3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

トレーナーさんが銀メダルを取った!

去年の1月から、パーソナルトレーナーのいるジムに通っている。
すぐにへこたれてしまうかも、と思っていたけど、まだ週イチでがんばっている。

naminonamimatsu.hatenablog.com

そもそものきっかけは、お風呂上がりに鏡を覗いたら、そこにルノアールの名画そっくりの女がいたことだ。

musey.net

『浴女たち(ニンフ)』がうちの脱衣所に!!


それにショックを受け、ダイエットしなければと思い立った。

それで会社に一番近いパーソナルトレーニングジムに通い始めたのだけど、脂肪燃焼は忘れて、今はとにかく体幹を鍛えている。

「重要なのは痩せることではなく、正しく動ける身体づくり」
というのがコンセプトなのだ。
日常生活で筋肉を使って正しく動けていたら、おのずと脂肪は燃焼できるから、というわけ。

正直、あまり痩せてはいないけれども、一番効果を実感するのは母を持ち上げるときである。
車イスとベッドやトイレへの移乗は、意外と大変。
足がしっかりしている人だったら何でもないのだけど、うちの母の場合は、足も踏ん張れず腕も力が入らないので、40キロちょっとの重さをそのまま持ち上げないといけないことになる。


「大丈夫ですか? 移乗しやすいベッドに換えますか? ポータブルトイレもレンタルできますよ」
と、ケアマネさんや訪問リハビリの療法士さんが心配してくれるのだけど、私自身、なんてこともない。
それほど苦も無くやっている。
まだ母が歩けていた数年前のほうが、よっぽど腰を痛めていた。


それもこれも、体の中心で支えられているからだと思う。
ひざが前へ出ない正しいスクワットや、腹筋を使って物を持ち上げるトレーニングを繰り返してきたおかげだ。
全く基礎がなっていなかった私に、辛抱強くトレーナーさんが教えてくれた。
ダイエットより、介護のために役立っているほうがよほど有益である。


でも、それもこれも、パーソナルトレーニングだからこそ。
普通のジムに通ってるだけだったら、有酸素運動系のランニングマシンや自転車こぎしかやらないのは目に見えている。
1人だと、キツい筋トレからは逃げるし、地味な体幹運動なんてわざわざやらないもんなー。


1年半も通ってきて、トレーナーさんともよくお話をするようになった。
私のトレーナーさんは、私と同世代の小柄な女性だけれど、なんとトライアスロンの選手なのである。
トライアスロンなんて、そんなしんどいことをよく頑張れるなぁ!といつも感心してしまう。


「普通の人よりアスリートのほうがよくケガをするじゃないですか。しんどいし、苦しいし、痛くなったりするし、怖くないですか?」
と尋ねると、
「そんなことより、負けるのがつらい。くやしい思いをするほうが、苦しいよりもつらいんですよ」
と彼女は言った。
「足がちぎれてでもいいから速く走りたい!」と思うそうだ。

生まれてこのかた運動というものをやってこなかった私にとって、
「へえぇ、アスリートの考え方ってそんなものなのか!」
と大いに感心させられた。

逆に、私自身はそこまで必死に何かをやったことがあるだろうか、と考えると、何一つ、命がけでやったことなんてないなぁ、と情けなくなった。


そんな我がトレーナーさんが、先週、カナダでトライアスロンの世界大会に出た。
「カナダ、どうでしたか?」
とおずおず聞くと、
「キレイな国でしたよ」
なんて言うので、試合結果について尋ねにくかったのだけど、そのあと少しはにかみながら、
「銀メダルを取りました」
と言う。

銀メダル!!!

家に帰ってからこっそり検索すると、日本トライアスロン連合のSNSにちゃんと出てた。

twitter.com

少し遠慮がちに表彰台に乗っている彼女の写真を見たとたん、泣きそうなくらい感動してしまった。

私はオリンピックも見ないし、あんまりスポーツに関心がない。
けれど、スポーツファンの人たちがなぜあれほど熱狂するかはよくわかる。
努力が結果になったときの感動は、何にも代えがたいから。

よかった。本当によかった…!!
本当に、本当におめでとう。