3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

食欲の元旦

毎年、元旦だけはデイサービスもお休みして、母は1日家で過ごす。

昨日の元旦で喜ばしかったのは、とにかく母がムセることなくパクパク食事を摂ってくれたことだ。

 

ここのところは、喉や頬をマッサージしながら、

「はいゴクンして!がんばれ!」

と声をかけないと食べられないことが多いのだけど、昨日はそんなことをしなくても食べられた。

食事中にムセて咳こむこともなかった。

母も元旦だということがわかっていたのだろうか。

 

最近の母のメニューはペースト状の介護食である。

少しでもつぶつぶがあるとむせてしまうので、なめらかなペースト状じゃないと飲み込めない。

豆腐くらいはミキサーをかけて用意するけれど、それ以外はもっぱらドラッグストアで買ってきたレトルトの介護食を使っている。

あとはパックのポタージュスープか、粉末を溶かすタイプのスープ。

 

先月下旬に介護食をたくさん買い込んだつもりだったけど、週末から母がよく食べてくれるので、ストックがどんどん減っていった。

食べてくれるのはうれしいけれど、元旦早々ドラッグストアに買い出しに行くのもわびしいし、どうしようかなぁ、と思っていたところ、父がおせち料理のテリーヌを、

「これやったら柔らかいから、お母さんも食べられるんちゃうか」

と言った。

 

母が病気になってからは、毎年おせち料理は宅配のお重を頼んでいる。

父に言われてから、改めておせち料理を眺めてみると、母でも食べられそうなものを発見。

栗きんとん、芋きんとん、テリーヌ、伊達巻、黒豆。


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調子が悪いときならとても無理だけれど、今日のこの絶好調な飲み込み状態ならいけるかもしれない。

母は噛む力だけはしっかりしているので、お箸で上手に黒豆を奥歯に乗せてあげると食べられる。

飲み込む力が弱っているときなら黒豆の皮でさえ喉を詰まらせるけれど、この日は本当に調子が良くて、黒豆を5粒も食べられた。

 

テリーヌも小さく切って奥歯に乗せるとちゃんと噛んで飲み込めている。

「お口を開けて」

と言わなくても、母は口の中がなくなると自分から口を開けてくれた。

食欲全開!

つられて私までついつい食べ過ぎてしまう。 

妊婦になってからは「太るからやめておこう」というストッパーがなくなってしまった。

 

身体が動かない、おしゃべりもできない母にとっては、もう食べることくらいしか楽しみがない。

だから、一部でもいいからおせち料理が食べられたのは本当に喜ばしかった。

 

どうも、母は自宅に帰ってくると調子が良くなる。

逆に、施設にいると元気がなくなって、食事が進まなかったり便秘になったりする。

自宅で元気になってくれるのは家族としてはうれしいけれど、施設のスタッフさんだってみんな良くしてくれているのに困ってしまう。

 

特に今年は、私の産前産後にかけて母を長期間預ける予定にしている。

つもりとしては、4月上旬から6月末まで。

こんな調子で、ずっと自宅に帰らないままやっていけるだろうか。

その3か月弱で急激に弱ってしまわないだろうか。

 

施設のスタッフさんが優しくしてくれるといっても限界がある。

物が言えない母は痛みを訴えることもできない。

こうしてほしい、ああしてほしいという希望が言えない。

誰かが気づいてあげない限りは、ほったらかされてしまう。

 施設だったら、調子がよさそうだからって臨機応変にメニューを変えることはできない。

足先が冷えているからって、湯たんぽを入れてあげることもない。

脚がむくんでいるからって、ふくらはぎをさすってあげることもない。

唇が乾燥しているからって、リップクリームを塗ってあげることもない。

 

3か月弱という長期間を考えると悲しくなる。

かわいそうだけど、母は孫を望んでいたのだし、我慢してもらうしかない。