3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

人生は地獄変

ハタチくらいの頃、私は作家になりたかった。 でも、その頃の私は本当に平凡で、才能どころか書くべきことすら持ってなかった。 芥川龍之介の『地獄変』のように、「書くべき何か」を持てるなら不幸になってもよいとさえ思っていた。 そのバチがあたったのか…

宮沢章夫さんの逝去とサブカル時代の終焉

宮沢章夫さんが逝去された。 何度もお別れが言えた母の死より、もう一度会いたいと思いつつ会えなかった宮沢さんの死のほうが、私のショックは大きかった。 8月に宮沢さんの最後のツイートが更新されてから、何回か見に行っては、「次のつぶやきはまだだろう…

相続手続きと補聴器

昨日は会社の夏休みを利用して、母のゆうちょ口座や簡易保険の相続手続きをした。 もっと早くすべきなんだけど、グズグズしていたら今になってしまった。 思えば、告別式の翌日も、サトイモはお姑さんに預けて、役場へ手続きに行ったのだった。 お盆休みも年…

葬儀と法事とお値段と

7月26日に母の告別式を終えてから、あっという間に1か月以上が過ぎ、もう四十九日を終えた。 その間、お盆に夫が帰国して、サトイモの登園拒否がウソのように治まるなどいろいろあったけど、何より毎週土曜日に行われる七日ごとの法事が心の大半を占めてい…

通夜式(2)

一連の葬儀の中で、一番の大失敗は通夜膳だ。 思い出すと、今でも落ち込む。 というのも、通夜式に参列してくれた父の妹とその息子(私からすると叔母と従兄弟)を、いい調子でおしゃべりしながら駐車場まで見送った。 そのあと、 「しまった!通夜膳の夜食…

通夜式(1)

湯灌のあと、母の兄弟とその配偶者一同が来てくれて、お供物の段取りの確認をした。 私の喪服について、従兄弟の配偶者が着付けが得意だというので、通夜と告別式の両日とも着付けを頼むことに。 そして私とサトイモは葬儀会館に泊まり、父は家に帰った。 翌…

臨終の2日目

母が亡くなった夜、ひしひしと感じたのは、人手不足、労働力不足だった。 葬儀のことは私しか動けない。 サトイモの面倒は見ないといけない。 取るものもとりあえず神戸を出てきたので、不足しているものも多く、自分のことですら容量よくできない。 そのう…

臨終の1日(2)

葬儀会館に着いて、一息ついたと思ったら、葬儀屋さんから、 「お寺さんには連絡がつきましたか?」 と言われた。 「え? いえ、まだ電話してないです」 と私がキョトンとしていると、 「それではすぐに電話してください。枕経をあげにきてもらわないといけ…

臨終の1日(1)

7月23日土曜日18時30分、母が他界した。 自分の備忘録のために、スケジュールを含めてこの日から葬儀まで記録しておく。 土曜日朝7時半、病院から「臨終に間に合わない可能性があるので、少しでも早く来てください」と電話がある。 朝10時頃、姫路の病院に…

お見舞いという休日

主治医から母の面会許可が降りたとき、私はサトイモを連れて二人で行くつもりだった。 JRとバスを乗り継いで行く公共交通機関の旅。 三連休だし、夜はいっそ実家に泊まろうか、と考えていた。 ところが、サトイモの体調が全然良くならない。 これではお見舞…

心の臨界点

のんびりできた警報の日の夕方、発達支援教室から帰ってきたサトイモの身体が熱い。 体温を測ってみたら、38.4℃あった。 熱があってもすこぶる元気で、相変わらずUSBコードや延長コードで遊んでいたけれど、夕食を少しだけ食べてソファに寝転がり、 「もう食…

抱っこの末のギックリ

最近の育児セオリーでよく出てくるのが、 「甘えと甘やかしは違う。子どもが甘えてくるときは思い切り受け止めて、親は子どもの心の安全基地になってあげよう」 という「甘えは受け止め」論。 確かに、「あるけない、だっこして!」というサトイモの要求を蹴…

アンガーマネジメントと荷物

サトイモの行き帰りは、まだ困難が続いている。 登園しぶりもひどいし、家に帰るのも言うことをきかない。 いつからこんなことになったんだろう、と頭を抱える日々だ。 朝は比喩ではなく本当に引きずっていくか、抱っこで連れて行く。 現在サトイモの体重は1…

子育てリベンジマッチ

夫が約1ヶ月半の海外出張に旅立ったのは、「父の日」の2日後だった。 父の日の日曜、夫は娘さんからプレゼントしてもらったクラフトビールの詰め合わせと、サトイモが幼稚園で作ってきたパパ用コップを前に上機嫌だった。 「サトイモが作ってくれたこのコッ…

いでよ、神龍!

金曜日の午後に母の病院から着信履歴があって、折り返し電話をかけたのは会社を出てサトイモのお迎えに行く途中だった。 主治医の用件はこういうことだった。 「肺炎を起こしていて、呼吸が苦しそうで、熱も出ています。元の病気を考えれば、いつ急変しても…

知能検査を受けた結果(3)

【前回からの続き】 前回2回で専門家による知能検査(WISK-Ⅳというらしい)結果の分析について書いた。 専門家について、ずいぶんズケズケ言う失礼な人みたいな書きぶりをしてしまったが、言われている私はそんなに嫌な気はしなかった。 「お母さん、あの子…

知能検査を受けた結果(2)

【前回の続き】 ※知能検査の設問に関してはフィクションを加えました。というのも、同じ検査を受ける方に問題が漏れてはいけないらしいので、盛ったり引いたり作ったりぼかしたりしてます。 「ですが」 と専門家は一区切り置き、 「質問の答え方を見ていくと…

知能検査を受けた結果(1)

幼稚園の先生から、幼稚園連盟がやっている専門家の「子育て相談」を受けることを勧められたのは昨年の11月頃だったかと思う。 サトイモが幼稚園に慣れ、落ち着いた頃だったので、 「でもまだ、幼稚園側からしたら、そういうとこを勧められる問題児なのね…」…

5歳の孤独

先週の金曜日、サトイモは幼稚園で遠足に行った。 遠足といっても、みんなで公園まで歩いて遊びに行くだけ。 幼児の足でも片道15分程度のショートトリップだ。 その公園は大倉山公園といって、私たちがよく行っている図書館の上にあり、かつて通っていた児童…

下町なぜなに坊や

最近のサトイモは、「なんで?どうして?」が非常に多くなった。 もう、それはそれは面倒くさい。 でも、私自身が大変な知りたがり屋なので、サトイモの興味関心が頼もしくもあり、うれしくも楽しくもある。 先日、散歩していると、サトイモが理容室の前のサ…

ウィル・スミス忠臣蔵

夫が帰国して以来、温泉に行きたい行きたいと言うので、先日、家族3人で赤穂温泉に行ってきた。 夫は温泉であればいいと言うし、私はおでかけの前後で久々に父の様子を見に行きたいと思っているし、サトイモはどこか遊びに連れてってやりたいし、全員の希望…

安定して不安定な年中さん

2022年3月末、サトイモは4歳になった。 これまでの誕生日と違う点は、誕生日がもうすぐだとわかった頃に、やたらと、 「パパはプレゼントくれる?ばぁばはプレゼントくれる?じぃじはプレゼントくれる?」 としつこく尋ねるようになったことだ。 誕生日=…

本末転倒がわかる春

登園自粛のときに預け先がなく、会社を休みまくったツケが年度末&年度初めにやってきた。 後回しにできるものは全部後回しにして、その日やれるだけのことしかできない自転車操業だったんだから、当然の結末である。 そのうえ、いつも頼りにしていた係長が…

夫の帰国

夫は東欧のセルビアという国にいる。 本当は2月の半ばには帰ってくる予定だったが、3月下旬まで長引いた。 とうとうこの週末に帰ってくる。 最初は母子二人だけの生活に不安もあったが、今となってはすっかり慣れてしまった。 サトイモはもう週末のテレビ…

休みまくる弥生

先週1週間の登園自粛が終わり、今週から幼稚園が再開した。 たった1週間だけれど、幼稚園に行かない間に一気に冬から春になった。 登園時に着ていた上着は要らなくなり、制服の下に着ていたトレーナーをロンTに替えた。 それだけで気分が一新したような感…

一週間の登園自粛

とうとう幼稚園で同じ組の園児にコロナ陽性者がでて、3月7日から11日まで、登園自粛(という名の幼稚園閉鎖)となった。 感染者は次々と判明し、現在園児8名職員3名。 そこそこの数だ。 去年だったらニュースになってクラスターと呼ばれたんじゃないかと思う…

サトイモの音楽会

先週、サトイモの幼稚園で音楽会があった。 三学期に入ってからは、幼稚園での保育時間はほとんど音楽会の練習に注がれていた。 ただ、三学期のほとんどといえば、オミクロン株が大流行したせいで多くの児童が登園自粛していて、「みんなで一緒に歌や合奏の…

お正月の父の印象

今更だけれど、年始の父の印象を書き残しておこうと思う。 年々老人らしさが増してくるけれど、なんとなく去年より生活者としての活気が出てきたように感じられた。 スマホを導入して孫の画像や動画をたくさん見れるようになったこと リハビリに週一回通うよ…

2月の憔悴

1月の末、とうとうサトイモの幼稚園で自宅保育要請が出た。 つまり園閉鎖である。 これまでの神戸市の方針では、幼稚園の同じ組にコロナ陽性者が出たら学級閉鎖。 そして、同じ組の園児全員にPCR検査をする、という話だった。 ところが、オミクロンの感染爆…

コロナの影

ブログにダダ漏れの愚痴を書き散らしたおかげで、少し精神を持ち直してきた。 そして振り返ってみると、前回の文章に全く最近のコロナ禍について言及していなかったことに思い当たった。 でも、ここ最近のオミクロン株の大爆発が生活に影響していないはずは…