3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

ポールが自転車で世界一周の旅に出た。

長い間中国語を習っていて、気が付くと英語を話そうとしても中国語が出てきてしまうことに気が付いたのが数年前のこと。

どうやら私の脳には母国語と外国語という二つのモードしかなくって、外国語モードにスイッチしたら中国語がデフォルトになっているみたいだ。

 中学生レベルの簡単な英単語でさえ、ことごとく中国語になる。

こりゃやばい、やっぱり英話ができないとなぁ、と思っていたとき、トアウエストに新しい英会話教室ができているのを見つけた。

それがOlypian Language Centerだった。

教室の看板に差してあったフライヤーを見ると、オープン記念価格かなにかで、マンツーマン授業が45分10回1万円だという。

破格の安さ。こんなに安いなら通わないのがもったいない。

それがきっかけだった。

Olympian Language Center - Alchemy Social

 

そこの英会話教師で経営者のポールは、イタリア系のアメリカ人で、日本語がまったくできなかった。

日本に来る前は台湾にいたという。

中国語も少し話してもらったけど、あいさつ程度である。

よくもまあそんな状態で起業できるものだと思うけれど、それだけの勇気と実行力がある人だった。

 

何回か通ってから、どうしてこんなに安い価格でやっているのかと質問した。

10回1万円だとほぼ時給千円である。しかも場所代や交通費等抜きだ。

普通に考えたらとうていやっていけない。

すると、MBA取得者のポールは、その価格についても戦略があるのだと話し(それにひっかかったお客が私なのだが)、自分の夢を語りだした。

 

まず、英会話教室の上階に外国人が長期滞在できる宿泊施設を作る。

外国人が上階に滞在しながら、英会話教師として働ける環境にしたいということだった。

そして教室の後ろにバーカウンターを設け、屋上にはビアガーデンを作る。

滞在者と英会話教室の生徒や地元の人たちが交流する場にするのだ。

外国人にとっても日本人にとってもベネフィットがある場所になるはずだ、とポールは語った。

現在、日本にやってくる外国人は少ないが(とポールはiPadで外務省か何かの資料を見せた)、これからどんどん旅行者は増える。これはビジネスチャンスだ。

そして神戸で成功したら、このビジネスモデルを台北や上海でも拡大する、と。

 

教室もまだテーブルが置いてある程度のものだったので、そうなったらすごいけど実現するのかしら?と思いつつ聞いていた。

それが現在どうかというと、ポールの神戸における構想はすべて実現した。

教室の後ろにはBar Alchemyができ、上階の宿泊施設はZ ROOMSとなり、屋上にはTHE EMBER ROOMができた。

しかも、彼の予想どおり、昨今の訪日外国人数はうなぎのぼりである。

ポールの当初の狙い通り、そこは神戸に滞在する外国人の交流の拠点となっている。

 

Z ROOMSの改装だとか、バーカウンターの設置だとか、徐々に変わっていく教室を目の当たりに見てきただけに、ポールの事業展開力のすごさに脱帽する。

それだけでも、ポールはすごいやつだと思っていたけれど、またしても彼はすごいことに挑戦し始めた。

 

私は母の介護が大変になって以降、時間に追われるので英会話に通わなくなってしまった。

去年の夏、1年ぶりくらいに友達とBar Alchemyに遊びに行った。

久しぶりに会うポールは、服の上からでもわかるくらいにムキムキになっていた。

それでいて、

「来年の5月から、自転車で世界一周の旅に出るんだ」

という。

はあ?!? な、なんで?!?

突然聞いたその知らせに、びっくりしたのなんの。

 

年齢的にも最後の挑戦だし、と彼は言った。

2年かけて世界を冒険して、帰ってきたら本を書いて、TED TALKに出るよ、と。

 

まだドえらいことを考えたものだ。

それにしても、英語しかできないアメリカ人が一人、自転車で世界一周だなんて。

水も食料もないような地域を通るときはどうするのか、イスラム系で反米感情が強い地域は大丈夫なのか。

当然、彼はそんなことは熟慮のうえで、ルートや装備品を準備しているんだろうけれど、その話を初めて聞く私は、すごく心配になってしまった。

 

その後、私は何人かの知人友人にポールの挑戦の話をした。

私の英会話の先生が、すごいことをするんだよ、と。

面白いなと思ったのは、人によってまるで反応がバラバラで、心配するポイントがまるで異なることだった。

2年間会えなくなる家族の心配をする人、2年間ほったらかしになる仕事の心配をする人、お金の心配をする人…。

私は旅に出るポールの身の安全のことしか心配にならなかったので、すごく驚いた。

それに、私は偉業だと思ったけれど、大人がするべきじゃない愚かな行為だと思っているような人もいた。

冒険の旅に出るということは、それだけたくさんの事を全部振り切らないといけないということだ。

理解してくれない人もいるだろう。

それだけの勇気と決断力と、信念がないとできない。

やっぱり私は偉業だと思う。

 

ポールの冒険はTHE BIKE RONINというサイトで随時、状況報告がされるという。

ブログとSNSだけかと思ったら、なんとYou Tubeのチャンネルができていて、出発前のイントロダクション動画がアップされていた。

www.youtube.com

なんかめっちゃ本格的な映像になっているし!!タレントかよ!!

 

ポールと最後にゆっくり話ができたのは4月のことで、本当は出発前にお別れの挨拶をしたかったのだけれど、時間が取れないまま、ポールは5月23日に旅立ってしまった。

でも、4月に会ったとき、一応伝えたかったことは言えたから、自分としては満足している。

I’m very proud of your challenge and I believe that you achieve it, Paul. I'll check out THE BIKE RONIN. Good luck!

 

ちなみに、THE BIKE RONINのサイトはこちら。

The Bike Ronin |

みんなで応援しよう。