結成20周年に思う極私的CKB
10月15日日曜日は、神戸こくさいホールにクレイジーケンバンドを見に行った。
実はこの日、NHKカルチャー梅田教室でオーケン先生の講座があった。
いつか重なることがあるかもしれない、と恐れていたことが起こってしまって、苦渋の二者択一…。
しかし最愛のオーケン先生ではなくCKBを選んだのは、ずいぶん前からCKBのチケットを取っていた、というのもあるけれど、今年がCKB結成20周年記念だからだった。
今回リリースされた20周年のベスト盤はシンガポールが舞台になっていて、ステージのオブジェもマーライオン。
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周年を強く打ち出すような仕掛けは特になかったものの、1stアルバムの『Punch!Punch!Punch!』から去年の『香港的士』までまんべなく選曲されたセトリだった。
アンコール後、私が大好きな『発光!深夜族』を演奏してくれたときは、心が2000年当時にタイムスリップした。
振り返れば、私がCKBを聴き始めたのは、その『発光!深夜族』が入った2000年のアルバム『ショック療法』からだ。
「川勝正幸、安田謙一といったサブカル系好事家たちが夢中になっているバンドがある」
という噂をきき、今はなきヴァージンメガストアの試聴器のヘッドフォンを耳にかけたのだった。
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『ショック療法』のプロデューサーは小西康陽で、アルバムジャケットのデザインは常磐響だった。
サウンドだけじゃなく、アルバムから漂ってくる雰囲気全体がインターナショナルにカッコよくて(グローバルじゃないとこがミソ!)、他とはまるで違っていた。
当時は、和洋関係なく60年代や70年代レアグルーヴがクラブシーンなんかで流行っていて、どこのCDショップでも、橋本徹(政治家じゃないほう!!)のサバービア系コンピレーションが試聴器にズラリと並んでいた。
個人的な事情だけれど
ちょうどこの頃の私は就職して2年が過ぎていた。
学生時代はキラキラした渋谷系音楽に背を向け、あえて遠藤賢司や三上寛のようなアングラフォークを聴いていたくせに、就職してからは若者文化にすがりつくように、クラブ系のダンスミュージックばかり追いかけていた。
「何者かになるまでの腰かけ」のつもりで入った会社なのに、徐々にその環境にも慣れてきて、ぬるま湯にどっぷり埋もれて腐っていくような気がしていた。
「本当の私の居場所は、こんなおっさんくさい、退屈でつまらない世界じゃないはずだ」
と、頭を抱えてもがきなから、することといったら結局、「今一番キテる音楽」を聴くことだけだった。
かといって、もともとアングラオタクな私が、オシャレな音楽なんて付け焼き刃な情報の武装でしかない。
身に馴染まないままの自己満足と自己見失い感。
そんな中でのCKBだった。
絶妙な立ち位置に、どっぷりはまった。
「レコードでしか出会えないと思っていた昔のレアグルーヴを、生音で今やっているバンド」
と、誰か有名なDJ(コモエスタ八重樫だったかなぁ、違うかなぁ。)が言っていたように、CKBの音楽はちょうど当時クラブで流行っていた60〜70年代のグルーヴそのものだった。
そのうえ、GSサウンドや昭和歌謡など和モノと言われる日本のレアグルーヴも人気な時代だったけれど、CKBはそこへピッタリと寄り添っていた。
そんなカッコいい音楽に、独特な歌詞がのる。
ねじくれたサブカル心をわし掴みにするユーモアのセンス。
当時は剣さんをはじめ、他のメンバーもまだサラリーマンをしながらのバンド活動だった。
社会人とはいえまだ青二才の私は、そこに「大人のたしなみ、大人のお手本」を見た気がした。
社会人として働いて、社会的責任を果たしながらも、好きなことを好きなスタイルでやりながら、スマートに生きる。
現代日本人はどこか、「若い」ことが素晴らしいような文化的価値観を持っている。
でも、青臭い若者よりも、成熟した大人のほうが面白いし楽しいしカッコいいよね、という新しい価値観をCKBが見せてくれた。
昭和歌謡ブームと重なってCKBが少し売れ始めた頃、どこかの雑誌がCKBのメンバーが40歳前後なのを揶揄して、「未来のないバンド」と評したことがあった。
(剣さんもそれにはすごく傷ついたらしく、インタビューなどで何度もそのことに言及されている。)
その「未来のないバンド」が今年は20周年。
私も同じく歳を取ったけれど、おかげさまで歳を取るのは嫌いじゃない。
大人は楽しい。
イイネ!イイネ!イイ〜ネ!!