3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

太陽と虎で『勝手に松原祭!』

木曜日、フラカンが神戸でライブをするので、見に行った。

対バンはガガガSP

イープラスのアプリでチケットを取ったので、詳しい情報は知らないまま、会社帰りにバタバタと‘太陽と虎’へ向かった。

 

f:id:naminonamimatsu:20161022171802j:plain

 

オールスタンディングのライブの場合、それなりのバッグや小銭入れ、タオルや耳栓などの装備品を持ってくるんだけど、全部忘れて全く普通の会社帰り。

服にポケットもないから、カバンを預けることすらできずに肩にかけているというテイタラク。

 

私の中でフラカンのファンというのは、めっちゃ踊るけど決して暴れない、マナーのよい草食系女子が大多数、というイメージだった。

だから、カバンを持ったままでも大丈夫だろう、とタカをくくっていたのだけど、始まったら将棋倒しにされるかというほど押しに押されてびっくり。

あまりに危険なので後ろに下がると、今度は鼓膜を破壊されるかというほどの爆音に二度びっくりする。

フロア中央なのに、爆音で有名な筋少のスピーカー前以上の大音量。

正直、大きすぎて音が割れて、逆に聞こえない。

ライブ用のいい耳栓を持ってるのに、持ってこなかった自分に歯噛みしつつ、慌ててティッシュを耳に詰める。

 

フロアのそんな状況はさておき、フラカンは泣きのキラーチューン連発。

『発熱の男』で涙腺崩壊。

ティッシュを耳に詰めた女が、躍りながら号泣している珍光景。

 

いつだってフラカンの歌は、心の奥にある脆くて柔らかな部分にそっと触れる。

何もなさず、何にもなれず、どこへもたどり着けていない私に、そおっと寄り添って、泣いてもいいよと甘やかしてくれる。

 

ボーカル鈴木圭介インプラント中、というトピック以外はいつものフラカンだったけれど、ひとつだけ特別なことが。

 

f:id:naminonamimatsu:20161022171839j:plain

 

今回のライブは「勝手に松原祭!」というタイトルがついていた。

どうやら、太陽と虎の松原さんという方が、ガンと闘病中とのこと。

今回はそれを受けて、ガガガSPが企画したライブらしい。

何も知らずに単にフラカンが出ると思ってやってきた私は、タイトルの意味を知って胸が詰まった。

 

かつてフラカンがライブで『深夜高速』を封印していた頃、神戸スタークラブのライブ中、

「深夜高速やってくれー!」

という声がかかったそうだ。

声の主は客ではなく、スタッフだった松原さんだったという。

気に入ってくれているのか、とフラカンはうれしく思って、本来のセトリになかった『深夜高速』を歌ったそうだ。

 

だからこの日のフラカン最後の曲は『深夜高速』だった。

私も何回もこの曲を聴いてきたけど、「生きててよかった」の響きが、いつもとはちょっと違って聴こえた。

 

*********

 

フラカンが終わってガガガSPの番となり、ティッシュが不要な位置まで下がる。

すると、ガガガSPボーカルのコザック前田がMCで、

ガガガSPを初めて見る人手を挙げて!」

とあおった。

 

フェスで2、3回見ただけで、ライブハウスでガッツリ見るのは初めて。

でも、手を挙げなかった。

後ろのほう、私の周りで手を挙げた人は、

「ふ~ん、やっぱりそんな後ろで大人見するんやね~」

といじられ、挙げそうで挙げなかった私は若干びびる。

大人見というか、ガガガのファンに前を譲ってあげようという遠慮なんだけどなぁ。(あと、鼓膜が破れそうな爆音のせい。)

 

今回初めてちゃんとガガガを見て、「地元のバンドなのに、どうして今まで応援してこなかったんだろう」と考えた。

理由を思い起こすと、世代的にズレているとか、青春パンクの青春部分に距離感があるとか、彼らのドロくささが同族嫌悪的に苦手だとか、まあ、いろいろある。

 

ガガガは、長田のお好み焼きソースの匂いがする。

でも、いいバンドだ。

すごく、いいバンドだと思った。

 

印象に残ったMCが、

「『今日は楽しんでってくださーい!』っていうアーティストおるやろ。なんで他人事やねん。無責任ちゃうんか。俺らは、お金を払って来てくれた人を楽しませる!楽しんでもらわなあかんっていう責任感を持ってやってる」

という話。

 

…今、これを書きながら、「わが社にもこういう熱い説教垂れる営業部長が一人おるなぁ」と気が付いて苦笑いしたが、その場では大変感動した。

コザック前田の叫びが、胸に響く。

例え、居酒屋で部長が語る説教と同じ話であっても、伝わる重力が違う。

それこそ、ライブハウスの魔法なんだと思う。

ライブハウスにはライブハウスにしかない昂揚がある。

 

そんな神戸のライブハウスシーンを支えてきた(らしい)松原さんが、「生きててよかった」と思える夜を一晩でも多く過ごせたらいい。

全然知らない人だけど、そんなステージ裏のスタッフさんたちのおかげで、私たちはこうやってライブを楽しめるのだから。

 

保険屋さんいわく兵庫県は恵まれていて、最新の医療機器が置いてある神戸低侵襲がん医療センターがあったり、陽子線治療が受けられる兵庫県立粒子線医療センターがあったりするので、全国でも最先端のガン治療が受けられる地域なのだそうだ。

医療費が足りなければ、またフラカンとガガガでチャリティーライブをやったらいいよ。