淡路島ニジゲンノモリ「ナイトウォーク火の鳥」と文句言いおばさん
先週の月曜日は、最後の夏休みだった。
午前中はいつもの訪問リハビリ。
だけど、まる1日の夏季休暇である。
さて、午後は何をしよう?
と思っていたら、友達から淡路島に新しくできた「ニジゲンノモリ」というアミューズメント施設へのお誘いをもらった。
最近、人材派遣会社のパソナが淡路島の開発に力を入れているという話はきいていたけれど、このニジゲンノモリもどうやらパソナ関係らしい。
友達はパソナの派遣社員に登録していて、ニジゲンノモリでやっている「ナイトウォーク 火の鳥」の招待券がもらえるのだという。
「手塚治虫の『火の鳥』が好きだって言ってたから、楽しめるんじゃない?」
と友達。
確かに、手塚作品の中でも『火の鳥』は特に好きな作品だ。
あのスペクタクル巨編をどうやってアトラクションにするのか、まったく想像できない。
公式サイトでは「世界観を題材に」って書いてあるけど、何編を題材にしてるんだろう?
アニメ映画はヤマト編と鳳凰編だったから、そのあたりかなぁ?
まさか未来編とか宇宙編とかのSF世界?
息子の手塚眞が監修をやっているのが、吉と出るか凶と出るか…?
あまり期待はできないけれど、
とにかく、タダなら行きます!
というわけで、開始時間の18時30分を待っていると、平日の夜にもかかわらず、たくさんの参加者がやってきた。
友達と二人で列に並んで、冒険バッグという名のズダ袋をもらった。
中に入っていたのは、地図とミネラルウオーターと懐中電灯。
懐中電灯はブラックライトになっていて、照らすと浮かび上がるものがあるらしい。
ところで、出発前に係りお姉さんから説明があって、
「皆さんの力で、火の鳥を生き返らせてください」
と言われてズッコケそうになった。
火の鳥は不死鳥じゃねーのかよ!
この時点で、「何編かしら?」なんて考えていた自分の愚かさに気づく。
火の鳥って言ってるだけで、手塚治虫のマンガとは全く別物だ。
気持ちをすっかり切り替えて、いざ出発すると夜の山道ハイキング。
その山道が幻想的にライトアップされていたり、不思議なオブジェがあったりして、雰囲気を盛り上げる。
山とアトラクションがマッチしていて、特に音に関しては、自然の虫の声なのか人工的な効果音なのかまったくわからない。
この日は三日月のお月様が出ていたのだけれど、それがまた美しかった。
淡路島の空はお星様もよく見える。
ところどころのポイントでアマーン族の村人(そういう話。ね?手塚治虫の『火の鳥』じゃないでしょ?)に扮した役者さんが待っていて、そこでのイベントの解説をしてくれたり、ストーリーを語ってくれたりする。
参加型イベントってことになっているので、火の鳥の涙と称するビー玉を持たされたり(うっかり落として山道を転がっていったので、拾うのに難儀した)、参加者の中から代表者が石の穴に手を突っ込んだり、いろいろする。
ただ、50人くらいが一群となって山道を歩くわけで、役者さんに近寄るにも限界があり、ところどころ話が聞き取れないことも。
それに山道を歩いて周囲を見てるだけで精一杯で、話がちっとも頭に入ってこない。
次のステージへ進むためのカギを探す、とかいきなり言われても、みんなボーっとしている。
あまりにちゃんとクエストを実行しないので、
「皆さんちゃんと話を聞いてましたかっ!?」
とアマーン族にツッコまれる始末。
あ~、ごめん、全然聞いてなかったわ。
だいたい、50人の冒険パーティは多すぎるよ。
劇場のような閉鎖空間だと観客も物語世界に入り込みやすいけど、オープンな空間だからどうしても緊張感が薄い。
参加者の中には、自重しない奴も出てくる。
みんなが小休憩をとっている場所で喫煙を始めるおじさんがいたり、アマーン族が説明している後ろで仕事の電話をしているおじさんがいたり。
個人的には、夜の山道でサングラスをして歩いているおじさんがひどく気になった。
あいつらのどこが「選ばれし者」だよ!
こんなんじゃ、とてもじゃないけど「みんなで協力して火の鳥を目覚めさせましょう!」という気分にはなれなかった。
正直、取ってつけたような冒険なんてどうでもよくなっていた。
圧巻は、自然と融合した大規模なプロジェクションマッピング。
淡路島の大自然と、最新テクノロジーがうまく合わさって、かつて見たことのないエンターテイメントができていた。
確かにこれは新しい!
本物の樹木だって、しゃべりだしちゃう。
なんだかんだで、よーわからんうちに、火の鳥は眠りから覚めたらしく、ザーッと翔んでった。
めでたしめでたし。
ナイトウォーク前の文句言いおばさん
「ナイトウォーク 火の鳥」を見る前の話を少し。
ニジゲンノモリからは、新しくできた周辺のレストランやカフェまで無料のシャトルバスが出ていて、せっかくだからそこで昼夜兼用の食事を取ろう、という予定になっていた。
目指したのは、9月にオープンしたばかりの、オーシャンテラス。
めっちゃリゾート。
3階はすでに閉まっていたので、2階のテラスへ行ったけど、オープンテラスで日差しがきつい。
メニューは、パニーニとかシュリンプ&ライスとかサラダとかで、だいたいどれも1,500円前後。
セルフサービスなのに、その値段?
地産地消だったら原価は安いんじゃないの?
何代なの?オサレ代なの?
と、値付けに釈然としないものを感じていたら、友達がパソナのカードらしきものを取り出した。
その銀色のカードを見せると、葵の御紋の印籠のごとく、なんと半額になるという。
半額!!!!
というか、パニーニが740円って、普通だ…。
半額でやっと普通!!!!
パソナで半額になったっていうより、パソナじゃない人はボラレてるとしか思えない。
パソナでない者は人にあらずかよ?
ただし、特大のボウルでやってきた山盛のサラダには満足。
めっちゃインスタ映え。
インスタ映えっていうより…
インスタ蠅!!!
蠅がブンブン飛び回ってて、うっとおしいったらない。
写真には映らないうっとおしさがあった。
ちなみに、食後、斜め向かいにあるミエレというカフェに移動してスムージーを飲んだけれど、ミエレの蠅の数はオーシャンテラスどころじゃなかった。
絶景とオシャレを楽しむなら、蠅みたいな小さいことにこだわるな、ってことね。
大丈夫、インスタに蠅は映らないヨ!
ナイトウォーク後の文句言いおばさん
ナイトウォークが終わって、無料の送迎バスが淡路ハイウェイオアシスに着いたのが19時45分ごろだった。
www.awajishimahighwayoasis.com
着きましたよ、と言われても、バスを降りてから建物内まではまあまあ歩いた。
田舎のインターチェンジのだだっ広い駐車場である。
例えるなら、イオンモールの第三駐車場からレジまでくらいの距離はある。
都会で家からコンビニに行くより遠い。
ナイトウォークで散々山道を歩いたあとだから、かなりきつい。
痛む足を引きずりながら、ハイウェイオアシスにたどり着く。
オアシス~!
と癒されるつもり満々だったのに、到着後すぐに「蛍の光」が流れ始め、入口でシルバー人材らしいおじいさんに、
「8時閉館です」
と冷たく告げられた。
とはいえ、あと10分あるし、お土産を選んで、帰りの高速バス内で食べるおやつやドリンクを買おう、と思っていると、店内はもう完全にやる気なし。
どんどん片付けられ、カバーが掛けられていく。
焦るほど、何を買おうか迷って決められない。
そこへ、先ほどのジジイが私にだけ、
「8時閉館ですよ!」
と言いに来る。
わかっとるわい!
『北の国から』の五郎さんになって、
「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」
の調子で、
「私がまだ選んでる途中でしょうが!」
と怒鳴りたい!!
気が悪くなって、
「こんな、客を追い出すような場所では買わない! もう帰る!」
と大声で文句を言いながら出ていく。
…ジジイが間違ってるわけじゃない。
ジジイは仕事をしているだけ。
だけど、客商売だったらさぁ、
「間もなく閉店ですので、お客様、お買い物はお急ぎください」
くらいが適当な物言いなんじゃないか。
でも、田舎の老人だ。
そんな気の利いたことは言えないのだ。
私が気に入らなかったのは、
「田舎のジジイだからって、サービス業で横柄な態度が許されると思うなよ!」
ということだ。
老人を雇うと人件費が安いんだろうけど、教育ってものをしないのが嫌!
そういう社会の仕組みが透けて見えたのが嫌!
老人だって、働く限りは接客スキルを学んでほしい。
オアシス感ゼロのハイウェイオアシスを出て、さらにかなり歩き、高速バスのバス停にたどり着くと、次の三宮行きはなんと21時40分だった。
待ち時間が1時間半!?!?
これがみうらじゅんが言うところの、時刻表ならぬ地獄表!!
「ネットで帰りのバスを調べたときは、もっと本数あったと思ったんだけど…」
と普段冷静沈着な友達も焦る。
淡路の高速バスは、いろんな会社がいろんな路線を出しているので、時刻表がめちゃくちゃ調べにくい。
「バスなんか乗らず、自家用車でお越しください」
と言われているに等しいくらい、不親切だ。
二人で意気消沈しながらバス停でしばらく待ってみたけれど、蜘蛛の巣だらけの小屋が薄気味悪い。
仕方ないので、疲れ切った足を鼓舞しながら反対側のパーキングエリアまで歩いた。
そこで時間つぶしに食べた淡路玉葱ラーメン(醤油)680円。
疲れた身体に玉葱がしみた。