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3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

人間椅子の『威風堂々』ツアーと靴下

神戸チキンジョージ人間椅子のライブ盤『威風堂々』ツアーを見に行った。
ツアータイトルどおり、演奏は威風堂々。
重低音の波に気持ちよく揺られ、リラックスして脳にα派が満ちる気がする。
ゴリゴリのハードロックなのにこうも心地よく感じるのは、ボーカル2人の声と、和を感じさせる音階のせいかしら。

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関西では『イカ天』の放送がなかったので、1990年前後当時、私は人間椅子を全く知らなかった。
その後数年経って、人間椅子のベスト盤『ペテン師と空気男』を初めて聴き、
「なんて私好みの‘ど真ん中ストレート’を付いてくるバンドなんだ!」
と感動の出会いをした。
…にもかかわらず、その後、人間椅子のライブを見るまでに10数年を要してしまった。
今は、去年、今年と引き続き、神戸で人間椅子のライブが見られて本当にうれしい。
今回は大好きな『天国に結ぶ恋』が聴けたのが特に良かった。

長い間、CDの人間椅子しか知らなかった私にとって、ライブでしか味わえない楽しみだと思ったのはMCだ。
音楽はヘビーロックな3人だけれど、それと反比例したほんわかするMCが楽しい。
特に研ちゃんの青森弁がすごくよくて、わじーとの掛け合いも、仲良し同士のおしゃべりっぽくてすごくいい。

今回のMCはわじーが上梓した自伝『屈折くん』がメインだったけれど、それとは別に私が衝撃を受けたのが、研ちゃんとノブさんはキレイ好きなのにわじーが「不潔好き」だという話だった。
わじーは昔、1ヶ月に1回くらいしかお風呂に入らなかった、という話はまだいい。
そんなことよりもギターの練習だ、という理屈もわかるし、庵野秀明のおかげでそういう天才がいることは世の中に広まっているので、そこにはあまり抵抗感がなかった。
けれど、ショックを受けたのは研ちゃんがつぶやいたこの話だ。
「俺には靴下を3日履くっていう文化はないね」

*****************

私の実家のベランダは父の寝室の横にあり、私が洗濯物を干す音で父が目覚めることがよくある。
今日も私が洗濯物を干していると父がようやく目覚めて、着替えを始めたところだった。
干し終わったとき、父はちょうど靴下を履くところだったのだが、その様子を見て驚いた。
「お父さん!!その靴下、私の!!!」

父は、
「ほんまかいや」
と言ったものの、手を止めない。
黒地にグレーのダイヤ柄が入ったハイソックスは、どう見ても女性用だ。
「お父さんそんな可愛い柄の靴下持ってないでしょう!! やめてよもう!!」
と泣きそうになる私に、父は平然と、
「もう右足履いてもとうのに、ええやんか」
と、脱ぐどころか、左足に履く手を止めない。

「やめてやめて!!今すぐ脱いで!!」
「なんでや、もうええやんか。どっちにしたって洗濯せなあかんのやから」
「なんで?」
「昨日から履いとうもん」

私のショックたるや、相当なものであった。
女性用靴下、しかも私の靴下が履かれてしまったこと。
しかも2日間履くということ。
そのダブルショックで卒倒しそうになり、私は壊れたレコードのように、
「やめてよもう!信じられへん!やめてよもう!信じられへん!」
と繰り返すばかりだった。

父が服を着替えなくなったのはいつからだろう。
私が洗濯物を催促しなければ、いつまでも同じ服を着ていることがある。
下着ですら、だ。

脳梗塞を患って退院後しばらくは使い捨ての紙パンツを履いていたのだけれど、そのときも、
「捨てるのはもったいないから、漏らすまで履く」
と言って、何日もパンツを履き続けたことがあった。
父がお風呂に入っていたときに、脱いであるパンツからただならぬ異臭が漂っていた。

若い頃はそんなことなかったはずだ。
家事の一切をやっていた母が病気になり、洗濯をしたりお風呂を用意したりできなくなってから、父がだんだん「不潔好き」になっていった気がする。

歳を取るごとに、
「何もかも面倒くさい」
と言い出した。
お風呂に入るのも、服を着替えるのも、すべてが面倒だと言う。
ケアマネさんは、
脳梗塞の後遺症もあるんちがいますか」
と、父の不潔を優しく許してくれるけれど、本当に病気のせいかどうかはわからない。

そんな父を見てきているので、まだ50代に入ったばかりのわじーが靴下を3日履くのが心配でならない。
歳を取るごとに加速するかもしれないのに、今からそれではどうなっちゃうんだろう?!?!

何かのテレビ番組で、介護スタッフが好きな利用者さんの条件ランキング、というのをやっていて、第一位は「清潔な人」だった。
そりゃそうだ。
というか、そうじゃない人が多いという裏返しな気がする。
世の中の高齢者にはなるべく気を付けてもらいたい。
私自身も決してキレイ好きじゃないので、「歳を取るほど清潔に」を心に刻んでおこう。