車イス、エクステンション!
介護保険で母の車イスをレンタルし始めたのは、2014年12月のことだった。
それまで、家の中ではコマつきのイスに座らせて引っ張ったり、病院や公共施設に置いてある車イスを借りたり、だましだましやってきたけれど、完全に歩けなくなってきてからは車イスがなくてはならない道具になった。
母が病気になるまで、車イスというものに触れたこともなかった。
すごく縁遠いものだったと思う。
だから使い方も知らなくて、当初は訪問リハビリの療法士さんから使い方を指導してもらったりしていた。
後ろから押すだけじゃないの?
と思われるかもしれないが、段差があるところの乗り越え方とか、移乗のときの安全な操作方法とか、知っておくべきことはいろいろある。
日常的に最もよく使う機能が、サイドブレーキだ。(ハンドルのところについているグリップ式のブレーキではない。正直、これはほとんど使うことがない。)
車イスの両側にはサイドブレーキがついている。
勝手に動かないようにタイヤを止めるストッパーである。
どんな車イスでも、このサイドブレーキが低い位置についていて、意外と固い。
自分で操作する人だとこの位置でよいのかもしれないが、後ろから押す介護者にとっては少しかがまないと手が届かない。
しかも固いから、少し力を入れないといけない。
頻繁に操作するブレーキなのに、いちいちかがんで、力を入れてレバーを操作するのは面倒なものである。
どうやったらこのレバーを操作しやすくできるかというと、
「ラップの芯を差すといいですよ」
と、ケアマネさんが教えてくれた。
そう言えば、病院で車イスの横にラップの芯を差している人を見たことがある。
「長さが出るから操作しやすくなるんですよ。テコの原理で軽くなりますし」
なるほど!
それ以降、ラップを使い切るとその芯を車イスに差すようになった。
やってみると、すごくラク!
ラップの芯の端をポンと押すだけでブレーキをかけたり解除したりできる。
ちょっとブサイクだけど、すごく操作しやすい。
ラップの芯は、車イス便利グッズとしてなくてはならないものになった。
けれど、ラップの芯には難点が。
使っているうちに端のほうが金具にこすれて、すぐにボロボロになってしまうのだ。
ラップだってそうすぐに使い切るものではないので、ボロボロのラップの芯をガムテープで補強しながら使っていた。
ボロボロのラップの芯を差している車イス。
ブサイク!そしてビンボくさ!
ラップの芯がボロボロになって困る、という話を再びケアマネさんにすると、
「塩ビパイプを使っている方もいますよ」
とのこと。
なるほど!
塩ビなら、紙でできたラップの芯みたいにボロボロにならない!
ちなみに、塩ビパイプってのはこういうやつ。
その後、さっそくホームセンターで、ラップの芯くらい(直径3センチくらい)の塩ビパイプを買ってきた。(ぴったり同じのはなかったと思う)
売り場にあった最も短いものが0.5メートルだったので、買ってきてから父にノコギリで半分(25cm)に切ってもらった。
これで、ラップの芯とだいたい同じ直径と長さ。
差してみたらちょうどよかった。
これで、端が擦り切れる問題も解決。
しばらくはそれで使っていたのだけれど、ネズミ色の塩ビパイプは、ラップの芯同様見た目がビンボ臭い。
そうだ、と思いついて、キレイな柄のマスキングテープを貼ってみた。
マスキングテープって、かわいいからつい買ってしまうものの、机の引き出しに入ってるだけになってたんだよね。
そしてマステでパイプをデコったのが2年前。
この状態でずっと愛用してきた。
2年も経つとさすがにテープがはがれてきて、ボロボロになってきた。
昨日ようやく思い立って、テープの貼り直しを行った。
今回使ったマスキングテープは、神戸港150周年記念の「神戸タータン」チェック。
せっかく誕生した神戸タータングッズが何か欲しくて、最も安価なマスキングテープを買ってみたものの、使い道がなかったところだった。
左が修繕前、右が修繕後。
ちょっと地味になったけれど、まあよし。
チェックのおかげで前よりも歪まずに真っ直ぐ貼れたみたい。
テープを貼る作業はテレビを見ながらすぐにできたので(録画していた『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送の1話分もかからなかった)、もし同じようにラップや塩ビパイプを使っている人にはおススメ。
ちょっとした工夫で、なんとなく華やかじゃない?
介護用具にこそ、潤いがあるほうがいい。