3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

エンケンと劇団子供鉅人

ふだん友達から誘われることがない私に、珍しく連絡が入った。
「10月19日にこれを観に行きませんか?」

劇団子供鉅人はちょっと気になっている劇団。
何もなければ行くところなんだけれど、カレンダーを見ると、予定が入っている。

「あーすみません、その日は遠藤賢司のライブに行くんです」

梅田クラブクアトロにて、久しぶりのエンケンのライブ。
エンケンは去年、ガンで闘病中であることを公表した。

それ以降、大阪では初めてのライブになる。
エンケンの健在ぶりを楽しみにしていた。

ところが、その直後に入ったeプラスからのメール。
なんと、エンケンのライブが中止だと言う。

そりゃあ残念だけど、ご本人が1番くやしいだろうから、何も言えない。

今まで何度 倒れただろうか
でも俺はこうして 立ち上がる

がんばれよなんて言うんじゃないよ
俺はいつでも最高なのさ

という、『不滅の男』の歌詞が頭に浮かぶ。

エンケンは不滅。
だからきっとまた復活してくれる。

そして子供鉅人へ

そんな流れで、
「やっぱり行きます」
と、梅田HEPホールへ劇団子供鉅人『チョップ、ギロチン、垂直落下』を見に行くことにした。

見所のひとつは、内田理央ちゃん。
小劇場演劇にこういうグラビアモデルが出演するのってすごく珍しい。

美しいことを商売にしている「美人」を見るのは、それだけお金を払う価値があるなぁ、と感じる今日この頃。
「そこそこキレイな素人さん」と「それで食べているプロフェッショナル」とでは格が違うものだ。
最近は特に、有名女優さんやモデルさんに反応してしまうのは、ないものねだりだからか。

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だがしかし!
その内田理央ちゃんが、女子プロレスラー役ですって?!?!

そう、このお芝居は女子プロレス団体が舞台。
かつてクラッシュギャルズvs極悪同盟が大好きだった私には、なかなか血が騒ぐ設定。

でも、内田理央ちゃんにプロレスなんかできるんだろうか。
理央ちゃんだけじゃなく、ほかの役者さんだって一朝一夕にプロレスなんてできないでしょ。
ヘナチョコな形式だけ見せられたら、ちょっと白けるよなぁ…。


舞台上に設置された四角いマットを見ながら心配していたけれど、それは開演前まで。

始まると、ちゃんとプロレスに見える。
理央ちゃんはあまりプロレスはしないけど、ほかの女優さんたちはそこそこやってる。

特に、メガトン鈴木という、女子レスラー役の女優(億なつき)さんが、しゃべり方からファイティングスタイルから体つきまで、ほとんど本物!!
主人公が憧れるベビーフェイスのスター選手という設定だけど、私まで、「メガ様ぁぁ!!」と声援を送りたくなった。

団体の看板選手であるメガトン鈴木は入団の体力テストをパスした主人公に、レスラーになっても夢や希望以上に辛いことや苦しいことが多いと諭す。

そして最後に、
「心の腕力はあるのかい?」

メガ様、カッコいい!!!

男子プロレスラー以上に、女子プロの世界は悲哀がある。
戯曲では必要以上に主人公をブス呼ばわりしていて、作家の性格の悪さを感じるほどだったけれど、実際世の中はそれくらい残酷だ。

だから、女が残酷な世界にタチムカウには、心の腕力が必要だ。
私ももっと強くなりたい。

プロレスはすごい

さながらプロレスの試合そのものが繰り広げられるにあたって、見ているほうは少し戸惑った。

なんだかつい、お芝居だということを忘れて、手を上げたり、声援を送ったりしたくなる。

最終的には観客も慣れてきて、煽られるとみんな手拍子をするようになった。
それでスッキリ。

だって、すごくプロレスだったんだもん。
盛り上がらないとつまらない。

作品紹介に「演劇をプロレスで描く」とあったけれど、まさにそのとおりだったかと思う。


この日はアフタートークがあって、大阪にあるプロレス団体「紫焔」から本物の男子プロレスラー3人がゲストに来ていた。
最後にちょっとだけ、本物のチョップとブレーンバスターを見せてくれて、大満足。

常人が持っていない肉体や、常人ができない技を見せる、ってことがエンターテイメントの根本だと、つくづく思う。

プロレスも見に行きたいなぁ。

ちなみに、紫焔の選手たちが言ってたけど、舞台上のマットはプロレスのリングに比べてめちゃくちゃ硬いのだそう。
出演者の皆さん、どうか千秋楽までケガがありませんよう。