六甲アイランドで手塚治虫展
先日彼氏と空港コードの話になった。
関西空港だとKIX、大阪(伊丹)空港だとITM、羽田はHND、成田はNRT。
まるでAKBやNMBみたいだ。
「神戸空港は何か知っとう?」
と尋ねられ、
「KOB?」
と答えると、
「と思うやろ? 正解はUKBやで」
と言う。
KOBという空港がすでにあるらしく、その名前を取れなかったらしい。
じゃあ、Uは何なのかというと、わからない。
知恵袋に同じような質問があって、UniverseのUじゃないかという説が有力らしい。
らしい、っていうのも変な話。
「UKBはようわからんけど、竜馬空港とか鬼太郎空港とか、変な名前がつかんかっただけよかったわ」
と、彼氏。
「単に、神戸と言えばこの人!って偉人がおらんだけちゃう?」
と私の主張。
と彼氏は言うけれど、空港の名前になるほどではない。
と私も名前を挙げてみたけれど、彼氏は三人とも知らないという。
えーっ、横溝正史も!?!
「ほんなら、古田新太空港でええんちゃうか」
というところで、二人の合意となった。
百歩譲って、神戸出身ではなく兵庫県出身ともなれば、もっとたくさん有名人がいるけれども、そうなるとたくさんすぎる。
その中でもあえて絞るなら、兵庫県出身の最も偉大な有名人は手塚治虫だと思う。
その神様の展覧会を「神戸ゆかりの美術館」へ見に行った。
この美術館の名前も、「ゆかり」っていう逃げがこずるいね。
展覧会のハイライトは、神戸の北野が舞台になっている『アドルフに告ぐ』。
ちょうど8月、戦争について振り返る時期でもあるから、とても感慨深く見ることができた。
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蛇足な説明だけれど、『アドルフに告ぐ』は神戸に住むドイツ領事の息子のアドルフと、パン屋の息子のアドルフ、そしてアドルフ・ヒトラーの三人のアドルフにまつわる話。
展示では、漫画で描かれた外国人住宅のモデルとなった異人館の写真を比較できるように展示されていた。
私は中学生のときにこの漫画を読んだきり。
その当時は戦争のことも、ナチスのことも、神戸のこともよく知らなかった。
今なら当時と全然違うふうに読めるだろうから、ぜひ再読しなきゃと思う。
神戸に住むようになって、漫画に登場する在日外国人のことをよりリアルに感じられるようになった。
例えば、八百屋のおじさんが、ドイツ人のクォーターだというので驚いたことがあった。
冗談かと思ったら、本当に祖父が洋服のボタン技術を指導にやって来たドイツ人で、
「おじいさんの名前はウィルヘルムやで」
と、コテコテの神戸弁で言うのだから呆れてしまった。
会場だった「神戸ゆかりの美術館」は、六甲アイランドにある。
この立地もまた、アドルフのことをちょっと想起させられた。
というのも、六甲アイランドは北野や旧居留地のように、外国人が多く住む地域だからだ。
P&Gなどの外資系企業があるので、その外国人社員たちが住んでいる。
日本だけれど、ここもちょっとだけ外国。
コミュニティを形成しなければ、外国人にとって日本の社会は住みづらいという裏返し。
昔の六甲アイランドは、映画館もあったし、ショッピングモールもにぎわっていたけれど、映画館も閉館し、お店もどんどん閉鎖していっている。
行ったのは8月11日。祝日でお盆休みの始まりだというのに、ショッピングモールの中は驚くほど閑散としていた。
寂しいけれど、ごった返す三ノ宮よりこっちのほうが正解。
とはいえ、寂しすぎる。
だだっ広い建物内の広場の中には、誰もいなかった。
ラピュタかここは?!? ロボット兵が花摘んで出てくるんじゃね??
あ、アトムとかロビタかも。
祝日の昼間にこれとはひどすぎる。
まるでSF、ロストワールド。