赤ん坊の性別
企業にとってみれば、ライフイベントは絶好の金儲けポイントだ。
特に、妊娠出産を控えた人なんて、いくらでもお金を落としてくれるいいカモになる。
カモ争奪戦のために、そのエサとしてプレゼントキャンペーンがそこかしこで行われている。
私たちカモたちはエサだとわかっていながらも、
「タダならもらっとけ!」
とつい貧乏根性を出して応募をしてしまう。
複数企業がいろんなプレゼントを持ち寄っているサイトがあって、片っ端からもらえるものを応募してしまった。
ハッピープレママ:プレママ用品、赤ちゃん用品、試供品のプレゼントサイト
赤ちゃんのスタイは全員プレゼントで、先日届いた。
…これ、男の子だったらどうすんだ??
黄色とかの無難な色にしないかなぁ、普通?
性別を色分けするのはナンセンス、という考え方もあるけれど、それは自意識が目覚めたあとで十分。
赤ん坊のうちは親が着させる服の色くらいしか、他人様が性別を見分ける手段がない。
プレゼントすりゃいいってもんじゃないよなぁ、と、配慮の足りないその企業の好感度が下がった。
逆効果ですよ、保険見直し本舗さん!
本業の保険についても気が利かない提案をするんじゃないかと思ってしまう。
男の子がいいか、女の子がいいか
はなから子供を持つなんて考えてもみなかったので、私自身は子供の性別になんのこだわりもない。
ただ、友達たちを見ていると、女の子のほうがお利口さんで手がかからない子が多く、そんなふうに育ってくれたらありがたいとは思うけれど、自分の子がそんなお利口さんであるとも限らない。
どうせだったら自分に似た女の子より、彼氏に似た男の子のほうがいい。
それに、実は彼氏にはすでに娘さんが一人いる。
だったら、一姫二太郎で男の子のほうがバランスがいい。
彼氏もそう思っているだろうと思って聞いてみると、
「女の子のほうがかわいいよ」
と言う。
やっぱり父親にとっては娘のほうがかわいいらしい。
子育て経験者は語る、だ。
娘さんが成人した今でも父娘で旅行に行くほど仲が良いのだけど、男の子だったらそうはいかないだろう。
アルカリ性という化学
ただ、彼氏には申し訳ないけれど、どうもこの子は男の子のような気がしていた。
ひとつには、「お腹が前に出ていたら男の子」という俗説。
妊婦だから当然かもしれないけど、お腹が前に膨らんでいるのだ。
それともうひとつには、知人が言った一言。 彼女のおうちでは、うちの実家と同じアルカリイオン水素水の整水器を使っていたので、
「うちも両親の健康のために飲ませてるんですよ」
と話したら、
「どうも男の子を授かったのは、この水を飲んでたせいじゃないかと思うんだよねぇ…」
とポロリとつぶやいた。
そのときは、
「またまたぁ~」
と、どういう意味なのか真意を理解しないまま笑い飛ばしていたのだけど、アルカリイオン水素水と妊娠の関係性がずっと引っかかっていた。
彼女は化学をお仕事にされている聡明な人なので、何かそう思う根拠があるに違いない。
そう思って男女の産み分けについて検索すると、女性の身体がアルカリ性に傾くと男の子に、酸性だと女の子になるらしい。
食べ物や飲み物の摂取で分かれるとは言えないけれど、pHによって決まることは確かなようだ。
案の定、男の子だった。
先週健診に行ったら、男の子だったことがわかった。
「やっぱり!」
と私が言うと、先生が、
「どうしてですか?直感ですか?」
と尋ねる。
前回は超無愛想な老先生だったが、今回の先生は近藤公園似の優しげな人だった。
「いやぁ、お腹が前に出ているので…」
と答えると、
「よく言われますけど、個人差があるので実は関係ないんですよ」
と言う。
まさか、アルカリイオン水素水のことなんて聞けない。
ていうか、本当にアルカリイオン水素水を飲んで男の子が生まれるなら、皇室とか歌舞伎の梨園とか、とっくに導入してるんじゃ?
『たけしの万物創世記』を思い出した。
昔、『たけしの万物創世記』というテレビ番組があって、オーケンがときどきゲストに出るので欠かさず見ていた。(ネットで情報が得られる今と違って、昔は出演情報がわからなかったからね。)
オーケンゲストの回でヒトの生命誕生についてやっていたのを覚えていて、その中でどうやって男女の性別が分かれるか、pHの秘密もやっていたような…。
実家のVHSテープに録画したものがあるかもしれない。
と思いつつもまず検索してみると、VHSをほじくり出さなくてもYouTubeに上がっていた。
何でもネットで見られる時代でビックリする。
久しぶりに番組を見てみて、改めて赤ちゃんが宿るのが奇跡的な出来事だと思い知らされた。
この子は、壮絶な戦いを勝ち抜いて生き残ったわけだ。
男の子上等。
でも、願わくば彼氏に似て背が高くて運動能力が高い男の子になりますように。
私に似てチビで鈍くさくてオタクな男の子になったら目も当てられないや。