3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

クラブ月世界でフラカンの『フォークの爆発』

9月12日は、神戸クラブ月世界へフラワーカンパニーズの『フォークの爆発2017 〜座って演奏するスタイルです〜』を見に行った。

一度は行ってみたかった月世界

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まずは何しろクラブ月世界である。

高いビルから三宮を見下ろせば、ちょっと目立つ昭和なネオン看板が目に入る。
だからずいぶん昔から月世界という場所は知っていた。
それが大人の遊び場であることも。

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月世界は、東門街という歓楽街の中にある。
東門街がどんなかんじのエリアかというと、北野武監督映画『アウトレイジ』で、新宿歌舞伎町を思わせるガラの悪い街のロケ場所が、実は三宮東門街なのである。
でも、歌舞伎町と比べたらもちろん規模は小さいし、派手さもないんじゃないかと思う。
(ある意味、神戸のほうがあの業界の本場ではあるけれども。先日も長田で射殺事件とかあったし。)

「震災前、東門街にウジャウジャいたギラギラした目の男たちは、一体どこに消えたんやろうなぁ…」
と、あるバーのマスターが嘆いていた。
私は今も昔も東門街をよく知らないけれど、栄枯盛衰は感じる。

東門街の真ん中で、クラブ月世界はキャバレーだったりディスコだったりしたらしい。
今はパーティースペースだったりライブハウスだったり。
大阪千日前の味園にあるユニバースがキャバレーからサブカル系ライブスペースになっているのと似た道をたどっている。

そんな月世界で、フラカンのライヴが見られるというのも感無量。

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初めてのフォークの爆発

『フォークの爆発』、通称「フォー爆」はフラカンが行っているアコースティックスタイルでのライブツアーシリーズだ。
フラカンのライブはできるだけ行っているけれど、「フォー爆」は今回が初体験。

フラカンの楽曲とフォークに親和性が高いのは十分わかっているけど、ふだん見慣れているロックでパンクなライブがどうなるんだろう?と楽しみにしていた。

で、何が素晴らしかったかというと、アコースティックのほうが歌詞が聞き取りやすい!(笑)
フラカンの素晴らしさの第一は、鈴木圭介の書く歌詞なのだけど、ふだんのライブだと聞き取りにくいこともしばしば。
それは決して悪いわけではなくて、ライブの勢いと音の洪水の中では、若干聞き取りにくくなるのは仕方ないこと。
こっちだって飛んだり跳ねたりしてるしね。

それがアコースティックだと、じっくりゆっくり聴ける。
言葉のそれぞれが、胸の奥にしっかり届く。

今回はニューアルバム『ROOL ON 48』の発売ツアーでもあって、新曲からもいくつか演奏してくれた。
先週リリースされたばかりでそれほど聴きこめてないから、『キャンバス』なんかはむしろアコースティックアレンジのほうが正調なんじゃないかと思ってしまった。

カバー曲も3曲あった。
チャーリー・コーセイルパン三世のテーマ』、RCサクセション『Oh! BABY』、井上陽水『氷の世界』。
ルパン三世は神戸だから選曲してくれたのかしら。

びっくりしたのは、『Good Morning This New World』という曲でみんながリコーダーを吹いていたこと。
メンバーが、ではなく、お客さんが。
去年のフォー爆で、「リコーダーを持ってきてこの曲のフレーズを吹いてね」という呼びかけがされていたのは知っていたけれど、去年参加していなかった私は、みんなが当然のようにカバンからリコーダーを出してくる様子を見て不意打ちをくらってしまった。
しまったぁ、用意してくるんだった!
来年は実家で探して持ってこよう。
それより、持ってくる以前に練習しなくちゃ。
リコーダーの運指、まだ覚えているかな。

いつだってグレートマエカワに敬服

ニューアルバムは、それまで所属していたソニーのメジャーレーベルを離れ、自主レーベル「チキンスキンレコード」を立ち上げてのリリースだった。
メジャー→インディーズ→メジャー→インディーズと、4度目の変身。
契約が切られたわけじゃないのにわざわざ再びインディーズへ、というストイックさが、いかにもフラカンだなぁ、と思う。

バンド・ヒストリー本である『消えぞこない』にも書かれているけれど、フラカンは自分達のバンドを続けていくために、自分たちで会社を作った。
自分たちというか、社長のグレートマエカワが。

ベーシストでアーティストの顔と、皆に方向性を示すバンドリーダーとしての顔と、会社として経営を成り立たせていく社長の顔と、その3つをこなしていくグレートマエカワに、いつも敬服の念しかない。

この日もグレートマエカワはライブ終了後、物販ブースに立ち、ファンのサインに応えていた。
その姿をみると、ほんと敬礼したくなる。

やりたいことをやりながら、なおかつ生活を安定させるなんて、両立できっこない。
誰もがそう思っている。
だから、やりたくなくても生活のための仕事をする。
生活のための仕事のせいで時間も体力も消耗してしまって、結局やりたいことなんて何一つできなくなっている。
それ、私やん。

本当に、やりたいことをやってたら生活できなくなるのかな?
甘くないけど、経営やビジネスやお金の管理を誠実にやれば両立できるんじゃないか?
そんな目からウロコの道を、グレートマエカワが示してくれている。

ほんとにグレート。

フラカンの曲はいつも私を励ましてくれるけれど、バンドの姿勢そのものが新しい可能性の塊だ。