3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

物をもらうということ

まんが日本昔ばなし」の絵本を全巻持っている。
子どもの頃に買ってもらったものだ。
1巻はauのCMでおなじみの3太郎。
奥付を見ると昭和55年10月20日第13刷発行となっている。
値段はなんと260円。さすがに安い。


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まだお話には興味を示さないサトイモだけれど、私が自己満足のために読み聞かせをする。
できるだけ市原悦子になりきって読む。
「もっと悦子風に!」
と思うだけで、同じ話を繰り返し読んでも全く飽きない。
どうやればもっと悦子になれるだろう。

そんな私なので、市原悦子が亡くなったのはショックだった。
樹木希林と違って突然だったので余計である。

先日、『ぴったんこカン・カン』で追悼のためにやっていた市原悦子樹木希林の回を見た。
実は偶然、最初の放送のときも見ていて、本当に面白かったのでもう一度見ることができてうれしかった。
ああいう婆さんたちになりたいともなれるとも思わないけれど、見ている分には本当に面白い。

その中で、二人が、
「物をもらうのもあげるのも嫌い」
と言っていたことがひっかかった。
しがらみが嫌で、自由でいたいという、大女優の二人らしい。

大女優ではない私は、物をもらうのもあげるのも好きだ。
だから不自由な女なのかもしれない。

物を通したコミュニケーション

結婚・出産を通じて、お祝いを少なからずいただいた。

先輩ママの友達からはお古もいただいた。
お姑さんやお姑さんの妹さんからはしょっちゅう食料やお菓子を差し入れていただく。

「誰それから○○をいただいたよ」
と私が報告したりすると、夫は必ず、
「ええ迷惑やな」
と言う。
人付き合いが好きではない夫は大女優派なのだ。
「迷惑だなんてとんでもない! うれしいよ!」
と私は慌てて否定する。

「買われへんほどビンボなわけちゃうやんか。お礼せなあかんだけ面倒くさくない?」
というのが夫の理論である。
「人がくれるものは自分で買わへん物やったりするから面白いのよ。お礼を何にしようか考えるのも楽しみのうちやし。」
「ふーん、考え方が全然ちゃうんやな」
「男女で捉え方がちゃうんかもしれへんね」

大女優は別として、一般的に物でやりとりするのはおばちゃんの感覚な気がする。
「安かったからようさん買うてん。ちょっとおすそ分け」
とか、
「これめっちゃ便利やったよ。ちょっと使こてみて」
とか、
「これ美味しいから、ごはんのときにご家族でどうぞ」
とか、物と一緒におしゃべりがついてくる。
そして、物が行ったり来たりするのと同時に人も行き来する。
そういえば、先日遊びに来てくれた大学の先輩から、マスクケースと速乾タオルをいただいた。
「どうして…?」
と尋ねると、
「赤ちゃんにはみんなあれこれくれるでしょうけど、ママには誰もプレゼントをくれないでしょ」
という言葉をいただいた。
物には優しさも詰まっているのだ。

お古のありがたさ

服にうるさい夫は、サトイモの服を見ては、
「それどこで買うたん?」
と尋ねてくる。
「これは○○さんのお古」
と答えると、
「お古ばっかりで可哀想に。サラ着させたり」
と言う。

お古は果たして可哀想だろうか。

夫が言うように、新品が買えないほど貧乏なわけじゃない。
けれど、節約以上に、お古をもらうメリットを感じている。

大人だったら好きなファッションをすればいいだけだけれど、赤ん坊は違う。
デザインの問題じゃない。
機能性が最も重要だからだ。
私自身が、赤ん坊に何を着せればいいのかがわかっていないので、お古でもらったものによって、
「この月齢だったら、○○ちゃんはこんな服を着てたのか」
と参考になる。
それを実際に着てみると、メリットや使い勝手もわかってくる。

服だけじゃない。
オモチャについても、お古でよく遊んでいる。
先輩赤ちゃんがいっぱい遊んだものは、サトイモもよく遊ぶ。

トイザらスでずらりと並んだオモチャを見て、どれがいいのかわからず選ぶのにやたら時間がかかってしまうのに比べて、すごく時短で効率的でもある。

これまた別の先輩からいただいオモチャに、「なめられ太郎」というのがあった。
大人からするとひどい見た目の人形で、もらったときは正直、「これはいらんわ」と思った。 

ノンキャラ良品 なんでもなめるようになったら なめても安心なめられ太郎 3代目

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 「何じゃコレ、と思ったやろ? でも子どもはめっちゃ食いつくから! だまされたと思ってもらっとき!」

そう言われてもらった「なめられ太郎」だったけれど、言われたとおり今やサトイモのお気に入りのオモチャである。
サトイモがいつもなめているので、お姑さんが見て、
「その気持ち悪いの好きやなぁ。何がええのん?」
といぶかしがるほどだ。
さすが「なめられ太郎」、名前どおり。

最近、友達の奥さんが妊娠中で、3月が予定日だという話を聞いた。
「お古いるか声かけてみようかな」
と私が言うと、夫は案の定、
「やめとき。ええ迷惑やで」
と言った。
それでも私はあえて、メールを送ってみようかと思っている。