3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

尼崎市民は尼崎が大好き

私と同じく結婚しない・子供はいらない派だった友達が、「子供がほしい」と言い出したのが数年ほど前の話。
「年下の彼氏ができてトチ狂った?!」
と茶化して突っ込んでみたら、
「これから先の人生、自分のためだけでは生きていくモチベーションが保てない気がする。子供とか、誰かのため、っていうんじゃないと…」
と言う。まさかの哲学的回答に驚いた。

その頃の私は、「ほえ~!」とバカみたいに感心するばかりだったけど、今はその気持ちがちょっとわかる。
人生後半になると、自分のために無為に時間を過ごすのではちょっと虚しい。

『生きているのはひまつぶし』というのは深沢七郎の本のタイトルだけれど、私も「生きているのは死ぬまでのひまつぶしである」という意見には同意する。
その一方で、どうせ暇を潰すなら、自分が楽しめるか、誰かの役に立つか、どちらかでありたいなぁ、とも思う。

そんなことを考えるようになったのは四十を過ぎてから。若い頃の私は自分のことばっかりで、誰かの役に立ちたいなんて考えたこともなかった。
ところが、早くからそこに到達し、人や社会の役に立つことを仕事にしている人たちがいる。

大学時代の先輩の清田仁之さんはその一人で、人や社会の役に立つだけでなく、おまけにめちゃくちゃ面白いことをやっているというミラクルな人だ。

清田さんが代表を務めている「月と風と」は、重度の障害者支援を行っているNPO法人である。
「月と風と」は、去年とうとう10周年を迎えた。
最初は運営に苦労していたみたいだけど、劇場型銭湯プロジェクトだとか、地域に開かれたカルチャー教室だとか、随時開催されるゲームやワークショップなどのイベントだとか、障害者と健常者の垣根をなくした地域活性化を行っている。
アートというか、サブカルチャーというか、とにかく「なんか自分たちが面白いことをする」、それが障害者支援や町づくりになっているというスタンスが素晴らしい。

いつも「月と風と」の活動をみて、参加したいなぁと思っているものの、イベントの開催日は週末がほとんどなので、参加できずにいた。
平日の夜なら行けるのになぁ、と思っていたところ、清田さんがゲストスピーカーの一人として呼ばれている尼崎ソーシャル・ドリンクスというイベントがあるというので、6月6日の夜に阪急塚口にあるイタリアンレストランへ行ってみた。

テーマは「地域発のプロジェクトを支えるクラウドファンディング」と言うことで、清田さんは「月と風と」の代表というより、「尼崎みんなのサマーセミナー」副理事長という立場でしゃべるらしい。

私は全然知らなかったのだけど、「みんなのサマーセミナー」というのは、町の人が先生になり生徒になり、みんなで学校ごっこをするイベントだそうだ。
去年から尼崎で開催されているらしく、前回は3,500人もの人が参加したそうだ。
今年も8月に開催されるんだけど、運営資金をクラウドファンディングで募っているらしい。

尼崎市もバックアップしているみたいで、尼崎ソーシャル・ドリンクスに集まっている人たちは半分くらいが市の職員さんだった。(普通の公務員だけじゃなくて、消防士さんや保健師さんも。)
とは言っても、お仕事だったり動員だったりするのではなく、皆さん自主的に来ているらしい。
食べたり飲んだりしながらお話をきくイベントだったので、同じテーブルの人たちと自然と話をした。

隣に座ったのが今年尼崎市に入職したばかりの男の子で、健康保険係をやっているらしい。
尼崎というと、ちょっとガラが悪い印象があるので、
「窓口に面倒くさいクレーマーとか来てイヤにならない?」
と尋ねると、
「そういう市民の方は、良くしようという思いで怒ってこられてるので、その思いに答えられる公務員にならないといけないな、と思います」
と、神回答。

もし私が利害関係者だったら、
「また心にもないキレイごとを!」
と思うけれど、私は何の関係もない見知らぬ神戸市民である。
「家帰ってから思い出して『クソッ!クソッ!』とかなるでしょ?」
とカマをかけても、
「そんな、なりませんよ!」
と普通なので、感心してしまった。
あんた未来の尼崎市長候補だよ!

大阪と神戸に挟まれた阪神地域の中でも、尼崎は少し特徴的な町だ。
何年か前に有名な連続殺人事件があったり、「川崎、尼崎、釜ヶ崎」を3崎と呼び、日雇い労働者の町だという話も聞いたことがあったり、ボートレース場や競馬場があったり、申し訳ないけどダークサイドを抱えている町、という印象がある。

清田さんが「月と風と」を作るときに、わざわざ尼崎市を選んだことに、私はずっと疑問があった。
大好きな甲子園がある、大学時代に住み慣れた西宮市ではなく、なぜ尼崎?

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尼崎ソーシャル・ドリンクスでの清田さんのプレゼンは、「月と風と」の活動紹介がちょこっとで、あとは「みんなのサマーセミナー」の紹介。

みんなのサマセミの副理事長にまでなった、清田さんの活動はすっかり尼崎に根付いている。
尼崎の良さは、詰めの甘さ、ワキの甘さ、ふところの深さ、らしい。
昔から清田さんがよく言っていた、いい意味での「いい加減」を象徴する町なんだろう。
大阪でもない、神戸でもない、尼崎だからというのがそこにある気がした。
そんな尼崎だから、福祉だとか町づくりのような、一歩踏み間違えたら偽善になりそうなものも、地に足が着いた誰もが楽しいイベントに早変わりする。

ちなみに、「みんなのサマーセミナー」のクラウドファンディングでは、「誰がこんなん欲しがるねん(笑)」と突っ込んでしまいたくなるリターンがいっぱい。

そのなかで一番気になったのが、FMあまがさきの『8時だヨ!神さま仏さま』という番組の出演権というもの。
神社の宮司とお寺の住職とキリスト教の牧師が3人でDJを務めているラジオ番組らしい。
出演権は欲しくないけど、その番組が気になって検索したらPodcastで視聴できた。

宗教すらボーダレス。
ふところが深いぞ、尼崎!