3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

アゴの骨が溶けてるって!?

昨日と今日の午前中は、赤十字病院で過ごした。

そう、母のアゴの腫れが再発したのだ。

 

気が付いてくれたのは、やはり訪問リハビリの療法士さんだった。

「あれ? また腫れてません?」

言われてみると全く前回と同じパターンである。

施設で訪問歯科を呼んで見てもらう、抗生剤の薬をしばらく飲む、再度見てもらう、よくなっていないので赤十字病院への受診を勧められる、という、デジャヴかというくらいに同じ道筋をたどった。

 

ただ、今回異なっていたのは、歯科から赤十字病院受診の打診があったのが金曜日だったことだ。

「早めに受診されたほうがよいかと」

と歯科の先生が私に電話してきてくれた。

「早めというのはどれくらいですか? 明日から三連休ですけど、来週でも大丈夫そうでしょうか?」

「それは何とも…。今日受診されたほうがいいと思いますけど…」

「今日ですか…」

仕方がない、午後から休みを取って早退すれば午後の診察時間には間に合うはずだ。

「わかりました。夕方なら間に合うかと思います」

「口腔外科は金曜午後の診察がなくて、午前だけなんですよ。これからすぐ行けば間に合いますよ」

「そんなの無理ですっ!!」

神戸元町から姫路まで、電車に乗っているだけで1時間近くかかるのだ。

金曜日の午前11時半に電話をもらって午前の診察に行けるわけがない。

 

病人を抱えていると、いつもこんなやり取りになる。

病気は週末も祝日も関係なくやってくるのに、病院の受付時間に振り回される。

 

頭を抱えていると、ケアマネさんが連絡をくれた。

「私が代わりに連れて行きましょうか。こちらとしても、不安を抱えたまま連休を過ごしていただくのは心配ですし」

神!!!

いやもう、ここはあえて「ネ申!!」と書こう!!!

それくらいのすがる気持ちで、

「申し訳ありませんが甘えます!」

とお願いした。

 

これは普通、ではないと思っている。

本当に良い施設、良いケアマネさんに当たったのだと思う。

自分と母がたまたま恵まれているだけだ。

感謝するほかない。

 

父とも連絡を取ると、父もケアマネさんを追いかけて病院に行くことにしてくれた。

病院の会計は父にやってもらった。それくらいの役に立ってもらわないと困る。

 

前回、赤十字病院で見てもらったときの診断結果は、蜂窩織炎ではなく「骨膜炎」だったそうだ。

骨膜炎をネットで検索すると、このような説明が出た。

 

hapila.jp

 

なるほど、炎症がどこまで達しているかによって、歯槽骨炎→顎骨骨膜炎→顎骨骨髄炎→蜂窩織炎という順で悪化するのか。

ということは、蜂窩織炎と比較して軽い状態と考えてよく、それほど心配することもないか、と気楽に考えていた。

 

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診察の結果、前回同様3日間毎日、抗生剤の点滴をすることになった。

ただし、前回と違ったのは、今回CTスキャンを撮ったことだ。

前回、360度回る最新式のレントゲン撮影に失敗したせいだろう。

 

昨日の土曜日に私が診察室に同行すると、先生が昨日ケアマネさんが同行してくれたときに撮影したCTスキャンの結果を解説してくれた。

土日は、いつもの外来とは場所も先生も違う。

夜間休日対応の診察室はERになっていて、勤務しているのはほとんど医学生のような若い先生ばかりだ。

このときも「女の子」と言ってよいような若い女性の先生が応対してくれたのだが、その説明が意外な内容で驚いた。

右下の犬歯の根の部分に炎症が起きているせいで、アゴの骨が溶けているというのだ。

 

「そ、そんなことがあるんですか!?」

私がびっくりして尋ねると、

「そうなんです! 炎症で骨が溶けるんです!」

と、先生はまるで「雪見だいふくにイチゴ味があるんです!」くらいの可愛らしいノリで言った。(わかる人には「cv.花澤香菜」で読んでもらいたい。)

「ここですね。白くなっているこのラインがアゴの骨です。ね?ここだけ消えてるでしょ?」

CTの輪切り画像をスライドしていくと、部分的にアゴのラインがぼやけてなくなっている個所がある。

 

信じられない…。アゴの骨が消えている…。

 

私が絶句していると、

「でもでも、それほど心配されることはありませんよっ。小指の先ほどの穴が、ちょこっと開いているだけですからねっ!」

彼女は慰めのつもりで言ったのかもしれないが、私にとってはその穴はひどく大きく感じられた。

小指の先って、けっこうデカくないか!?

まさか、母のアゴにそんな恐ろしいことが起きているなんて思ってもみなかった。

 

「炎症の原因になっている歯をこのまま放っておくとまた再発しますから、抜いたほうがいいと思われます。来週の平日、外来にもう一度来ていただいて、抜歯しましょう」

そう言われて、金曜日に受診する予約を取った。

金曜日は幸い業務上の予定は何もなかったはず。

 

けれど、いつもこういう話になると、一抹の不安がよぎる。

こんなに会社を休んでばかりでいいんだろうか。

うちの職場は理解があるほうなので、来週火曜日に出勤した際に「金曜日に休ませてください」と言っても、注意したり嫌な顔をしたりする人はいないだろう。

単に私が「休んでばかりで気が引ける」というだけだ。

引け目と言えばいいのか、負い目と言えばいいのか、気持ちの問題だけである。

世間様での介護離職の原因は何が多いかわからないが、私が痛感しているのは、

「病院の受診や役所等の手続きのために平日休みを取らないといけないのが、勤務の弊害になる」

ということに尽きる。

私は元来図太い人間なので、いざとなれば、

「有給だって介護休暇だって、労働者の権利なんだから休んで何が悪い!」

と開き直れる性格だけれど、神経が細い人だったら気に病むのではないか。

自分が休んだことでしわ寄せが来る同僚に対して罪悪感を感じ、精神的に耐えられなくなって離職する人もいるんじゃないかと想像する。

 

…とここまで書いて、先週特撮のライブに行くために会社を休んだくせによく言うよ、と自分で自分を突っ込んだ。

まあね、図太い人間だけが生き残れるのさ。