3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

父の介護者担当者会

父の介護認定更新を受けて(要介護1)、先週土曜日、父の介護者担当者会が開かれた。

ヘルパーの窃盗事件をきっかけに、新しく担当になってもらったケアマネジャーさんは、大事な局面ではまめに連絡をくれる。

前の人とは大違いだ。

今回も、現状の課題共有と今後の方針を話し合いましょう、と声をかけてくれた。

 

参加者は、ケアマネさん、ヘルパー責任者の益子さん、父、そして私。

司会がケアマネさん、主に益子さんからの現状報告という形で会は進められた。

 

課題はこんなかんじ。

  • 11時半ごろやってくるヘルパーさんに起こされて起きるので、朝ごはんは抜きになること。
  • 起き抜けなので昼食も食が進まないこと。
  • 昼の食後はヘルパーさんが見守っているので薬が飲めるが、夕食後の薬はほとんど飲めていないこと。
  • 左脚の動きが悪化しているので、歩行がさらに不安定になっていること。
  • そのせいもあって、トイレに間に合わず、リハビリパンツを汚してしまう回数が増えたこと。
  • トイレに行く回数を気にして、水分をあまり取らない傾向にあること。
  • それでかかりつけ医に頻尿の薬を出してもらったのに、夕食後の薬なので飲めていないこと。
  • 飲めていないのに、「まだ改善しない」と医者に訴えたので、強い薬に変わったこと。

 

どれもこれも、状況は以前より悪化しているものの、想像の範囲である。

ていうか、父のライフスタイルそのもの。

 

薬が飲めない問題

「夕食を食べてないから夜の薬が飲めてないんですかね」

と私が聞くと、

「1日のうちで一番しっかり召し上がるのは晩ご飯です」

と益子さん。

「お父さんは認知症ではないのでね、薬を飲まなあかんことはわかっとってですよ」

とケアマネさんが言い、

「ですよね?」

と父に促すと、父は目をつぶったまま、うんうんとうなづく。

 

「じゃあなんで飲めへんのかな?」

と私が訊くと、

「どうも面倒くさいんやなぁ」

と父。

「でも、何回もおしっこに行くほうが面倒くさいんちゃう?」

「それもそうか」

と言う。

 

どんな薬も飲めないかというと、睡眠導入剤サプリメントは飲んでいるというので、

「じゃあなんで医者の薬は飲めへんの?」

と尋ねると、

「さぁ、なんでか、面倒くさいんやなぁ」

としか父は発言しない。

 

するとケアマネさんはピシャリと、

「こればっかりはね、私も益子さんも何もしてあげられへんわ。お父さんが自分で飲む気になって飲むしかないですからね。頑張ってお薬飲んでくださいね」

と場をしめてくれた。

 

「わかった、頑張って飲むわ」

父は渋々承諾。

正直、その返事に私は、

「誰の健康管理やねん!自分のことやろ!」

とツッコミたいところだったが、言わずにおいた。

この図式、何かに似てるな、と思ったら、幼稚園や学校の三者面談みたいだ。

本人、保護者、担任の先生、園長先生みたいなかんじ。

子どもだったらいたたまれない。

老人も同様だろうと、

「みんなでお父さんを責めてるんやないんやで。どうやったらうまくできるか、みんなで考えてるんやで」

と私は自分では諭すように言った。

それでも父には叱られているように感じたかもしれない。

 

新しいリハビリに行く

今回最も進展したことは、父がリハビリに行くことに承諾してくれたことだ。

かつては、デイサービス型のリハビリ施設に通っていたのだが、2年ほど前からサボりがちになり、全く行かなくなってしまった。

(そういえばそのときも、前のケアマネは全く連絡してこなかったな。)

 

行かなくなった理由をじっくり聞き取ったら、こんなかんじ。

  • あんなリハビリでは良くなるような気がしない。効果を実感できない。
  • 家で自分で体操をしているから行かなくても大丈夫。
  • 車で送迎に来てくれるのはいいが、寒い時期に外で長く待たされたことがある。

 

最後の理由については、益子さんが事情を詳しく教えてくれた。

そもそも父が起きるのが遅いため、13時のお迎え時間に用意が間に合わず、送迎車を待たせることが多かった。

送迎車には他の利用者も乗っているため、リハビリスタッフから、注意を受けたという。

「すぐ車に乗れるよう、到着時刻には玄関先で待っていてください」

まったく正当なお願いのような気がする。

それなのに、父はそれ以来ヘソを曲げ、リハビリ施設との関係が悪くなってしまったそうだ。

ちょっと指摘されただけで、全否定されているみたいに感じる、父の悪いクセ。

 

だからといって、どんどん筋力も落ち、関節の動きも悪化しているのにリハビリに行かないというのは問題だ。

「前のとこがイヤやったら、別のとこに変えてもらったらええんよ。ねぇ?」

と私が言うと、

「デイサービス型のリハビリは近くではあそこしかないんですが、お医者さんが必要と認めたら通えるリハビリ施設ならありますよ。それに、通うのが嫌やったら、リハビリの先生に家に来てもらうこともできます」

とケアマネさんは提案してくれた。

「来てもらえるんですか? それええやん! 遅刻することもないし、待たせることもないし!」

私はノリノリで言ったが、父は渋い顔。

「いや…」

というが、そのあとの言葉が続かない。

すると、益子さんが、

「行くよりも来てもらうほうがもっと嫌らしいんです」

と言う。

「なんでよ〜」

「来てもらわんでええ。行く」

観念したように父は言った。

 

その後、ケアマネさんがすぐに新しいリハビリ施設に連絡を取ってくれて、来週契約し、そのあと通い始める段取りになった。

即決!

これまでもリハビリに行くように、ケアマネさんも私も何回も説得したけれど叶わなかったのが、ようやく進展した。

やっぱり対面でのミーティングは効果があるもんだ。

 

課題はいろいろあるけれど

そのあと、父の脚の皮膚炎と足の爪水虫の薬をヘルパーさんが塗ってくれる様子を見学。

脚の皮膚炎はお風呂で水洗いしながら、塗り薬の手当をしてくれるという丁寧さで驚いた。

5年以上前から患っていた皮膚炎は、私は「ちゃんと薬塗りなさいよ」と注意するばかりで放ったらかしだった。

それをここまでケアしてくれてるなんて。

自分が何もしなかっただけに、本当に申し訳ない気持ちになった。

 

あとは庭木問題。

お隣さんから、うちの庭木が進出して困ると苦情があったという。

父に言わずにヘルパーさんに言うというのもなんだかなぁとは思うが、たまたま顔を合わせたタイミングだっただけだろう。

 

私が滞在中少し切って、あとは庭の手入れを頼めるシルバー人材センターの電話番号を父に渡して帰った。

 

益子さんから、

「ご本人は娘さんに言わないでしょうけど、やっぱり寂しいみたいです」

と言われた。

電話しても面倒くさそうにするだけだから、ついつい構わなくなるけれど、もう少し父のことも気にかけないといけないかも。

 

いろいろあるけれど、こうやって軌道修正しながらなんとかやれている。

介護サービス、本当にありがたい。