3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

ゲームウォッチをお手本に。

ファミコンがブームになる前、子供たちが夢中になっていたのはゲームウォッチだった。

私が持っていたのは(ていうかまだ持ってる!!)、『Dr.スランプ アラレちゃん』の「おはこんばんちは!」と、『愛してナイト』の「ハーピット」の2つ。

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前者は、ランダムに現れてくるキャラクターたちにアラレちゃんが「んちゃ!」と挨拶するゲーム。
もぐら叩きと同じ要領だと思ってもらえばわかりやすいと思うが、単にそれだけだ。

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後者は、主人公のやっこちゃんが障害を乗り越えて愛する剛くんのところにたどり着くまでのゲーム。
横恋慕するサミーがドラムを投げてきたり、お父ちゃんがお好み焼きのコテを投げてきたりするのを避けて進むだけ。
ハーピットには付加機能として誕生日と血液型による相性占いなどの星座占いがついていて、小学生女子としてはゲームよりそっちでよく遊んだ気がする。

よく遊んだといえば、いとこが持っていた「オイルパニック」でもよく遊んだ。
天井から漏れて落ちてくるオイルをバケツで受け、いっぱいになったら捨てるだけだった。

いずれにせよ、どのゲームも単純だった。
今の感覚ではクソゲーかもしれない。
でも、当時の子供たちは夢中になった。
それだけたくさん遊べたのだから、人間、ゲームだと思えば何だって楽しめる。

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母の食事介助をしていると、まるで「オイルパニック」だ。
名付けて「老いるパニック」!

食事をスプーンですくって母の口に入れる、モグモグしているうちに出てくる、こぼれそうになるのをスプーンで口の中に戻す、モグモグしているうちに出てくる、戻す、ゴクンといって消える、入れる、出てくる、戻す、ゴクン、入れる、出てくる、戻す、出てくる、戻す、出てくる、戻す、消えたかと思って入れる、溢れる、垂れる、大幅に戻す、出てくる、戻す、モグモグが続く、よそ見する、出てきてダバダバこぼれ落ちる…。

こぼれてくるのをスプーンで受ける。
原理はオイルパニックと同じ。

テレビに気をとられているとすぐにこぼれてしまうし、こぼれたものを拭いている間に次のが溢れ出てくることがあるので、サッと作業する必要がある。
けれど、落ちる寸前に受け止められたときなんか、「危機一髪!」と心の中でガッツポーズしてしまう。

液体なんかは大変で、口の中にまだ入っているにもかかわらずスプーンを出されると母は口を開ける癖があるので、中の液体がダバダバと大量放出される。
液体で戻されると手強い。
攻略するにはかなり高レベル。

ときどき出現するクシャミも強敵だ。
「ハッ、ハッ…」
と、「ハクション」の前段階で気がついたら、サッとタオルを広げてバリアを張る。
防御できなければ、シューティングゲームのラスボスさながらに、四方八方に弾が飛び散ってしまう。
飛び散った弾を拭いている間にまた口からこぼれ出してくるので、大忙しだ。
クイックな動きが要求される。
二画面式のゲームウォッチの、上画面も下画面も見ておかないといけないのに似ている。

心の余裕がなかったときは、入れても入れても口からこぼされると、
「お母さんちゃんと飲み込んで!お願いだから出さないでよ!」
とイライラした。
拭いている間にまたこぼれたりすると、悲しくて泣きたくなった。
母だって、こぼしたくてこぼしてるわけじゃないのはわかっているから、八つ当たりする自分が余計に情けなくなって…。

でも、
「なんかこれ、オイルパニックみたいだなぁ」
と気がついてから、ゲーム感覚でやっていけるようになった。
なるべく食べこぼしで前掛けを汚すことがないように。
こぼれたら一機死に。
食べこぼしなしで一食分がクリアできたら上級者。
まだまだゲームは下手くそだけどさ。

「人生はゲーム」と歌ったのは南佳孝の『スローなブギにしてくれ』だったか。(あ、でも作詞は松本隆!)
人生じゃなくても、日常生活だってゲームだ。
気持ちひとつでゲームを遊べる。

あとは、そこまでの心の余裕をどう保つかだ。
(それが難しいんだけどね。)