3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

『バベルの塔』展とブリューゲルのこと。

9月1日は夏休みを取った。
例によって、オーケンのライブがあるため。
せっかく休みを取ったなら、一部の隙もなく有効活用したいもの。

木曜日から実家に帰って金曜日の朝まで母の様子を確認してから、午後は大阪の国立国際美術館へ行った。
ぜひ見ねばと思っていたブリューゲルバベルの塔」展を見に行ったのだ。

babel2017.jp

もちろん「バベルの塔」がメインの展覧会であるけれど、フランドル美術の流れとヒエロニムス・ボスの作品、ブリューゲルの版画が楽しめる展覧会になっていた。
今年は7月に「ベルギー奇想の系譜」展を見たばかり。
正直、内容がかなりかぶっている。

naminonamimatsu.hatenablog.com

フランドル絵画は大好きだから何回見ても楽しいんだけど、これらの展覧会が人気な様子を見ると、
「ボスとブリューゲルがキテる!」

とうれしい驚きを隠せない。

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極私的な話だけれど、私が初めてブリューゲルと出会ったのは、父が買ってきてくれたルーブル美術館の本だった。
NHKとフランステレビ1が共同制作した『ルーブル美術館』という番組の解説本で、全7巻ある。
奥付を見ると昭和60年と書いてあるから、私が10歳のときだ。
テレビ番組と並行して配本される仕組みで、父は地元の本屋さんで定期購入していた。

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そんなふうに言うと、まるで父が美術好きみたいだけれど、全く興味がない。
父自身は本を開きもしなかった。
「買うて来たったで」
とまるで私が欲しがったように毎回手渡してくれたのだけれど、10歳の私が美術に興味があるはずがない。
ルーブル? 何それキャンディか何か?」
みたいな子供だったのに。
今もって、なぜあのとき父がこの「ルーブル美術館」を買っていたのか謎だ。

しかも、何が驚くって、価格が3,200円もする。
1冊3,200円だぞ!?

子供心に、
「こんな高い本、読まないともったいない…」

と思ってしまって、興味はなくても毎回ページをめくっていた。

その中で、ひどく衝撃を受けたのがこのページだった。

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なんじゃこりゃあああぁぁ?!?

右ページと比べてみてもらったらわかると思うけれども、それまで美しい宗教画がほとんどだった。
そんなところに、この『乞食たち』というブリューゲルの作品が突然現れたのだから、子供としてはショックだ。
もちろん、ブリューゲルが生きていた当時もそうだっただろう。
人々はこの型破りな画家にびっくりしたに違いない。
(この本には『乞食たち』と出ているけれど、今ネットで検索したら『足なえたち』ってなってる。時代ですな。)

子供の私は、ショックというか、ものすごく恐怖を感じた。
足がなくて見慣れない装具を付けているのも怖かったし、キツネの尻尾をぶら下げているのも気持ち悪かった。
なぜこれが描かれているのか、よくわからないだけに恐ろしかった。

今はもう怖いとは思わないけれど、ブリューゲルの魅力は「なんじゃこりゃあ」だと思う。
それは単に奇妙なだけじゃなく、人々の生活の暗部と地続きで、闇の部分を抱えている。
寓話に満ちた世界は、グリム童話が本当は怖い、みたいなところとも似ている。


ルーブル美術館』以後、長らくはブリューゲルとは無縁だったけれど、ウィーンを旅行したときにいくつかのブリューゲル作品を見た。
有名なところで言うと、『雪中の狩人』、そして『バベルの塔』。

実はブリューゲルの『バベルの塔』は2つあり、ウィーン美術史美術館にあるものと、今回日本にやってきたボイマンス美術館のものがある。

私のように美術を知らない門外漢からすると、ウィーンのは王様を含め人がいっぱい描いてあって楽しい、ボイマンスのは建物がかなり出来上がってて建築物としての色がキレイ、という大雑把な違いでもって区別している。

正直に言うと、ウォーリーを探せ的に楽しいのはウィーンのほう。
いろんな人間がいろんな場所で動いたり働いたりしているのを発見するのが単純に面白い。

musey.net

今回の美術展では、ボイマンスの『バベルの塔』を拡大して、小さくてよくわからなかった働く人々も見られるように解説していたり、大友克洋が手掛けたバベルの塔の内部を見せる試みが展示されていたりと、単に美しいだけじゃない『バベルの塔』の魅力を提示する工夫がされていた。

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工夫と言えば、ブリューゲルの版画『大きな魚は小さな魚を食う』に出てくる奇妙な魚をモチーフに「タラ夫」というキャラクターを作っていた。

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ボスやブリューゲルが描くモンスターは以前から人気があったけれど、とうとうブームの予感。

twitter.com

今回の展覧会にはボスの『放浪者』と『聖クリストフォロス』もあって、これもこの展覧会の大きな目玉作品だったのだけれど、こっちは意外と静かなかんじ。
両方とも奇妙な味わいの作品で、私はこの二つが見られたことがとてもよかった。
人も少なかったしね。


展覧会の帰り、お土産にバベルの塔キャラメルを購入。

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中にはランダムにモンスターシールが入っているという。
何が当たるかな、と開けてみると、私がひいたのはタラ夫くんだった。
これって当たり!?
さっそくスマホケースの内側に貼る。

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展覧会の内容とは全く関係ないことだけど、会場に紙コップ式のウォーターサーバーが。

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おそらく、夏の暑い最中にたくさんの人が行列して熱中症になるのを防ぐためだろう。
幸い、関西でも少しずつ秋風が吹くようになって、残暑も和らいできたので、固めて置いてあるけれど、先週くらいまでは大活躍だっただろうなぁ。
そういう配慮もご苦労さま。