3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

産婦人科を受診した。

そこは神戸ではそこそこ有名な産婦人科で、友達がそこで赤ちゃんを産んでいた。
彼女が切迫早産しかけて入院していたときにお見舞いに行ったのだ。

産婦人科病院というところにそのとき初めて入ったのだけど、普通の病院とは全く異なる雰囲気に驚いた。
病院というのはたいてい死の匂いや老いの悲しみに満ちているのに、その産婦人科病院は生の喜びに包まれている気がした。

初めての受診でよくわからないので、受付の人に聞きながらタッチパネルで初診の申込みを済ませ、問診票を書き込んだ。

受診理由は「妊娠かどうか」というところに○をつける。
配偶者の氏名を書く欄が書き込めないので空欄にしておくと、書類をチェックする職員さんから、
「未婚でも、おわかりになって書けるようならお書きください」
と言われる。
おわかりなので、とりあえず欄は埋めた。

受診前に血圧と体重を測る。
例年の健康診断では毎年上が100を切る低血圧なのに、130もあって驚く。
体重も過去最高に増えている。

診察室に呼ばれて、先生の問診。
「最終月経が書かれてませんね」
と聞かれたので、
「実は、最終月経がはっきりしないのです」
という話をする。

7月下旬にあったのがまともな生理の最後。
でも、9月に少量の生理のようなものが短期間あったので、おかしいなと思いつつ、これまではそれが生理だと思い込んでいた。

妊娠を疑い初めてからネットで検索すると、着床出血というのもがあるらしくて、もしかしてこれだったのかも…、と思わなくもない。

「とにかく見てみましょう」
ということで、診察台へ。

先生が私の下腹部を触って、
「ずいぶん子宮が大きくなってますねぇ」
と言うので、
「便秘で詰まってるものだと思ってたんですけど…」
と返すと笑われた。

「エコーをとりますね」
あっという間にモニターに画像が映し出される。
「もうだいぶ大きいですよ。これが頭です。ここ、心臓が動いてるのがわかりますか?」

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えーっ?!
えええええーーーっ?!?!

あまりにビックリして、大笑いしてしまった。
笑うしかなかった。
大便だと思っていたものが、人間だったんだもの!!

ロックバンド「特撮」の『ケテルビー』という曲の、
「猫かと思ってよく見りゃパン しかも1斤、1斤」
という歌詞を思い出す。


診察室に戻ってイスに座ると、先生がまず、
「おめでとうございます」
と言うので、条件反射的に、
「ありがとうございます」
と答えるしかなかった。

「頭の大きさから測定すると、予定日は5月1日ですね。こちらエコー画像です。これでは5月3日になってますけど、誤差範囲でしょう。」

何を言われても絶句してしまう。

「9月にあった出血はなんだったかはわかりませんが、最終月経は7月ので間違いないですね」
「あのぅ、高齢なんですけど、危険性はないんですか?」
「自然妊娠ですよね? なら、ここまで大きくなってるわけですし、問題ないでしょう。ただ、ダウン症などの障害が不安であれば、出生前診断を受けることはできますよ」
出生前診断を受けて障害があることがわかったら、何かできることはあるんですか?」
「赤ちゃんをあきらめる方もおられますし、生まれる前から治療や対応方法を準備される方もおられます」
「産むか産まないか、二者択一しかないんですね…」
「デリケートな問題ですので、ご家族とよく話し合って決められたらいいかと思いますよ」

初老にさしかかっている男性の先生だったけれど、とても優しく穏やかに話してくれたので、まるで自分がまともなプレママのような気がした。

「2、3日中に血液検査に来てください」
と先生は私に言いながら、
「血液検査はチケット使えるよね」
と、これは私に言ったのか、看護師に言ったのか、独り言なのかわからない小さい声でつぶやいた。

だいたい私には「チケット」の意味がわからない。

診察室を出ると、看護師さんから母子手帳の申請について説明を受けた。

「なるべく早く区役所で母子手帳をもらってくださいね。母子手帳と一緒に、診察費用を補助してくれるチケットがもらえますから。血液検査のときにそれを使えばいいですよ」

なるほど、そういうものがあるのか。


まるでRPGのごとく、あそこへ行ってあれをしろ、ここへ行ってあれをもらえ、とクエストが出てくる。

母子手帳の申請には、面倒くさいことにマイナンバーの証明が必要らしく、一旦部屋に取りに戻ってからの出発だ。
せっかく午前年休を取ってるのだから、なるべく多くのクエストをこなしたい。

次は区役所だ。《続く》