3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

IKEAと4歳児のヒミツ

サトイモが遊ぶ様子を見ていると、何ができるようになったのか、今何がお気に入りなのかがすぐわかる。
5月に入ってからは、人差し指でボタンをポチッと押すのが気に入っているようで、ボタンを押すと音が鳴る系のオモチャでよく遊んでいる。

オモチャならいいけれど、リモコンやハードディスクレコーダーのボタンを押されるから、なかなか困る。
突然電気が消えたり、テレビの音量ボタンを押し続けて爆音を鳴らしたり、なんだかわからない番組が録画されていたり。
リモコンはなるべく手の届かない高い場所に置いたり隠したりして努力しているけれど、そうすると、
「リモコンどこいったぁ??」
と自分で置いておきながら場所がわからなくなって捜索ばかりしている。

リモコンは対処できるけれど、問題なのがブルーレイレコーダーだ。
私がもともと持っていたテレビ台は扉がないタイプだったため、サトイモがボタンをさわりたい放題なのだ。
ブルーレイディスクのトレイ開閉ボタンを触られるとヒヤヒヤする。ただでさえ、ディスクを入れるトレイって故障しやすいのに!

扉がついているテレビ台をなるべく早く購入しなければ、サトイモにブルーレイレコーダーを壊されちゃう!


IKEAの子どもたち

 

夫はIKEAが好きな人で、引っ越し後の我が家は夫が買ってくれたIKEAの家具だらけである。
今回も夫がIKEAのカタログからめぼしいテレビ台を検討してくれて、買ってくれることになった。

私は今回でIKEAに行ったのは3回目だけれど、いまだにIKEAの「2階のショールームで見て1階で商品を取る」というシステムに慣れない。
長時間のショッピングではサトイモが退屈してしまうこともあり、商品のピックアップや精算は夫に任せて、私とサトイモは待っていることにした。

IKEAにはスモーランドという子供向けプレイルームがある。(スモーといっても相撲ではないよ、念のため。)
なんと無料で子どもを預かってくれる。
ただし、対象年齢は4歳から。なので残念ながらサトイモは対象外。

www.ikea.com

そのかわり、スモーランドの入り口横にちょっとした子供向けスペースが設置されている。
壁にはアニメーションが流れ、靴を脱いで入れるようになっていて、IKEAで売っているオモチャで自由に遊べるようにしてある。

サトイモをフロアに置くと、大好きなキッチンセットをめがけてさっそくハイハイし、フライパンにかじりついた。
私はサトイモが変なものを舐めないか、つきっきりで様子を監視。

「それは口に入れるのはやめとこうね。代わりにこっちはどう?」
サトイモとそんなふうにやりとりしている私に、ある女の子が話しかけてきた。

「この野菜、何?」

IKEAの野菜のオモチャについて、名前を尋ねてくるのだった。

「きのこ。シイタケかな?」
「これは?」
「長ネギかな」
「これは?」
「オクラかな。大きさが変だけど」
「これは?」
「トマト」
「みーちゃんトマト知ってる。トマト食べれるよ。でもちょっとだけ嫌い」

子どもの意味のない発言に対して、ブラックなみ松としては、
「だからどうした!」
と思わなくもないのだけれど、幼児と会話するコツは「オウム返し」と「褒め」の二つだと何かで読んだことがあるので、とにかくそれを実践してみる。

「あらそお? 嫌いなのにトマト食べられるの。すごいねぇ」

すると、その後みーちゃんはずっと私の周りで遊び始めた。

みーちゃんは4歳で、高松からやってきて、ポートピアホテルの12階に泊まっていて、おじいちゃんとおばあちゃんは今日は草刈りをしていて、昨日の晩御飯はオムライスで、今日の晩御飯はIKEAで食べるらしい。
妹のあーちゃんも、みーちゃんの周囲をウロウロしていて、まだ言葉がおぼつかないながらに姉をマネて私に声をかけてくる。

「あっ! ちょっとこっち来て!」
とみーちゃんが突然走って行った。

いやいやいや…。
こっちはサトイモから目を離すわけにはいかないので、困ってしまった。
サトイモはみーちゃんのことなんてどこ吹く風で遊んでいる。
私がついていかないことを理解すると、みーちゃんもあーちゃんもまた戻ってきた。

しばらくして、鍋にトマトをいっぱい入れてきたので、
「玉入れみたいだね」
と私が言うと、そこから鍋にトマトを投げ入れる遊びが始まった。

やがて、遠巻きに見ていたみーちゃんくらいの女の子がこぼれたトマトの球拾いをはじめ、
「じゃあ、そこから投げてみて」
と私が声をかけたら、その子も遊びに参加するようになって、幼稚園化に拍車がかかってきた。

女の子のお母さんが呼びに来た。
私はようやく解放される、とホッとしたのだけれど、
「もうちょっと遊ぶ!」
とダダをこねだしたので驚いた。
みーちゃんならまだしも、遠慮がちに参加していた大人しげな子が。
お母さんからは、
「遊んでもらってどうもすみません」
と声をかけられる始末で、なんだか気恥ずかしかった。
そもそも、遊んでやるつもりは毛頭なかったのだけれど…。

実は、前回IKEAに来たときも、同様だった。

「ぼく、でんぐり返りできるよ」
と突然私に宣言して、でんぐり返りを始めた男の子がいて、
「あら、上手にでんぐり返りができるのねぇ。すごいねぇ」
と褒めたら、その様子を見ていた別の子がやってきて、
「わたしもでんぐり返りできる」
とやり始めた。

でんぐり返りを褒めると、次には、
「わたし何歳でしょう?」
と飲み屋の会話のような質問を浴びせてきた。
「う~ん、7歳かな?」
と落語の『子ほめ』に倣って少し年上に答えてみると、
「ぶー!正解は4歳でした!」
と喜んでいる。
「もうちょっとちゃんと見て!」
と生意気なことまで言う。
「いろんなことが上手だからもっとお姉ちゃんなのかと思ったわ」
と答えると、今度は男の子が来て、
「ぼくは何歳やと思う?」
と尋ねてくる。
女の子と変わらないくらいなので4、5歳だろうと思ったけれど、それではプライドが傷つくだろうからと遠慮し、
「7歳?」
とアホのひとつ覚えのように7歳を繰り返した。
「ぶー!ぼくも4歳でした!」
「あらそう!大きいから7歳くらいかと思った!」
と同様のパターンで褒めると、彼らは親が迎えにくるまでひっきりなしに話しかけてきたのだった。


4歳児のヒミツ

 

先日Eテレで『4歳児のヒミツ ~子どもの行動をカガクする~』という番組を見た。

www4.nhk.or.jp

内容を簡単に言うと、10人の4歳児の行動をカメラで隠し撮りし、その行動を専門家が分析するというもの。
なぜ4歳児なのか、というと、そのころに人間は社会性に目覚めるんだそうだ。

あ~、だからIKEAで話しかけてくるのがみんな4歳児なのか~!

番組は、子どもたちの世界を知ることができてとても面白かった。
大人がいない場所で、子どもたちは子どもたちなりの流儀を持っている。
揉め事の調整役がいたり、みんなが納得できる妥協点を探ったり、友達を励ましたり励まされたり。

印象に残ったのは、幼稚園の名前を決めよう、という場面。
ここには先生がいたので、子どもだけの世界ではなかったのだけれど、子どもたちがちゃんと意見を出し合う。

いろんな名前の候補が出る中で、女の子は「ハート幼稚園」がいいと言い、男の子は「ダイヤル幼稚園」がいいと言う。男女で意見が割れた。
すると、
「ハートダイヤル幼稚園は?」
と提案した子が出てきた。
その後、
「ロボット幼稚園がいい」
と今さらな意見を出してきた子がいたのだけれど、それさえ吸収して、結果「ハートダイヤルロボット園」という名前になった。

専門家の先生(『すくすく子育て』にも出てる大豆生田先生)が解説で、「じゃんけんを使わずに話し合いで解決した」ところを評価していた。
大人の世界でも、意見が割れたらじゃんけん、よく使うもんね。

それか、じゃんけんじゃなければ、多数決。
でも、多数決が公平かというと、本当はそうじゃない。

4歳児のように、みんなが納得いく妥協点を話し合いで解決するほうがよっぽど「大人」だ。
利害じゃなくて純粋だから4歳児にはできることなんだろうな、と思う。
これって、政治家にぜひ見習ってほしい。

サトイモはまだちょっとしたやり取りができるようになったばかり。社会性にはほど遠い。
彼が4歳児になるのが楽しみになってきた。


f:id:naminonamimatsu:20190517001354j:image

ちなみに上記は、まだ水色のカバーがついたままの新しいテレビ台。