3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

親の責任と恥

先日、派遣で働いている友達が遊びに来てくれた。

そのときに聞いた話。

会社の同僚が中学生の息子の宿題を手伝っている、しかもその理由がひどいのだ、と。

「塾の勉強で忙しいから学校の宿題なんてやっている時間がない」

というのだ。

なんたる本末転倒!

親が自分でやるのはまだいいほうで、工作だとか自由研究だとかはメルカリで買う親もいるという。

世も末だな。

またラジオ『エレ片のコント太郎』の話になるけれど、片桐仁も子どもの夏休みの宿題の手伝いが大変だと話していた。しかも2週にわたって。

そんなのほっとけ、というエレキコミックの二人に対して、片桐仁は自分もお祖母ちゃんに宿題を手伝ってもらっていたから、と返していて、そこにはちょっと可愛らしさもあったけれど、友達の同僚の理由は全く可愛らしくない。

「もし提出しなかったら内申に響くから」

というのが親が子どもの宿題をする理由らしい。

だったらなおさら子ども自身にやらせろよ!

と思うけれども、その同僚いわく、

「今はみんなこうなのよ!ジョーシキよ!」

ということらしい。

そのうえ、その同僚は自分のことを棚に上げて、

「工作や自由研究はどうせ本人がやってないんだから提出させる意味がありませんので、こんな宿題を出すのはやめるべきです」

と学校の先生に意見したというのだから恐れ入った。

子どものほうも、親にやってもらったことが学校にばれたら恥ずかしい、と思わないのだろうか。

私も人の親になったので、自分のことに照らし合わせて考えるけれど、そんな親子には死んでもなりたくない、と思う。

それとも、子どもが学校に入ると考え方が変わるんだろうか…。

 

過干渉はよくないけど放任主義もどうかと思う

 

友達と、自分たちの親が自分の将来や進路について何かしてくれたり考えてくれたりしたか、という話になった。

うちの親について言えば、まるで放任主義だった。

「好きなようにしたらいいよ」

父も母もそのスタンスだった。

唯一、母が頑なだったのは、

「浪人だけは許さない。大学は現役で受かったとこに行きなさい」

ということぐらい。なぜかやたら浪人するのは恥ずかしいと思っていたみたいだけれど、その理由はわからない。

浪人の何がそんなに恥だと思っていたんだろう?

ともあれ、私は自分の進路も何もかも、自分で決めてきたというか、決めざるをえなかった。

何を相談しても、「なみ松はどうしたい? したいようにしたら?」と言われてきたから。

私は他人から「わがままだ」「好き勝手だ」と言われるけれど、自分で自分のことを決めて当然の家庭で育てられたのだから仕方がない。

そして思い出すのが、幼いころの私の口癖だ。

母がよく思い出話として語っていた。

「何が飲みたい?」

と尋ねると、きまって、

「にゅうにゅう。にゅうにゅう。おちゃとういれて、くるくるちて」

と答えていたそうだ。

お砂糖入りの牛乳。

マグカップに入れてかき混ぜ、電子レンジで少し温める。

それを眠れない夜など、ベッドに入る前に飲んでいたのを自分でも覚えている。

 

…あかんやろ、そんな甘いもの飲ませて寝かせたら!

現在からすると、とんでもないことをやっていたもんだ。

そりゃ虫歯になるわ!

私の乳歯はほとんどの歯が虫歯だったけれど、納得するしかない。

子どもに好きなものを好きなように与えるな!

そこは親として管理してほしかった…。

 

虫歯になると恥ずかしい

 

今、子どもの虫歯の罹患率は右肩下がりに減ってきている。

乳歯で虫歯になる子なんて、1割程度だそうだ。

子どもの虫歯は親の責任だと言われているから、現代の親たちは予防歯科に必死だ。

親の唾液が子どもの口に入ると虫歯菌がうつってしまうという。

だから唾液の母子感染についてみんな神経質になる。

私も離乳食を始めたころはひどく警戒していたけれど、最近はもう感染についてはあきらめた。

というのも、サトイモはしょっちゅう私に「あ~ン」して食べさせたがるからだ。

「俺の食べ物が食えんのか!」

とばかりに差し出してくる。

私がサトイモに食べさせるマネをしているのだ。

親から子どもに食べさせているのに逆は食べられないとなるとサトイモも気が悪いだろうから、サトイモの手から食べ物を食べる。

けれど、その瞬間、サトイモの手には私の唾液がついてしまっているはずだ。

「虫歯になったら私の責任だな…」

いつもそう思いながら、

「あとでハミガキがんばろう…」

と自分を励ます。

食べたあとすること何だった?

ハミガキ!

寝る前すること何だった?

ハミガキ!

自分で磨くだけではなくて、ママのひざの上で仕上げミガキ。

おかあさんといっしょ』の「はみがきじょうずかな」でもあるとおり、「仕上げはお母さん」で、ひざのうえにゴロンと仰向けになって親が磨く。

サトイモはこれを非常に嫌がる。

ハミガキされるのが嫌なのではなく、「じっとしている」ことが耐えられないのだ。

いつも泣きわめき、こちらは暴れるのを脚で押さえつけて実行する。

その様子を見ていた夫からは、「まるで虐待」と言われてしまった。

万が一、虐待と間違われてご近所に通報されたとしても、虫歯になるよりマシ!

乳歯の虫歯は恥!

それくらい、

「子どもの虫歯は親の責任」

という予防歯科セミナーの言葉が重くのしかかっている。

そういえば、私は子どもの頃に「仕上げミガキ」をしてもらった記憶がない。

昭和の時代、オーラルケアの重要性なんて全然考えられてなかったんだろう。

常識も変わる。