3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

台風で、何にもない日曜日

金曜日の時点でケアマネさんから、
「17日日曜日は、台風の進路に重なりそうです。安全のため、通いの方には基本的にお休みいただいています。」
とメールが入った。

うちは玄関から道路に出るまでに外階段がある。
それだけでも雨の日は大変だ。
それが風があったり大雨だったら相当辛い。
今回の台風は大型らしいので、どうしようかなぁ、と思っていたところなので、二つ返事で日曜日のデイサービスをお休みすることにした。

日曜日は1日ずっと、母が家にいた。
元旦以来のことだ。

今の施設、小規模多機能に移ってからは、特別なことがない限り、日曜日も通わせてもらっている。
施設に行けばお風呂に入れてもらえるし(自宅じゃとても無理)、預けたほうが私の時間が確保できる。

小規模多機能は利用料金が定額制なので、日曜日に行っても行かなくても料金が変わらない。(ただし昼食代とおやつ代は実費別料金。)
以前通っていたデイサービス(通常のデイサービス)だと、行けば行っただけの料金が加算される。

うちの母は月曜日から土曜日まで毎日利用していたので、いつも介護保険が適用される限度額ギリギリいっぱいだった。
日曜日まで入れると枠からはみ出てしまう。
のっぴきならない用事(お葬式とかオーケンのライブとか)で日曜日も預かってもらったときは、保険がきかずに実費になっていた。

それを考えると、なんてありがたい小規模多機能の制度!!

■■ あれこれやろうと思ったのに ■■

ふだん母が家にいる間は慌ただしくしているので、せっかく時間がある今回はいつもしてあげられないことをしよう、と思っていたのだが、結局できたのは、爪にヤスリをかけることと耳掃除だけだった。

爪を削るだけじゃなくてマニキュアでも塗ってイタズラしてやろうか、とか、身体を拭いたついでに、サロンの真似事をしてリンパマッサージでもしてやろうか、なんて考えていたけれど、そんな余裕は微塵もなく、マッサージどころか清拭することすら忘れてしまっていた。

昼ごはんの準備と介助が増えるだけで、こんなにリズムが狂うとは思わなかった。
昼間預かってもらうありがたさを改めて知る。


■■ 今はしゃべらないからいいけれど ■■

疲れはしたものの、昔のことを思えば楽なもんだな、とかつての母のことを思い出していた。

まだつかまり歩きができていた頃は口が達者で、なおかつ認知症もあったので、うるさくてかなわなかった。

日曜日に家にいると、
「あーっ!! なみ松ちゃん、ちょっと来て!!」
と突然騒ぎだす。

私を呼び出す理由は4つ。

(1)デイサービスに行かなきゃ!
(2)同窓会に行かなきゃ!
(3)法事でお坊さんが来るから準備しなきゃ!
(4)トイレに連れて行って。

3つまでは妄想だけれど、4番目があるから無視はできない。

1時間おき、30分おきに、
「あーっ!行かなきゃ!」
が始まるので、おちおち家事もしていられない。

なまじ動けるうちは、わけのわからないものを持ち出したり、自分で立ち上がろうとして転倒したり、目が離せなかった。

今はオムツをしているので、慌ててトイレに連れていく必要もないし、身体も動かないのでケガをする心配もない。
しゃべれないから、うるさく騒ぐこともない。大人しいものだ。
それについては、ちょっとだけ寂しいし、
「あーっ!なみ松ちゃん!起こして!用意して!」
と呼ぶ声が懐かしくもある。

■■ で、歌をつくった。■■

何度も何度も、
「今日はデイサービスはないんだよ」
「同窓会は今日じゃないよ」
「お坊さんなんか来ないってば!」
と言っていると、当たり前だけれどウンザリする。

相手は、何度も何度も同じ事を繰り返すけれど、こちらは飽き飽きしてしまう。

同じ事を、飽きずに繰り返すにはどうすればいいか?

考えた末にたどり着いたのが、歌にすることだった。

だって、歌は同じ事を何度もリフレインするけど、メロディがあれば飽きないじゃない?
我ながらこれは名案だと自負している。


今日は日曜日
作詞・作曲:波野なみ松

今日は日曜日 何にもない日
茶話本舗もない 社協もない
デイサービスは休みさ
同窓会は 延期になって
日は追って連絡
何にもない 法事もない
お坊さんも来ない
何にもないから おうちで
のんびりしましょう


母が騒ぎだすたび、私はこの歌を歌った。
母もこの曲を覚えて、部分的に一緒に口ずさんでくれるようになった。
「何にもないからおうちで、のんびりしましょう」のところは、テンポをだんだんゆっくりと落とす。
特に、この部分は覚えやすいフレーズだったようで、一緒に歌えるようになった。

だからといって、「あーっ!!」の回数が減るわけではなかったけれど、私の歌唱力がちょっとだけ上がった。
少しだけ、楽しくなった。

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暴風雨の日曜日を覚悟していたのに、いざ当日になってみると、なかなか台風は来なかった。
デイサービスが全員お休みになったのがウソのような晴天だった。
(日が暮れて、夜になってからがすごい暴風雨だったけど。)
台風も来ない、今日は日曜日、何にもない日。

帯状疱疹ブーム到来!

■■ 彼氏の場合 ■■ 

彼氏の肩こりがひどくなり始めたのは春先からだった。

ひどすぎて指先がしびれて、日常生活に支障が出るというので、ペインクリニックを受診すると、頚椎ヘルニアだといわれたそうだ。

www.neurospine.jp

それ以降、彼氏は定期的にペインクリニックで注射を打っていたのだけれど、先月の末から2週間くらい、ヨーロッパへ出張に出ることになった。

北欧・東欧の国を転々としながらのハードスケジュール。

念のため、出発前日にもペインクリニックを受診して注射を打ってもらい、帰国までなんとか持つはずだった。

 

最初の頃はよかったのだが、途中から旅先から入るラインが怪しくなってきた。

「首肩が最悪。あまりに痛くて眠れない」

バンテリン塗りすぎて、肌がかぶれてきた」

「あまりの痛みに耐えられずに薬局にアスピリンを買いに出た。箱の文字がフィンランド語でさっぱり理解できん」

「熱が出てきて、楽しみにしてた空き時間もホテルで寝てる」

 

離れていると、どうにもしてあげられない。

ゆっくり休んで、とか、帰ってきたら真っ先に病院へ行って、とか、言えるのはその程度。

 

やっと帰国してきて、彼氏はすぐにペインクリニックを受診したのだけれど、先生の診断は意外なものだった。

「肌のかぶれではありません。帯状疱疹です。痛いのも頚椎ヘルニアのせいとちゃいますよ」

taijouhoushin.jp

 

帯状疱疹の引き金はストレスや疲労による免疫力低下だという。

上記のサイトは「50歳過ぎたら」とか書いてるけど、彼氏はまだ40半ばでかかっちゃった。

無理な出張が悪かったんだなぁ。

 

発症後3日以内だったら抗ウイルス薬が使えるらしいけれど、残念ながら帰国までの間に3日が過ぎてしまっていた。

なんて気の毒な…。 

 

彼氏いわく、皮膚じゃなくてずっと奥を針で刺されているような痛みなんだそう。

鎮痛剤を飲みながらも、それ以上悪化はせず、会社も休まずに行けているので、幸い、それほどのひどい状態ではないのかもしれない。

 

■■ 母の場合 ■■

そんなこんなで、水曜日。

母を預かってもらっている施設からメールが入った。

 

「背中と胸に発疹を発見しました。また、昨日から微熱があります。看護師に診てもらいましたが帯状疱疹の可能性がありますので、念のため病院受診をおすすめします。」

 

えーっ!? こっちも帯状疱疹かよ!?!?

 

母の場合、免疫力なんて落ちまくっているから、いつ帯状疱疹が発症したっておかしくない。

「わかりました。発疹がおさまらないようでしたら、明日会社を休んで病院に連れて行きます。引き続き様子をみてやってください。」

そう返信して、会社を休んだり、病院に連れて行く段取りを考えていた。

 

木曜日の朝、

「午後にお休みをいただきたいんですが。母を病院に連れて行きたいので」

と上司に申し出た。

みんな母のことを重病人だと思っているので、病院というたびに危篤じゃないかと思われてしまう。

「いえ、たいしたことないんです。発疹が出てて帯状疱疹かも、って」

と軽くつけ加えたら、

「それはあかん!!うちの親爺は帯状疱疹がきっかけで死んだんやで!!」

と部長がすごい勢いで心配してくれた。

ええっ、帯状疱疹って命にかかわるような病気なの!?

 

高齢者の場合、本当に何がきっかけで弱るかはわからない。

部長のお父様のように、後遺症で神経痛が残り、寝たきりになってしまう可能性だってある。

こりゃまた、帯状疱疹なんてやっかいな病気になってしまったなぁ、と落ち込んでいると、

「背中の発疹は消えました」

という連絡が入った。

 

おや?

帯状疱疹だったらすぐに消えるわけがない。

熱も、微熱があったのはそのときだけで、それ以降はずっと平熱だという。

おやおや??

 

「胸の発疹というのはどういうものですか?」

と返信すると、

「ポツポツと3つほどです」

という。

ますます「おやおやおや???」と疑念がわく。

写メで画像を送ってもらうと、なおさら眉をひそめてしまった。

 

■■ 経験者の父 ■■

そういえば、昔うちの父も帯状疱疹にかかったことがあった。

経験者が見れば、受診の必要があるかどうかわかるかもしれない。

 

「ちょっとお父さん、お母さんの様子を見に行ってくれへん?」

と電話で頼むと、

「わかった。お母さんを見てきたらええんやな」

と、父としては珍しく状況を理解してくれて、すぐに母に会いに行ってきてくれた。

 

そして送ってくれたメールが、

「さんこの赤い斑点があた。げいんはだにか?」

というもの。

しばらく頭の中で漢字変換。

 

原因はダニか、だって!?

そういわれてみれば…。

 

左が彼氏の画像、右が母の画像。

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明らかに…違うよね、母のは。

こりゃ帯状疱疹じゃないよ。

 

よかった。

違って何より。

 

ただ、「帯状疱疹の可能性あり」と判断した看護師さんへの信頼度がかなり落ちた。

表皮剥離のときラップ保護を皮膚科の先生に怒られたときも、「私じゃなくて看護師さんの処置なのになぁ」と納得いかなかったけど、今回もちょっとなぁ…。

  

■■ 免疫力を高めるには ■■

彼氏の免疫力が下がっていることには違いない。

免疫力アップを考えたときに、思いついたのはマヌカハニーくらいだった。

 

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友達に教えてもらって以来、母にはヨーグルトに混ぜて食べさせている。

母の帯状疱疹が未遂で済んだのも、実はマヌカハニーで免疫力低下を防止しているおかげかも、とちょっと思ったほどだ。

気休めかもしれないけど。

 

さっそく、トアウエストにある蜂蜜専門店ドラートに行った。

ちょうど母のマヌカハニーがなくなったところだったので、彼氏用のマヌカハニーもついでに購入。

 

それにしても、マヌカハニーって殺人的に高ぇ…。

(ちなみに奥様、このUMF10+ので税抜4,500円もするのですわよ!)

でも、健康には代えられない。

クラブ月世界でフラカンの『フォークの爆発』

9月12日は、神戸クラブ月世界へフラワーカンパニーズの『フォークの爆発2017 〜座って演奏するスタイルです〜』を見に行った。

一度は行ってみたかった月世界

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まずは何しろクラブ月世界である。

高いビルから三宮を見下ろせば、ちょっと目立つ昭和なネオン看板が目に入る。
だからずいぶん昔から月世界という場所は知っていた。
それが大人の遊び場であることも。

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月世界は、東門街という歓楽街の中にある。
東門街がどんなかんじのエリアかというと、北野武監督映画『アウトレイジ』で、新宿歌舞伎町を思わせるガラの悪い街のロケ場所が、実は三宮東門街なのである。
でも、歌舞伎町と比べたらもちろん規模は小さいし、派手さもないんじゃないかと思う。
(ある意味、神戸のほうがあの業界の本場ではあるけれども。先日も長田で射殺事件とかあったし。)

「震災前、東門街にウジャウジャいたギラギラした目の男たちは、一体どこに消えたんやろうなぁ…」
と、あるバーのマスターが嘆いていた。
私は今も昔も東門街をよく知らないけれど、栄枯盛衰は感じる。

東門街の真ん中で、クラブ月世界はキャバレーだったりディスコだったりしたらしい。
今はパーティースペースだったりライブハウスだったり。
大阪千日前の味園にあるユニバースがキャバレーからサブカル系ライブスペースになっているのと似た道をたどっている。

そんな月世界で、フラカンのライヴが見られるというのも感無量。

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初めてのフォークの爆発

『フォークの爆発』、通称「フォー爆」はフラカンが行っているアコースティックスタイルでのライブツアーシリーズだ。
フラカンのライブはできるだけ行っているけれど、「フォー爆」は今回が初体験。

フラカンの楽曲とフォークに親和性が高いのは十分わかっているけど、ふだん見慣れているロックでパンクなライブがどうなるんだろう?と楽しみにしていた。

で、何が素晴らしかったかというと、アコースティックのほうが歌詞が聞き取りやすい!(笑)
フラカンの素晴らしさの第一は、鈴木圭介の書く歌詞なのだけど、ふだんのライブだと聞き取りにくいこともしばしば。
それは決して悪いわけではなくて、ライブの勢いと音の洪水の中では、若干聞き取りにくくなるのは仕方ないこと。
こっちだって飛んだり跳ねたりしてるしね。

それがアコースティックだと、じっくりゆっくり聴ける。
言葉のそれぞれが、胸の奥にしっかり届く。

今回はニューアルバム『ROOL ON 48』の発売ツアーでもあって、新曲からもいくつか演奏してくれた。
先週リリースされたばかりでそれほど聴きこめてないから、『キャンバス』なんかはむしろアコースティックアレンジのほうが正調なんじゃないかと思ってしまった。

カバー曲も3曲あった。
チャーリー・コーセイルパン三世のテーマ』、RCサクセション『Oh! BABY』、井上陽水『氷の世界』。
ルパン三世は神戸だから選曲してくれたのかしら。

びっくりしたのは、『Good Morning This New World』という曲でみんながリコーダーを吹いていたこと。
メンバーが、ではなく、お客さんが。
去年のフォー爆で、「リコーダーを持ってきてこの曲のフレーズを吹いてね」という呼びかけがされていたのは知っていたけれど、去年参加していなかった私は、みんなが当然のようにカバンからリコーダーを出してくる様子を見て不意打ちをくらってしまった。
しまったぁ、用意してくるんだった!
来年は実家で探して持ってこよう。
それより、持ってくる以前に練習しなくちゃ。
リコーダーの運指、まだ覚えているかな。

いつだってグレートマエカワに敬服

ニューアルバムは、それまで所属していたソニーのメジャーレーベルを離れ、自主レーベル「チキンスキンレコード」を立ち上げてのリリースだった。
メジャー→インディーズ→メジャー→インディーズと、4度目の変身。
契約が切られたわけじゃないのにわざわざ再びインディーズへ、というストイックさが、いかにもフラカンだなぁ、と思う。

バンド・ヒストリー本である『消えぞこない』にも書かれているけれど、フラカンは自分達のバンドを続けていくために、自分たちで会社を作った。
自分たちというか、社長のグレートマエカワが。

ベーシストでアーティストの顔と、皆に方向性を示すバンドリーダーとしての顔と、会社として経営を成り立たせていく社長の顔と、その3つをこなしていくグレートマエカワに、いつも敬服の念しかない。

この日もグレートマエカワはライブ終了後、物販ブースに立ち、ファンのサインに応えていた。
その姿をみると、ほんと敬礼したくなる。

やりたいことをやりながら、なおかつ生活を安定させるなんて、両立できっこない。
誰もがそう思っている。
だから、やりたくなくても生活のための仕事をする。
生活のための仕事のせいで時間も体力も消耗してしまって、結局やりたいことなんて何一つできなくなっている。
それ、私やん。

本当に、やりたいことをやってたら生活できなくなるのかな?
甘くないけど、経営やビジネスやお金の管理を誠実にやれば両立できるんじゃないか?
そんな目からウロコの道を、グレートマエカワが示してくれている。

ほんとにグレート。

フラカンの曲はいつも私を励ましてくれるけれど、バンドの姿勢そのものが新しい可能性の塊だ。

父の食事に困る。

去年の年末から、セブンイレブンの宅配サービス、セブンミールを利用している。
面倒臭がって食事を摂らない父のために、1日1回、お弁当を届けてもらっているのだ。

注文は1か月分くらいまとめて、私がネットで手続きしている。
メニューは私の独断だ。
もちろん、おかずの中身(野菜が摂れるかどうか)や、飽きないようなバランスを考えてやっている。

何が届くか献立表みたいなものがあったほうがいいかと父に尋ねてみたが、届いたときに「今日は何かな?」と開ける楽しみがあるから、そんなものはいらない、ということだった。

それなりに満足していたセブンミールだったが、先月中旬ごろ、電話がかかってきた。

配達店舗が改装するため、9月いっぱいは閉店するという。
「その間、注文をお受けできなくなるか、他店舗で代わりの配達ができるか、わかり次第ご連絡させていただきます」
という。
連絡先として私の携帯番号を伝えていたが、一向に電話はかかってこなかった。

やはりな。
セブンイレブンの連絡不行き届きは経験済みだ。

期待していなかったので、どうせ連絡なんてないだろうと覚悟はしていた。
父もセブンイレブンのお弁当に少し飽きていたようだったので、9月いっぱいは宅配をやめることにした。


先週が、お弁当がなくなって1週目。
「お弁当が来なくなるから、自分で買うなり、食べに行くなりするんだよ。冷凍庫の冷凍食品も、好きに食べたらいいんだから。いいね?」
と父に言い聞かせていたけれど、言うことが聞ける79歳児ではない。

結局、先週何を食べていたか聞くと、毎日がインスタントの袋麺だったようだ。
それも、地元播州のチャンポンめん。

同じインスタントラーメンでも、私が買ったマルちゃん正麺やラ王には目もくれない。
老人にはなじみの味が一番なんだな。

たまにインスタントラーメンもいいけれど、これから9月中ずっと、毎日がチャンポンめんでは困る。
冷蔵庫や冷凍庫には、それなりにおかずを買い置きしているのに、それも目に入らないらしい。

そこで、私が考えた回避策がこれ。

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書いた紙をテーブルに置いておけば、食べないといけないことくらいわかるだろう。

プライドのある自立した人なら、
「子供じゃあるまいし、こんなこと書かれなくてもわかるわい!」
と言いそうなものだが、うちの父は素直なので、
「ありがとう、このとおり食べる!」
と調子が良かった。

たぶん返事だけだろうな。
半分程度、このとおり食べられたら上出来だろう。

車イス、エクステンション!

介護保険で母の車イスをレンタルし始めたのは、2014年12月のことだった。

それまで、家の中ではコマつきのイスに座らせて引っ張ったり、病院や公共施設に置いてある車イスを借りたり、だましだましやってきたけれど、完全に歩けなくなってきてからは車イスがなくてはならない道具になった。

 

母が病気になるまで、車イスというものに触れたこともなかった。

すごく縁遠いものだったと思う。

 

だから使い方も知らなくて、当初は訪問リハビリの療法士さんから使い方を指導してもらったりしていた。

後ろから押すだけじゃないの?

と思われるかもしれないが、段差があるところの乗り越え方とか、移乗のときの安全な操作方法とか、知っておくべきことはいろいろある。

 

日常的に最もよく使う機能が、サイドブレーキだ。(ハンドルのところについているグリップ式のブレーキではない。正直、これはほとんど使うことがない。)

車イスの両側にはサイドブレーキがついている。

勝手に動かないようにタイヤを止めるストッパーである。 f:id:naminonamimatsu:20170910135839j:plain

 

どんな車イスでも、このサイドブレーキが低い位置についていて、意外と固い。

自分で操作する人だとこの位置でよいのかもしれないが、後ろから押す介護者にとっては少しかがまないと手が届かない。

しかも固いから、少し力を入れないといけない。

頻繁に操作するブレーキなのに、いちいちかがんで、力を入れてレバーを操作するのは面倒なものである。

 

どうやったらこのレバーを操作しやすくできるかというと、

ラップの芯を差すといいですよ」

と、ケアマネさんが教えてくれた。

そう言えば、病院で車イスの横にラップの芯を差している人を見たことがある。

 

「長さが出るから操作しやすくなるんですよ。テコの原理で軽くなりますし」 

なるほど!

 

それ以降、ラップを使い切るとその芯を車イスに差すようになった。

やってみると、すごくラク

ラップの芯の端をポンと押すだけでブレーキをかけたり解除したりできる。

ちょっとブサイクだけど、すごく操作しやすい。

ラップの芯は、車イス便利グッズとしてなくてはならないものになった。

 

けれど、ラップの芯には難点が。

使っているうちに端のほうが金具にこすれて、すぐにボロボロになってしまうのだ。

ラップだってそうすぐに使い切るものではないので、ボロボロのラップの芯をガムテープで補強しながら使っていた。

 

ボロボロのラップの芯を差している車イス。

ブサイク!そしてビンボくさ!

 

ラップの芯がボロボロになって困る、という話を再びケアマネさんにすると、

塩ビパイプを使っている方もいますよ」

とのこと。

なるほど!

塩ビなら、紙でできたラップの芯みたいにボロボロにならない! 

ちなみに、塩ビパイプってのはこういうやつ。 

クボタシーアイ 排水用塩ビパイプ VU 200X2M VU200X2M

クボタシーアイ 排水用塩ビパイプ VU 200X2M VU200X2M

 

 

その後、さっそくホームセンターで、ラップの芯くらい(直径3センチくらい)の塩ビパイプを買ってきた。(ぴったり同じのはなかったと思う)

売り場にあった最も短いものが0.5メートルだったので、買ってきてから父にノコギリで半分(25cm)に切ってもらった。

これで、ラップの芯とだいたい同じ直径と長さ。

差してみたらちょうどよかった。 

これで、端が擦り切れる問題も解決。

 

しばらくはそれで使っていたのだけれど、ネズミ色の塩ビパイプは、ラップの芯同様見た目がビンボ臭い。

そうだ、と思いついて、キレイな柄のマスキングテープを貼ってみた。

マスキングテープって、かわいいからつい買ってしまうものの、机の引き出しに入ってるだけになってたんだよね。

 

そしてマステでパイプをデコったのが2年前。

この状態でずっと愛用してきた。 

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2年も経つとさすがにテープがはがれてきて、ボロボロになってきた。

昨日ようやく思い立って、テープの貼り直しを行った。

今回使ったマスキングテープは、神戸港150周年記念の「神戸タータン」チェック。

kobetartan.jp

 

せっかく誕生した神戸タータングッズが何か欲しくて、最も安価なマスキングテープを買ってみたものの、使い道がなかったところだった。

左が修繕前、右が修繕後。

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ちょっと地味になったけれど、まあよし。

チェックのおかげで前よりも歪まずに真っ直ぐ貼れたみたい。 f:id:naminonamimatsu:20170910140110j:plain

 

テープを貼る作業はテレビを見ながらすぐにできたので(録画していた『涼宮ハルヒの憂鬱』再放送の1話分もかからなかった)、もし同じようにラップや塩ビパイプを使っている人にはおススメ。

ちょっとした工夫で、なんとなく華やかじゃない?

介護用具にこそ、潤いがあるほうがいい。

星座の名前は言えるかい

9月1日は、南堀江knaveにてオーケンのライブ。
正確なタイトルは、「大槻ケンヂ内田雄一郎LIVE 弾き語りvs電子音楽 〜大阪編!」。

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「中学の同級生が、長くハードロックバンドをやってきた末にまさかテクノに!/まさか弾き語りに!」という、筋肉少女帯の発足メンバー二人による対バン形式のライブだった。(1人ずつなので対バンと呼ぶのは変かもしれないけど。)

オーケンのライブについては、かわいい、かっこいい、ステキ、好きすぎる!などの凡庸な褒め言葉しか出てこないので、あえて何も書かない。(ご本人もネットであれこれ書かれるのは嫌みたいなので。文章にその場のライブ感は表せないしね。)

内田雄一郎、通称うっちーのライブは、筋肉少女帯の曲をテクノアレンジしたソロアルバム『SWITCHED ON KING-SHOW』からの曲がほとんどで、相変わらずの脱力感が楽しかった。
まるで如意棒みたいな赤いライトの“相棒”を振ってオーディエンスの笑いを誘いつつ、和やかなライブ。
何度聴いても、あの気の抜けた『イワンのばか』のイントロに笑ってしまう。

ライブレポはうまく書けないので、ライブ中にふと頭をよぎった極私的な話を少し。

うっちーのアルバムにも入っていて、この日も歌ってくれた曲に、『星座の名前は言えるかい』という曲がある。
再結成前の筋少で、オーケンが少し病んでた頃の曲。
寄り添うように優しく語りかけてくれる歌詞に、私は何度涙したことだろう。

うっちーはこの曲を『はじめてのチュウ』みたいにアレンジして、ポップに歌う。
これはこれで、曲調にとってもマッチしている。

ちなみに、こんな歌詞。

この曲を聞きながら、ふと会社で聞いたこんな話を思い出した。


娘さんが東京の大学に進学して家を出てしまったあるご夫婦。
奥さんは子離れできないタイプらしく、娘さんが出ていってからずっと寂しくてふさぎこんでいるそう。
そもそも、奥さんは東京への進学に反対だったらしくて、それを許した夫さんにも腹を立てているらしい。

それに対して愛妻家の夫さんも、
「子供が独立するのはしゃーないやないか。俺がそばにいるのになんで寂しいんや」
と、くよくよする奥さんにイラついていて、夫婦仲がギクシャクしているというのだ。

夫さんとしては、なんとか奥さんのご機嫌を取りたくて、
「せっかく二人になれたんやし、夫婦水入らずで旅行にでも行こう」
と提案したところ、
「あなたと行ってもしょうがない!」
と奥さんは喜ぶどころか怒ってしまったそうだ。
夫さんは、
「もう俺のことを好きじゃないのか…」
と落ち込んでしまったという。


その話を聞いていて、私は、
夫さん、わかってないなー!
と思ってしまった。

その奥さんはきっと、自分が感じている寂しさをわかってほしいだけじゃないかと思う。
ただ寄り添って、同じ寂しさを共有してほしかったんじゃないか。
だって、それができるのは同じ子供の親である夫婦だけだから。
それなのに、子供がいなくなって夫婦二人だけの生活を喜ぶような夫さんの態度が悲しかったんだろう。

夫さんは何も悪くない。
けど、奥さんが求めているものをわかってないのだ。
男性はすぐに具体策を提案しようとするけれど、旅行に行くのは二人で気持ちを共有したあとでいい。

そんなわけで、『星座の名前は言えるかい』だ。
「寂しいのかい? 大丈夫、僕も寂しいから」
そんなふうになぐさめてほしいんじゃないかな。

夫さんはぜひオーケンの曲を聴いて勉強してほしい。
奥さんはオーケンのライブに来てほしい。
寂しさをまぎらわせてくれること請け合い!

『バベルの塔』展とブリューゲルのこと。

9月1日は夏休みを取った。
例によって、オーケンのライブがあるため。
せっかく休みを取ったなら、一部の隙もなく有効活用したいもの。

木曜日から実家に帰って金曜日の朝まで母の様子を確認してから、午後は大阪の国立国際美術館へ行った。
ぜひ見ねばと思っていたブリューゲルバベルの塔」展を見に行ったのだ。

babel2017.jp

もちろん「バベルの塔」がメインの展覧会であるけれど、フランドル美術の流れとヒエロニムス・ボスの作品、ブリューゲルの版画が楽しめる展覧会になっていた。
今年は7月に「ベルギー奇想の系譜」展を見たばかり。
正直、内容がかなりかぶっている。

naminonamimatsu.hatenablog.com

フランドル絵画は大好きだから何回見ても楽しいんだけど、これらの展覧会が人気な様子を見ると、
「ボスとブリューゲルがキテる!」

とうれしい驚きを隠せない。

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極私的な話だけれど、私が初めてブリューゲルと出会ったのは、父が買ってきてくれたルーブル美術館の本だった。
NHKとフランステレビ1が共同制作した『ルーブル美術館』という番組の解説本で、全7巻ある。
奥付を見ると昭和60年と書いてあるから、私が10歳のときだ。
テレビ番組と並行して配本される仕組みで、父は地元の本屋さんで定期購入していた。

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そんなふうに言うと、まるで父が美術好きみたいだけれど、全く興味がない。
父自身は本を開きもしなかった。
「買うて来たったで」
とまるで私が欲しがったように毎回手渡してくれたのだけれど、10歳の私が美術に興味があるはずがない。
ルーブル? 何それキャンディか何か?」
みたいな子供だったのに。
今もって、なぜあのとき父がこの「ルーブル美術館」を買っていたのか謎だ。

しかも、何が驚くって、価格が3,200円もする。
1冊3,200円だぞ!?

子供心に、
「こんな高い本、読まないともったいない…」

と思ってしまって、興味はなくても毎回ページをめくっていた。

その中で、ひどく衝撃を受けたのがこのページだった。

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なんじゃこりゃあああぁぁ?!?

右ページと比べてみてもらったらわかると思うけれども、それまで美しい宗教画がほとんどだった。
そんなところに、この『乞食たち』というブリューゲルの作品が突然現れたのだから、子供としてはショックだ。
もちろん、ブリューゲルが生きていた当時もそうだっただろう。
人々はこの型破りな画家にびっくりしたに違いない。
(この本には『乞食たち』と出ているけれど、今ネットで検索したら『足なえたち』ってなってる。時代ですな。)

子供の私は、ショックというか、ものすごく恐怖を感じた。
足がなくて見慣れない装具を付けているのも怖かったし、キツネの尻尾をぶら下げているのも気持ち悪かった。
なぜこれが描かれているのか、よくわからないだけに恐ろしかった。

今はもう怖いとは思わないけれど、ブリューゲルの魅力は「なんじゃこりゃあ」だと思う。
それは単に奇妙なだけじゃなく、人々の生活の暗部と地続きで、闇の部分を抱えている。
寓話に満ちた世界は、グリム童話が本当は怖い、みたいなところとも似ている。


ルーブル美術館』以後、長らくはブリューゲルとは無縁だったけれど、ウィーンを旅行したときにいくつかのブリューゲル作品を見た。
有名なところで言うと、『雪中の狩人』、そして『バベルの塔』。

実はブリューゲルの『バベルの塔』は2つあり、ウィーン美術史美術館にあるものと、今回日本にやってきたボイマンス美術館のものがある。

私のように美術を知らない門外漢からすると、ウィーンのは王様を含め人がいっぱい描いてあって楽しい、ボイマンスのは建物がかなり出来上がってて建築物としての色がキレイ、という大雑把な違いでもって区別している。

正直に言うと、ウォーリーを探せ的に楽しいのはウィーンのほう。
いろんな人間がいろんな場所で動いたり働いたりしているのを発見するのが単純に面白い。

musey.net

今回の美術展では、ボイマンスの『バベルの塔』を拡大して、小さくてよくわからなかった働く人々も見られるように解説していたり、大友克洋が手掛けたバベルの塔の内部を見せる試みが展示されていたりと、単に美しいだけじゃない『バベルの塔』の魅力を提示する工夫がされていた。

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工夫と言えば、ブリューゲルの版画『大きな魚は小さな魚を食う』に出てくる奇妙な魚をモチーフに「タラ夫」というキャラクターを作っていた。

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ボスやブリューゲルが描くモンスターは以前から人気があったけれど、とうとうブームの予感。

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今回の展覧会にはボスの『放浪者』と『聖クリストフォロス』もあって、これもこの展覧会の大きな目玉作品だったのだけれど、こっちは意外と静かなかんじ。
両方とも奇妙な味わいの作品で、私はこの二つが見られたことがとてもよかった。
人も少なかったしね。


展覧会の帰り、お土産にバベルの塔キャラメルを購入。

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中にはランダムにモンスターシールが入っているという。
何が当たるかな、と開けてみると、私がひいたのはタラ夫くんだった。
これって当たり!?
さっそくスマホケースの内側に貼る。

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展覧会の内容とは全く関係ないことだけど、会場に紙コップ式のウォーターサーバーが。

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おそらく、夏の暑い最中にたくさんの人が行列して熱中症になるのを防ぐためだろう。
幸い、関西でも少しずつ秋風が吹くようになって、残暑も和らいできたので、固めて置いてあるけれど、先週くらいまでは大活躍だっただろうなぁ。
そういう配慮もご苦労さま。