3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

知能検査を受けた結果(3)

【前回からの続き】

前回2回で専門家による知能検査(WISK-Ⅳというらしい)結果の分析について書いた。

専門家について、ずいぶんズケズケ言う失礼な人みたいな書きぶりをしてしまったが、言われている私はそんなに嫌な気はしなかった。

「お母さん、あの子と付き合うのは大変だったでしょう」

と言ってくれたときは、理解者が現れたような気持ちになった。

 

「うちの子は問題児で手がかかって大変だ」

と愚痴をもらしても、たいていの人は、

「男の子なんてそんなもんよ。もうちょっとしたら落ち着くんちゃう?」

と慰めてくれる。

そりゃそうだ。

「あんたの子、めちゃくちゃ問題児やなぁ」

とは言えないからだ。

「どの親も同じように大変なんだから。みんな同じように頑張ってるんだよ。あなただけが特別じゃない」

それが、優しさから出た言葉なのはわかる。

夫もそのクチで、私がサトイモを育てにくい子だと愚痴ると、

「自分の子どもを発達障害児扱いするんか」

と諌めた。

 

でも、私は特別しんどくて、特別大変な場所で奮闘しているのを認めてもらいたかった。

特別扱いしてほしかったのだ。

だからこそ、専門家が、

「大変だったでしょう」

と言ってくれた言葉が忘れられない。

 

「あの子がおったら家事なんかできへんでしょう」

「そうなんですよ。でも、もともと家事が好きじゃないので、できへん言い訳にさせてもらってます」

「とっくに限界を超えてますよ。よく頑張ってこられましたね」

なんだかじんわり、恥ずかしいようなくすぐったいような、ちょっと泣きたいような気持ちになった。

 

思わず視線をそらしちゃう

その後、

「順番が前後しますが」

と、妊娠中から赤ちゃんの頃、幼稚園入園までについて、専門家によるヒアリングが始まった。

 

妊娠中のことだなんて、ずいぶんさかのぼるんだな、とは思ったが、すべてつながっているということなんだろう。

「こだわりはありますか?」

「大きな音を嫌がることはありましたか?」

「お母さんの手を持っていって操作させる、ということはありますか?」

「トランポリンなどでジャンプをするのが好きですか」

といった質問内容から、発達障害について当てはまるかどうか聞かれてるんだな、ということはピンときた。

当てはまるものもあるし、ないものもある。

 

その中で、びっくりしたのが、

「視線が合いませんね」

と指摘されたことだった。

「えっ?合いませんか??」

「さっき少しここにいたとき、一度も目が合いませんでした。パッと見、気づかないかもしれません。絶妙に少しだけズラしてます。上手に、しかも意図的に。」

 

言われてみて初めて気がついた。

目が合わないことはないが、ときどき、必死にしゃべっているときにどこを見ているのかわかないときがあるのだ。

それを夫は、

「おい!おまえまたロンパリなってる!」

と言い、お姑さんも気にしてやいやい言うので、眼科に斜視の検査をしに行ったことがあった。

結果、眼球の位置は正常で斜視ではない、幼児のうちは鼻梁が低いので斜視に見えがちなだけだ、と言われたのだった。

 

「視線をずらすから、斜視みたいに見えるんですよ」

専門家に言われて、

「目が合わない」

という指摘がズシンと重くなった。

それは、ネットなどでよく出ている発達障害診断によく出てくるチェック項目だからだ。

 

診断は必要か否か

「お母さんから『ADHDかもしれないと思って発達支援教室に通い始めた』というお話があったので、あえてADHDという言葉を使いますが、私はそうだと思います。加えて、そのほかにも可能性はあるでしょう」

「そのほかっていうのは、アスペルガーとかですか?」

私が尋ねると、専門家はなぜかはっきりとは口にせず、

「可能性はあると思います」

と濁した。

 

そのくせ、

「病院で診断を受けて、はっきりわかったほうがいいでしょうか?」

と尋ねると、

「診断が必要ですか? 」

とややトゲを感じる口調できいてくる。

いや、こっちが聞いとんねん。

「名前をつけるより、この子の今の状況を理解してあげるだけでええんと違いますか」

そう言われたら、ぐうの音も出ない。

 

そのくせ、

「診断を受けられるなら、病院を選んでください。発達障害に理解のない病院だと間違った診断を下されることがありますから、専門のところへ。ハーバーランドの近くに詳しい小児科があります。ADHDならお薬が効いて落ち着く場合もありますから」

と言う。

ますますどうしたらええねん。

 

「昔やったら、勉強できるんやからええやろ、とほっとかれたタイプです。でも今はそうではありませんから。大丈夫ですとはいいませんが、できるだけのことを探っていきましょう」

と、専門家は「通級指導教室」なるものをすすめてきた。

 

続きはまた

…というところで、また続く。

というのも、これを書いている金曜日、母の病院から電話があった。

肺炎を起こしていて、かなり呼吸が苦しそうだという。

「元の病気からして、いつ急変してもおかしくない状態ですので」

と今日中の面会を勧められた。

 

夫も早く帰ってきてくれて、車で母の病院に向かっている。