3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住むアラフォーOL、波野なみ松の、仕事と趣味と母の介護を両立させる日々の記録。

目指せ、体交の達人

私が風邪をひく前の週から、母が咳をするようになった。
食事中、飲み込みが悪くてむせるのは前からあったことだけれど、
ときどき、
「ぐぐ、ごご、が、がが」
と、喉に何かが絡まったような音を立てて咳をするのだ。

寝ている間も、グーグー寝息を立てているうちはいいのだけど、ときどきやはり、ググググ、ゴゴゴ、と喉を詰まらせるような音を立てる。

しばらくは原因がわからなかったが、どうやら喉にたんのようなものがからまっているのだと気がついた。
たん、というか、唾液がネバネバしたものというか、喉まで下りてきた鼻水なのか、そのあたりの詳細はわからない。
けれど、とにかくネバネバしたものが喉に絡み付くようだ。

どうも、母も風邪をひいているらしい。

認知症の人は風邪をひかない(笑)」
と言ったのは前のケアマネさんで、確かに認知症の症状が出始めて以降、母はちっとも風邪をひかなくなった。
喉にネバネバしたものが絡む、というのが、精一杯の風邪症状なのかもしれない。

ゴゴゴ、という原因がわかったので、喉が苦しそうなときは口腔ケア用のスポンジでネバネバを取り除くことにした。
乾いたスポンジではカサカサしそうなので、デンタルリンスで濡らしてから母の口に入れる。
一度では取りきれないので、何度か繰り返す。

ここへきて、一気に必需品になってきた口腔ケアスポンジ。
こういうグッズがすぐ手に入る便利な世の中に感謝、感謝。

マウスピュア 口腔ケアスポンジ 紙軸Mサイズ 50本

マウスピュア 口腔ケアスポンジ 紙軸Mサイズ 50本

夜中にトイレに起きることはなくなったけど、喉の掃除で夜中に起きるはめになるとは思わなかった。
先週末は自分も風邪ながら、母の喉の掃除を一晩に1、2度行わないといけなかった。
面倒だけれど、ネバネバを取ってあげないと、喉が詰まって窒息してしまう。朝起きて冷たくなっていたら一大事だ。

喉に詰まるのは上を向いて寝ているときが多い。
というか、私が家のベッドで母を横に寝かせることがうまくできないのだった。

仰向けで寝ていると、舌が喉に落ちてしまう。
自分の舌で窒息の恐れがあるというのだ。
それで、以前から訪問リハビリの療法士さんから横向きで寝かせるように言われていた。
けれど、これがなかなかうまくいかない。
身体を横に向かせても、なぜか母は顔が上に向いてしまうのだ。

母が患う大脳皮質基底核変性症パーキンソン病では、筋肉が硬くなって身体がうまく動かなくなる。
母の身体もカチカチで、首の関節も固まってしまっているのでうまく動かない。
上に向いた頭を横に向かせようとしても、固くて固くて、とてもじゃないけど力づくでは動かせなかった。

さて、身体が不自由で寝返りがうてない人が同じ姿勢で寝ていると床擦れを起こすので、ときどき寝ている向きを変えてあげるのは、介護で重要なことだったりする。
体位交換、略して体交というらしく、お泊まりをするときの介護施設の報告書を見ていると、夜中に3、4回ほど体交をしてくれているようだ。

自宅では私が母の隣に寝ているものの、私も普通に眠ってしまっていて夜中の体交なんて全然していない。
そういう面でも、夜勤のスタッフさんがいてくれる介護施設は大変ありがたい。
在宅介護だと、体交ひとつとっても難しい。
回数の問題もそうだし、技術の問題もそうだ。

どうも、私の体交は下手くそで、横に向かせたつもりでも、気がついたら母が仰向けに寝ている、なんてことが多い。
これまでは、
「私ってなんて下手っぴいなんだろ」
と思うだけだったけれど、喉にネバネバが詰まるとあっては、「下手でごめんね~」と呑気にしてはいられない。

月曜日の訪問リハビリのとき、横に寝かせる方法について療法士さんに相談してみた。

「施設では体交専用の三角のクッションとかがありますから、なみ松さんがとりわけ下手というわけでもないと思いますよ」
とフォローしてもらいつつ、
「専用のクッションがなくても、おうちにあるものでなんとかなると思います」
と、身体を横に向かせたあと、首や背中、お尻などにクッションなどを差し込んで固定させる方法を教えてもらった。
クッションだけでは足りないので、座布団やバスタオルなども総動員。
「お母さんも、背中に何もないより、クッションの支えがあったほうがラクなはずですよ」
とのこと。
確かに、やってもらいながら母はすやすや眠ってしまった。

あとで調べた体交用の三角クッションとはこういうもの。

なるほど、こういう便利グッズもあるわけだ。
ほんと、なんでもあるなぁ。

昨日の火曜日は、珍しく実家に帰った。
土曜の夜、筋少のために母を預けた罪滅ぼしに、一晩だけだけど母も家に帰ってもらった。
できるだけ、在宅が母もうれしいだろうし。

眠るとき、さっそく療法士さんに教えてもらったとおり、クッションや座布団を使って横向きの身体を固定させた。
うん、これなら顔もちゃんと横に向いていてくれる。
喉もゴロゴロいわなくなった。

今朝未明、ふと目覚めたとき、いつもならガーガーうるさい母の寝息が聞こえなかったのでヒヤッとした。
…し、死んでるんじゃないだろうかっ!!

慌てて呼吸を確認したら、問題なくすやすや眠っていた。
イビキをかくのは、仰向けに寝ているときに呼吸しにくくて音が出ていたものらしい。
横向きだと、こうまで静かなのか。

やはり何でも専門家に教えてもらうもんだ。
私一人で考えていたうちは、
「母の頭を横に向けるためには…、母の頭に針金ハンガーをはめるしかない!」
という程度の発想しかなかった。
針金ハンガーを頭にはめると、勝手に頭が回るというあれである。

…はめずに済んでよかった。