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3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

スカヨハ『ゴースト・イン・ザ・シェル』に大満足。

毎年「なりたい顔ランキング」が発表されていて、今更の話だが2016年の女性1位は石原さとみだったらしい。
そのニュースを見たとき彼氏が、誰の顔になりたいか訊いた。
私はしばらく考えてから、
「ローラ!」
と答えると、すかさず、
「外人になっとるやないか!」
と突っ込まれた。

攻殻機動隊』がハリウッドで実写化されるらしい、しかもキャストがスカーレット・ヨハンソンらしい、と聞いたときの私は、全く同じ突っ込みを入れた。
草薙素子が外人になっとるやないか!と。
日本人じゃなくていい。せめて東洋系の女優さんであってほしかった。

漫画やアニメの実写化となると、原作ファンは厳しい評価をするものだ。
キャスティングもそうだし、ストーリーもそうだけど、自分のイメージとちょっと違うと、ファンは受け入れなくなる。
だから、今回の実写化は見るのをためらっていたけれど、私のゴーストが、「これは見とけ!」と囁くので、先週OSシネマズ神戸ハーバーランドへ見に行った。(※ネタバレ御免。)

冒頭にスカーレット・ヨハンソン「ミラ」と呼ばれたときは、
「ミラて!ジョボビッチかよ!ウルトラバイオレットかよ!」
と唇を尖らせてしまった。
そうか、やっぱり私が期待する攻殻機動隊じゃないかもしれない、と。

ところが。

www.ghostshell.jp

一筋縄ではなかった。
原作ファンがっかり現象、そんなことは十分わかって作られている。
だから、これまでの作品を踏まえ倒して、あらゆる攻殻機動隊シリーズを折り込んできた。
1995年の押井守監督の劇場オリジナル版だけでなく、『イノセンス』も『STAND ALONE COMPLEX』も『2nd GIG』もきちんと踏襲している。
オリジナル版が踏まえられるのは当然としても、それ以外もきちんと押さえているとは。

高層ビルの雑居アパートを見上げる空の隙間に飛行機が横切る構図を見たとき、あまりに押井守的なので鳥肌が立った。
芸者ロボットの顔がパッカリ開くお化け屋敷的映像や、クラブにおける銃撃戦、ジュリエット・ビノシュの女性研究者は『イノセンス』の引用だろう。
また、バトーの飼い犬として登場するバセットハウンドも、ファンとしてはニヤリとさせられた。しかも名前が押井守の愛犬と同じガブリエル。
つまり、「わかってるなぁ!」とファンに思わせることに長けているのだ。

トーリーの核となるところは『2nd GIG』をなぞっていて、クゼが少佐の元彼という設定になっていた。
クゼも少佐と同じく、なんで白人やねん、と突っ込みたくなるところだが、実は日本人だったのだけど、陰謀によって殺されかけ、全身義体化の実験材料にされていた、という背景が浮かび上がってくる。
つまり、少佐も、元は草薙素子という日本人だったのに、全身義体化され、記憶も消されていたというわけだ。

ま、それなら東洋系じゃなくても納得がいく。
もし私が全身義体化するとして、好きな身体を選びなさいと言われたら、スカーレット・ヨハンソンになるのも悪くない。
いや、むしろ積極的になってみたい!

クゼはラスト、死に際に少佐をネットの世界へ誘う。そのあたりは人形使いも重ねられているようだ。
押井守版では、少佐は最後にネットの海へ消えていくけれども、この実写版では、少佐は元彼クゼの誘いを断り、この世界にとどまる決断をする。
生身の女性であるスカーレット・ヨハンソンがやっていることで、少佐がより女性的で、感情の揺らぎを感じさせる人間に描かれていた。
少佐というと、圧倒的な強さが魅力なんだけど、実はスカヨハの少佐はちょっと弱さが見える。
『ARISE』の素子も、若い時代の話なだけに、それまでより少し弱いところがあったが、それに近い素子像なのかもしれない。

クゼは撃たれて絶命するのだが、そこへバトーが現れる。
昔の記憶を取り戻した少佐に、バトーが本当の名前を尋ねる。
「モトコ…」
と答えた少佐に対し、バトーが、
「でも、俺たちの少佐だよな」(←うろ覚え)
みたいなことを返すシーンには思わずうるうるしてしまった。

どのシリーズでも、素子とバトーの関係にはキュンキュンしてしまう。
絶妙にビミョーな二人の関係は、実写版でもそっくりそのまま。
トーの出番はそれほど多くなかったけれど、彼のタフだけど気さくで温かい雰囲気がよく出ていた。

他のキャストでは、荒巻課長がビートたけし、という点に注目が集まっていたが、容貌が似ているようでなんか違う。
何が違うんだろう、と間違い探しのように考えると、ハゲとヒゲだった。
アニメと同じ容姿にすることはできただろうけど、ハゲヅラかぶってヒゲをつけていたらコントに見えたかもしれない。

公安9課のメンバーではっきりわかるのは、トグサとサイトウくらいで、イシカワとボーマはクレジットされているけれど誰なのかわからずじまい。
パズは?と思っていたら、その代わりなのか、ラドリヤとかいう知らない女性メンバーが増えていた。なんでパズじゃダメなの?
タチコマがいなかったのも寂しいけど、それは望み過ぎか。
あと、特筆すべきキャストで言うと、素子の母親役として桃井かおりが出ていた。

誰がどうだ、何がどうなってる、と攻殻機動隊ファンはオタク的に楽しめるけれど、予備知識がない人は楽しめる作品なのだろうか。
公安9課が何なのかもさっぱりわからないだろうし、電脳化や熱光学迷彩も言わずもがなで話が進むので、さっぱり理解できないかもしれない。

そのあたりで評価は分かれるかもしれないけど、私としては、見終わったあと珍しく、
「もう一度劇場で見たい!」
と思える作品だった。
今回は字幕版だったので、次は吹き替え版にしようかしら。
吹き替えはめったに選ばないのだけど、声優さんのキャストがアニメと同じなのがうれしい。
最近はモノを増やさないように買い控えていた映画パンフも、こればっかりは買ってしまった。


そして、この際だから書いておきたいことがひとつ。
攻殻機動隊の舞台となる街は、新浜市という都市である。
実写版では日本の特定の都市ではなく、『ブレードランナー』のようなどこかの街として描かれていた。
それはそれで、絵的に美しかったから私は好きだけれど、神戸市民としてはちょっと残念。
なぜなら、2030年、攻殻機動隊の世界で首都になっている新浜県新浜市とは、神戸のことだからだ。
戦争で東京が壊滅して、六甲アイランド付近に首都が移っている、というわけ。
港を臨む海上都市の風景、西播磨にあるSpring-8との距離感など、リアリティがある設定にうならされる。
私にとって重要でも、ハリウッドにとってはどうでもいいことだから無視されたんだろう。
それは別にかまわない。

私がすごく気になっているのは、英語版のウィキペディアである。
ウィキの『GHOST IN THE SHELL』の新浜市のNoteとして、現実世界では愛媛県新居浜市のことだと注釈がついているのだ。
Ghost in the Shell - Wikipedia

おいおい誰だよ、そんなデタラメ書いた人は!!
実はこのことは何年も前に気がついていて、ときどきチェックしているけど、ずーっと修正されないまま。
誰か正しく書き直しておくれ!
そうじゃないと、間違ったまま2030年になっちゃうよ!