3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

働くくるまと発砲事件

とりあえず春から始めた「こどもちゃれんじ」だが、毎月教材が届くごとに、うまくできているなぁ、とつくづく感心するようになった。

絵本もおもちゃもDVDも、子どもの心をつかむようにできているのだ。

幼い子どもが興味を持つ内容を的確に突いてくる。

5月号の「のりものパズルずかん」が特にそうだ。


f:id:naminonamimatsu:20191012000521j:image


大人の私から見ると、

「4月号は最初だし入会させないといけないから豪華だったけど、5月号はしょぼすぎる! 釣った魚に餌をやらない方式か!」

と感じていた。

それに対し、子どもの感覚は親とは正反対で、毎日必ず「のりものパズルずかん」を出してきて遊んでいる。

毎日遊ぶし、なめたりかじったりしてたから、もうボロボロ。

 

大好き、働くくるま

うちの子は男の子だから、働くくるまが大好きだ。

好きならば、本物を見せてやりたいのが親心である。

工事現場で重機を見かけると立ち止まって、

「ほら、ショベルカーだよ。あっちにはコンクリートミキサー車もいるね」

と話しかける。

「あっ、あっ!」

と指をさすサトイモ

いつも買い物にいくスーパーの横には消防署があって、消防車と救急車を見ることができる。

出動しているわけじゃないので、「ピーポーピーポー」や「ウーウー、カンカンカンカン」の音はわからないけれど、本物の大きさは感じてくれていると思う。

 

夏の終わりごろから、スーパーの行き帰りでパトカーも見ることができるようになった。

スーパーの近くにある、山口組暴力団山健組の事務所の前に、パトカーがずっと停まっているようになったからである。

音は鳴らないけど、パトランプもピカピカ赤く光っている。

「パトカーだね~。おまわりさんが乗ってるね~」

と言いながら、前を通り過ぎる。

パトカーを指さしたり、おまわりさんにバイバイするサトイモ

警察官もさすがに手を振り返してはくれないけれど、会釈くらいは返してくれていた。

日によっては、パトカーと覆面パトカー(乗用車にパトランプだけついてるやつ)の2台に加え、少し行った公園の横にもう1台覆面が停まっている日もあった。

車には警官が2人ずつ乗っている。

なんでこんなに厳重に警備しているのか、私たちは知る由もないので、

「なんぼ交代勤務でもあれは退屈やと思うわ~。じっと乗ってるだけで人件費かさむんやし、税金ドロボー言われてもしゃーないね~」

なんて、軽口を叩いたりしていた。

とにかく、パトカーを毎日間近で見られるのはちょっとうれしかった。

児童館にあるパトカーのおもちゃで遊ぶのも、ぐっと楽しくなった気がする。

 

反社会的勢力の人たち

サトイモの特技は「パチパチ」と「バイバイ」。(ていうか、それしかできない。)

その特技は道行く人誰にでも発揮される。

ある日なんか、信号待ちをしているタクシーのおじいさんがわざわざ窓を開けて何か言っているので、わざわざ近寄って何を言っているのか耳を傾けたら、サトイモがバイバイするので、

「バイバイ~!バイバイね~!」

と返事をしていただけだった。

おじいさん、孫かなんかを投影してたのだろうか。

 

つい先週のこと。

スーパーでレジを済ませて買い物袋に品物を詰めていたら、隣で袋詰めをしていたのが組事務所の人だった。

作業着を着ていて、見た目もすごく普通

私はご近所だから組事務所に出入りしているのを知っているけれど、知らなかったら絶対にそのスジの人だなんて思えない優しそうなお兄さんだ。

もちろん、スーパーで買い出しをしているくらいだから、立場もえらくないんだと思う。

サトイモはお兄さんにもバイバイした。

「めっちゃかわいいっすね!」

と、お兄さんは言ってくれた。

「家ではゴンタで、さっきもめっちゃグズッてたんですよ~」

「それは大変すねぇ」

そんなふうに会話をして、サトイモはまたお兄さんにバイバイした。

 

昨日の午後、子育て広場の帰りに保育士の先生から、

「さっき発砲事件があったそうですよ。犯人はまだ捕まってないそうですから、お気をつけて」

と教えてもらった。

「でも、発砲ってことは組関係ですよね? 無差別通り魔とかと違って、ターゲットがはっきりしてるでしょうから、一般人は大丈夫ですよ~」

と私は呑気なことを言った。

空にはうるさいくらいヘリコプターがいっぱい飛んでいた。

ベビーくもんの教材にヘリコプターが出てくるんだけれど、なかなか本物を見せてあげられなかったので、

「あれがヘリコプターだよ~。羽がくるくるまわるんだよ~」

ここぞとばかりにサトイモに教えた。

ヘリコプターが見られてラッキー!

そんな気分で帰りにスーパーへ寄ろうとしたら、いたるところが黄色い立ち入り禁止テープで塞がれ、警察官が立っていた。

「これじゃスーパーへ行けないじゃないの!」

なんて文句をいいながらテンションが上がってお祭り気分になり、ご近所のママ友に、

「発砲事件、大変なことになってる~」

なんてLINEを送り、ニュースを検索しまくった。

 

2人、亡くなったという。

30代と40代の男性。

昨日のニュースでは、それが組の人なのか一般人かすら報道されてなかったけれど、思ったほど大きく報道されないってことは一般人じゃないんだろうと推察された。

今日ようやくニュースで亡くなった方の実名が出ていて、やはり組の人だったようだ。

 

人間の命はすべて尊い、はず。

だけど、世間的には「組同士の抗争でヤクザが2人死んだ」ことは、サラリと流れていく。

普通の人が殺されるのとは扱いが違うんだな、と思った。

名前なんて知らないからわからないけど、「めっちゃかわいいっすね」と言ってくれたお兄さんの可能性がないとは言えない。

もしあのお兄さんだったら…?、と思ったら悲しくなった。

若そうに見えたから、年齢的に違うか。

違うと思いたい。