にうんこの匂いが漂ってくる気がしてならない。
柚子の良い香りが台無し。
柚子の香りVSうんこ臭。
こうやって私の生活から潤いが蝕ばまれていく。
「お父さんはそうやけど、お母さんはどうなん?」
と、ときどき聞かれる。
私が口にするのが父への文句が多いからだ。
しかし、母については、
「相変わらず」
と答えるしかない。
良くも悪くも安定している。
相変わらずなのは良いことだ。
治ることのない進行性の難病にとって、時とともに悪化して普通。
踏みとどまれているだけで、よし。
先日の神経内科の受診の際、
「顔色もいいし、見た感じお元気でそうですね」
と主治医に言われた。
排尿が少ない問題は相変わらずだけど、「相変わらず」やれているのは褒めてもらっていいくらい。
難病情報センターのサイトによれば、大脳皮質基底核変性症は「発病後寝たきりになるまでの期間は5~10年が多い」そうだ。
うちの母の場合は現在8年目。
一般的に5~10年なのであれば、それを超えてやろうじゃないか。
というのが、私一人が思っている野望。
治療法のない中、ちょっとでも進行を遅らせることができるなら、何でもやってみようと思うのが家族の心理である。
そこで、これまで手を出した流行の健康食品などを挙げてみたい。
1.ユーグレナ
何にでも効くという万能健康食品ユーグレナ。いわゆるミドリムシ。
うちはバイオザイムというカプセルを買ってみた。
しかし、母はカプセルがうまく飲み込めず。
カプセルの中を出して、粉末をヨーグルトに混ぜてみたけど、おそろしく不味かった。
結局、私自身が飲み続けているのだけど、便秘解消にはなっている気がする。
調子もいいような、気がする。なんとなく。
ダイエット効果もあるらしいけど、私には全然効果なし。
結局、サプリメントなんかじゃなく、痩せるにはそれなりに食事制限と運動をしなきゃダメって話。
2.チアシード
お水で膨らませてから使用する、トロミのあるゴマのような種。
最初はヨーグルトに混ぜて食べさせていた。
でも、よく噛まずに飲み込んで誤飲したら怖いのでやめた。
夏の一時期、母がミキサー食しか食べられなかったときに、キュウリの甘酢漬けとチアシードを一緒にミキサーにかけて食べさせた。
私は自分で美味しいと思って作っていたけれど、母の食が進まなかったのを見ると、嫌な味だったのかもしれない。
結局これも、私が食べている。
3.アマランサス
粟やヒエに似たスーパーフード。
雑穀なのに、カルシウムや鉄分が豊富なのだそうだ。
うちではごはんを炊くときに、炊飯器に2合の白米と一緒にスプーン1杯のアマランサスを混ぜている。
アマランサス自体はプチプチしているのに、ごはん全体がちょっとモチモチしたような食感で美味しい。
お米を炊くときに足すだけなので簡単だし、美味しくて栄養価も高い。
今も続けられているものの一つ。
4.ココナッツオイル
もう1年以上前の話だが、『世界ふしぎ発見!』で、毎日ココナッツオイルを2さじ食べた人が認知症が改善された、というのをやっていた。
その後、さっそくココナッツオイルを買ってきて、母に舐めさせた。
味について嫌がりはしなかったけれど、舐めるというのだと、うまく飲み込めないときにむせたので、食べさせ方を変更し、ヨーグルトに混ぜることに。
ココナッツオイルは25℃より寒いと固まり、温かいと溶ける性質がある。
冷たいヨーグルトに混ぜると当然固形なわけで、つぶつぶの食感が残るかんじ。
私はそれも美味しいと思うけれど、人によって香りの好き嫌いが大きそう。
母は文句を言わないけれど、父は嫌がって食べない。
5.アルカリイオン水素水
病気の進行や老化を促進するのが活性酸素なので、アルカリイオン水素水に本当に抗酸化作用があるなら、一定の効果はあるのかもしれない。
胃腸にもいいらしい。
浄水器をアルカリイオン水素水の発生器に変えたので、飲みものや料理に使うのはいつもこの水。
けど、それが日常なので、効果のほどはわからない。
6.マヌカハニー
友達が勧めてくれて、昨年末から母に一日1さじを与えている。
マヌカハニーには、免疫力を高める効果や、殺菌・抗菌作用があるらしい。
ただし、マヌカハニーの中でも、「UMF10+」以上か「MGO100」以上をうたっているものでないと、効果はないという。
「独特の苦みというか、ちょっとクセがあって、美味しいハチミツじゃないよ」
と友達は言ってたけれど、私は全然大丈夫な味だった。
最初は母にスプーンで舐めさせたけれど、美味しそうな顔をしていたので、母も平気な味にちがいない。
ただ、やっぱり舐めると誤飲の可能性も出るので、紅茶に溶かしたり、ヨーグルトに混ぜたりしている。
効果はわからないけれど、これも継続しようと思っているもののひとつ。
このほかにも、黒ニンニク、アマニ油、酢しょうが、ごぼう茶、エゴマと、試したものを数え上げたらきりがない。
キヌアとタイガーナッツも買って封を開けてない。
手を出してないもので、思いつくのは酵素くらいかも。
私の良くないところは、次々手を出して、継続しているものが少ないところ。
「良くなる」ってことがないだけに、効果がわからないんだよなぁ。
あと、お気づきだと思うが、ほとんどのものはヨーグルトに行きつく。
ヨーグルトに全部をぶち込むわけにはいけないから。
今混ぜてるのは、せいぜい、ココナッツオイルとマヌカハニーくらいかなぁ。
母を寝たきりにさせないで10年以上を目指すためには、鰯の頭も信心から。
節分にはちゃんと鰯も食べたよ。