3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

絶不調からの漢方薬体験《後編》

漢方薬局の先生は実直そうな男性だった。
すでに閉店時間だったけれど、予約をしていたのでお店を開けていてもらった。
もちろんその時間、お客さんは私ひとり。

症状をいろいろ問診されるところから始まった。
そして漢方といえば定番の、舌の状態を診る。
allabout.co.jp

質問項目は簡単なものが多かったので、サクサクと終わった。

あなたは気功を信じるか!?

そのあと、両腕を前に出し、手のひらを上にして、真っ直ぐ前を見るように言われる。
バカ真面目に、真正面に飾ってある大きなアメジストの置物をじっと見ていたので、周りで先生が何をやっているのか全然見えなかったけれど、どうやら気功か何かをやっているようだ。
オーケストラの指揮みたいな動き。

そしてときどき、私の手のひらに紙片が置かれたり除かれたりする。
ああでもない、こうでもない、ってかんじで、置いたり、のけたり。
紙片には手書きで薬の名前が書いてあるだけ。

…えっ?!
まさか、この紙を置いて手をかざすのが診断?!
こんなことで、不調の原因や治療法がわかるのかよっ?!

これは…
お、オカルトだぁっ!!

そういえば、ホームページに「糸練功」っていう医療気功について書いてたっけ…。
あまり深く考えなかったけど、これがそうかぁ…。

だ、大丈夫なのかなぁ…。

にわかに不安になってくる。
だいたい、漢方薬がどれくらいのお値段がするものかも、全然考えてなかった…。

私はオカルトについて、信じもせず否定もしない中立派だ。
だから、一概に「これはインチキだっ!」とは思わない。

限りなく怪しいけれど、ここを選んだのは自分なのだし、ここまでやってきたからには先生のやり方を信じて身を任せることにした。
診断が的外れだったら、そのときは自分で判断したらよい。

やってもらっている最中、あまりに非科学的なのにびっくりしてしまって、そんなことをグルグルと考えていた。

診断結果は「不調のミルフィーユ」

そこそこ長くかかった診断の結果告げられたことは、
「内臓が冷えて固まって動かなくなっています。ただし、食道は炎症を起こして熱を持っています」
とのこと。

これを例えるなら、下は冷えて冷たい水になっているのに、上だけ温かいお湯が残っているお風呂のようなもの。
循環して対流が起こっていれば温度は均一になるのに、まったく動かないものだから分離が起きているのだそうだ。

言われてみれば、お腹を触るとみぞおちから下腹にかけてずっと冷たい。
整体の先生からも、
「固いお腹やなぁ。胃も腸もカチカチや」
と言われたのを思い出す。

指摘されると身に覚えがあるものの、内臓が冷えたり固まったりということを、普段考えてもみなかった。

振り返ると、この夏はつい冷たい飲み物をガブガブ飲んだ。
筋トレをするようになってから手足の冷えがなくなったので、冷房もよく付けたし、服装も薄着が多かった。

そんなふうに蓄積された夏の冷えが、秋になって祟って来たらしい。

「そのうえ、緊張が入ってこわばりがあります。いろんな原因が複雑な層になっていて、不調がミルフィーユのように重なり合ってます」

不調のミルフィーユ!
そんなステキな洋菓子に例えられても!?!

でも、心当たりがないわけでもなくて、ここのところ行き詰まり感があってリラックスできない日々が続いている。
そのこわばりが、冷えて固まった内臓を、より動かないものにロックしてしまっているらしい。

ストレス、ないようでいて、実はあったんだな、という話。

意外だったのは、飲む水の量

先生に1日に摂取する水分量を訊かれた。
「だいたいマグカップ7~8杯ですかねぇ」
とドヤ顔で答える私に、先生から、
「それは…、多すぎです!」
という答えが返ってきた。

「でっ、でもっ、1日1リットルから2リットル飲みましょうって言うじゃないですかぁ!」
「欧米のモデルさんがそうしてるからと言って、誰もが合うとは限らないんですよ。欧米のような乾燥した気候と、日本のような湿気の多い気候でも違います。たとえただの水でも、内臓はそれを処理するのに負担がかかっているんです」

そ、そうなのか…。
だから、飲み物を飲んでさえ胃が重くなっていたのか…。

とにかく、冷えて固まった私の胃腸は、入ってくる食事や飲み物が処理しきれなくなって負担になっているとのこと。
代謝も落ちるわけだ。


ちょうどNHKスペシャルの『人体』で腎臓についてやっていたところだけど、私の腎臓はめちゃくちゃ悲鳴を上げていただろうなぁ。

www.nhk.or.jp

もしかしたら、腎臓の悲鳴が食道と胃腸に伝わったのかも。

そんな私に処方されたのは、お薬ではなくて、お茶だった。

というわけで、まずは身体のこわばりを取るところから、始めることになった。

「今のミルフィーユ状態では、いきなり胃腸を治すお薬を飲むわけにはいきませんので、今回はお茶を出します」
と言って、お茶を調合してもらった。

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この1パックをお湯で煮出して、3日に分けて飲むらしい。
そして4日空けて、もう1パックを3日また飲むという2週間コース。

その後、お茶で一つの不調が改善されたら、次のステップ、本当の漢方薬に進むということになった。
それまでは、お茶で体質改善に努める。

調合してもらったお茶は、漢方薬局のキャラクターらしいパンダちゃんの紙袋に入れてもらって、2パックで4,800円!

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値段のことばっかり言うけど、…高っ!

保険適応じゃないからそんなものかもしれない…。
けど、う~ん、どうなんだろう?
ただひとつ納得したことは、お客さんが少なくてもこんなに広々した小ギレイなお店が構えられるわけだぜ。

そして飲んだお茶は

お湯に入れたとたん、立ち上がる匂いに、
「これ、お茶じゃあないぞ…!」
と理解した。

匂いも味も葛根湯そっくり!
煎じ薬の漢方薬そのものだ。

沸かしている湯気を吸うだけでも身体が良くなる気がする…。
と思っていると、とたんにお腹がグルグル言い出し、トイレに駆け込んだ。
…なんて信じやすい体質なのかしら、私。

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出来上がったお茶を三等分したのがこれ。

もらったお茶はもう全部飲み終わって、内臓の不調はずいぶんマシになってきた。

本当にお茶が効いたのか?
胃腸に優しい消化がいい食事を心がけているからかもしれないし、水を控えているためかもしれないし、お腹を冷やさないように気をつけているからかもしれない。

実のところはわからないけれど、漢方薬局に行ったことによって体調改善のきっかけになったことは間違いないと思う。
あとひっかかるとしたら、オカルトな気功術くらいかな。
否定はしないけどね。