3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』

10日祝日の夜は、ABCホールヨーロッパ企画を見に行った。

www.europe-kikaku.com


ヨーロッパ企画といえば、映画にもなった『サマータイムマシンブルース』に代表されるように、SF的な大きな命題とちっちゃい日常がうま~くミックスされた世界が繰り広げられる劇団である。
関西風に面白おかしく、でも京都だけあって決して下品にはならない絶妙な味付けが、観ていて安心感すら覚える。

今回の『来てけつかるべき新世界』もまさしくそうで、ディープ大阪な新世界を舞台に、AIやドローンが当たり前になった未来を描いていた。
串カツを食べるおっちゃん軍団 meets 攻殻機動隊の世界。
そのギャップの妙。

新しいテクノロジーに触れたときの人間の反応が2種類描かれていたのが面白い。
好奇心満載で喜んで受け入れる人と、抵抗感バリバリで拒絶する人と。
「おっちゃん」という人種が、特にその両極に別れるのが容易に想像できる。
どちらも、単純でアホまるだし。
そこが上田誠さんはうまい。

10日の夜公演後はアフタートークがあって、ヨーロッパ企画の劇団員5人が苦労したエピソードなどを語った。
印象的だったのは、大阪弁のイントネーションの話。
宮崎出身の永野宗典さんが、「スーパー玉出」が言えなくて苦労したというのだ。
標準語でも大阪弁でもスーパーはスーパーなのに??

ただ、永野さんが演じるのは、ホームレスのおっちゃんの役。
私の印象なんだけど、大阪にいるホームレスとか日雇いのおっちゃんって、大阪ネイティブの人が少ない気がする。
お金に困った人たちが西日本のいろんな地域から、日雇い労働などを探して西成に流れ着く、みたいなイメージがあるのだ。
情報源はときどき買ってる雑誌ビッグイシューだけだけど。

bigissue.jp

そういう意味で、串カツ屋と散髪屋とコインランドリーのおっちゃんたちは親から店を相続しててネイティブで、ホームレスのとらやんと将棋指しのおっちゃんが他の地方から来た人でイントネーションが若干おかしい、というキャスティングは相当リアリティーがあるのでは、と思ってみたり。

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ヨーロッパ企画には、本多力くんを見に行った。

本多くんは、宮沢章夫さんのワークショップに参加していたときの友達なのだけど、私の友人知人の中で今や最も売れている俳優さんだ。

楽屋に会いに行くと本多くんは、
「なつかしいですねぇ!何年ぶりですか?」
と言ってくれるんだけど、こちらは全然久しぶりなかんじがしなかった。
先月まで、『家売る女』と『ウシジマくん』で私は毎週本多くんの顔を見ていたんだから。

昔の思い出といえば、宮沢さんが本多くんに、「劇団ボンボンまゆげ」というアダ名をつけたことがあった。
「今度そう呼んだらグーで殴る!」
と本人は超嫌がったけれど、私は笑いが止まらなかった。
本多くんには悪いけど、さすが宮沢章夫さんの言葉のセンス!

私の中ではいまだに本多くんといえば「ボンボンまゆげ」だったのだけど、今回久しぶりに生で見たらボンボン感が消えていた。
それは立派な大人の俳優さんになったということ。

久しぶりに訪ねるのに手ぶらじゃまずいと思ったものの、本多くんが好きなものを何も知らないので、ネットで検索してみた。
しかし、劇団メンバーのプロフィールやWikiを読んでもわからず。
検索ワードを変えて「本多力 好物」で検索したら結果は下記のとおり。

f:id:naminonamimatsu:20161015000746p:plain

おいおい、検索エンジン大丈夫か??(ちなみにマイクロソフトのBingってやつだけど、やっぱりGoogleのがいい。)
結局、欲しい情報は得られずじまい。


私たちが宮沢章夫さんの関西ワークショップに通っていたのは、約15年前。
その頃は友達の情報をネットで検索するなんて思ってもみなかった。
あの時代から考えたら、今がすでに来てけつかるべき新世界。