3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

井口昇の『キネマ純情』で百合に目覚めよ。

井口昇の名前を知ったのは、松尾スズキのエッセイだったと思う。
大人計画の劇団員かつAV監督という紹介がされてたと思うが、それから時が過ぎ、あれよあれという間に、大活躍の映画監督になった。

井口昇監督の『片腕マシンガール』は、マイ邦画ランキングの上位に入るお気に入りの作品だ。
神戸アートビレッジシアターに見に行ったときには、終演後の監督サイン会にも参加した。

サインをしてもらいながら、
「すごくオモシロカッタですぅ~」
と言った声が、緊張して上ずってしまったのを、井口監督が、
「すごくオモシロカッタんですかぁ~」
と真似して言われたのが、すごく恥ずかしかったのと同時に、かなりイラっと来たのを今でもよく覚えている。

片腕マシンガール』のほかにも、『恋する幼虫』や『電人ザボーガー』など、好きな作品は多いけれど、何よりうれしかったのは、我らがオーケン原作の『ヌイグルマーZ』を監督したこと。
原作と異なる部分が多いので賛否両論あるけれど、私はあれもアリだと思っている。

で、最新作『キネマ純情』。

ここのところ私は、暑さから夏バテ、さらにそれが夏風邪に発展。
体調不良この上なかったのだけれど、せっかく元町映画館で井口昇作品を上映してくれてるんだから、と見に行った。

5月21日には出演者のノーメイクスと井口監督の舞台挨拶とサイン会もあったみたいだけど、週末は出かけられないので、火曜日に行くことに。

神戸の映画館はたいてい火曜日がレディースデーで、料金が1,100円。
たいてい、女性のお客さんが多い…のだけど、なんと、
え?
私ひとり???

人生2回目の、映画館独り占めの栄誉に預かった。
(ちなみに1回目は、今はなき六甲アイランドの映画館で見た『レイン・オブ・アサシン』というミシェル・ヨーチョン・ウソン主演の武侠映画。)

『キネマ純情』は井口昇監督の願望が詰まった百合映画だとは聞いていたけど、想像以上のキスシーンの多さ。
一生分の女の子同士のキスを見て、おなかいっぱい。

何の脈略もなく、女の子全員がスクール水着を着るに至っては、ばかばかしいを通り越して清々しい。

男性が、ゲイのラブシーンを見るのは気持ち悪い、と言うのはときどき耳にする。
しかし、同じ同性同士のラブシーンでも、少女同士のキスというのはちょっと特別。
私は気持ち悪いどころか、微笑ましく思った。

かえって、男性が出てくるよりも、女の子だけの世界のほうが安心する。

もしかしたら私、女の子のほうが好きなのかも?!


話は脱線するが、一昨年まで、社内でも有名なセクハラ課長が私の上司だった。
新人の採用試験の日、そのセクハラ課長が、
「今日はどんな女の子が来てるのかなぁ。男はいらないから、若くてかわいい女の子だけ、採用したらいいのに」
と言うので、
「そうですよねぇ。おっさんをみーんなクビにして、全員、若い女の子に替えたら、空気がキレイになっていいんですけどねぇ」
と、言い返してしまい、その場にいた男性社員全員を凍りつかせたことがあった。

ときどき、なぜだかわからないが、
「女性だけで生きていけたらいいのに」
と思ってしまうときがある。

おっさんはいらん!
おっさんみんな死ね!

あ、でも、オーケンは死なないで。(おっさんじゃないから!おじいちゃんだから!)
あと、あの人と、あの人と、あの人とあの人とあの人と…、あ、やっぱり全員死なないでいいです、すみません…。

くだらない独り言はさておき、映画は、無理やりな女の子たちの愛にあふれ、アホくさすぎるエンディングで終わる。

呆れすぎて、見終わったあと、ちょっと元気が出た。
あ、夏風邪、ましになったかも。

映画『キネマ純情』予告編 - YouTube