3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、趣味と母の介護と育児に追われる日々の記録。

繁殖と修復と少子化対策

美容室での適当な会話が苦手で、ここ数年はずっと同じスタイリストさんに担当してもらっている。
もう長い付き合いになってしまって、最初は若かった彼もずいぶんいい歳になった。(←お前もなっ!!)
結婚して、子供ができて、家も買って車も買って、二人目も産まれて、と、彼はしごく順調な人生ゲームを進んでいる。

「もう下の子も大きいなら、ベビーカーちょーだいよ」
と言うと、
「ダメです、うち3人目考えてるんで」
とまさかの返事が返ってきた。

共働きのご夫婦で奥様にもそれなりに収入があるので、3人と言わず4人でも5人でも欲しい、と言うのだった。
ただ、ネックは面倒を見てくれる人で、今は子供2人をおじいちゃんおばあちゃんが見てくれているけれど、
「さすがに3人面倒みるのはしんどい。もうやめて」
と根をあげているらしい。


どうやら多くの人は赤ん坊を望んでいる

自分が妊娠するまで、「子供を持つ」ということに対し、周りの人たちがどんな考えを持っているか全然知らなかった。
というか、自分が欲しくないから全く関心が向かなかったのだ。

妊娠8ヶ月目にもなってくるとさすがにお腹が目立ってきたし、来月には産休を取ることもあって、職場では隠さずに妊娠のことを話している。

すると、いろんな人が話しかけてきてくれるようになった。
廊下でのすれ違いざまや、エレベーターの中や、行き帰りの道すがらで。
今まで話したこともない同僚まで、妊娠や出産について、励ましやアドバイスをくれる。

職場だけでなく駅のホームや電車内で、バッグにつけているマタニティマークを見て見知らぬ年配女性が話しかけてくることもある。
マタニティマークは、席を譲ってもらうには効果がないけれど、お婆さんのお節介心を刺激するには抜群らしい。

当然のことだが、声をかけてくる人たちはみんな、赤ん坊というものが大好きなようだ。

ある同僚は、私のお腹を見る度、
「だんだん大きくなってくるのを見ると、うれしいなぁ。希望があるなぁ、夢があるなぁ」
と言う。
当の私は、
「そうですか。だんだんお腹が苦しくなるばかりですけど」
と冷めた物言いしかできないけど、肯定的に言ってもらえるのは悪い気がしない。

日本の少子化について、私はずっと、
「子供を産む世代が、子供を欲しがらなくなったせいだ」
と思っていた。
近代化で本能が壊れているのだ、と。
私のように、子供を望まない女を育てた社会のせいだと。

でも、どうやらほかの人たちの本音は違うらしい。

「欲しいけど、できない。持てる環境にない」

選挙のときに政治家が少子化対策について演説してるけど、本当にそういうことらしい。
ということは、本当に、経済の問題と、面倒を見てくれる人の問題がクリアできれば、もっと産むようになるわけだ。

少子化対策なんて、政治でなんとかなるものじゃないんじゃない? 個人のモチベーションでしょ」
と思っていたけれど、政治が変われば本当になんとかなるのかもしれない。
今は本気で取り組んでないだけで。


繁殖と修復

Eテレで放送中の『ダイヤモンド博士の“ヒトの秘密”』という番組を毎週見ている。

 

先週のテーマはヒトの寿命だった。

(下記のブログで内容がわかりやすくまとめられていました。気になる方はどうぞ。じじぃの「科学・芸術_396_ヒトの秘密・寿命と閉経の謎」 - 老兵は黙って去りゆくのみ

目からウロコだったのが、動物はカロリーを何に使うかで寿命が異なるという話だった。
繁殖にカロリーを使って子孫にバトンタッチし、自分は短命で死ぬか、はたまた、繁殖はそこそこに抑えて、自分の身体の修復にカロリーを使って長生きするか。

現代人でいうと、カロリーというよりお金に置き換えるとよりわかりやすい。

私の場合、これまでは子供を持たない前提だったので、優雅な老後を過ごすために老後資金をせっせと貯めていた。
子供ができてしまった今、その老後資金は教育資金に早変わりである。

アンチエイジングの化粧品やマッサージにかけていたお金だって、
「これからベビー用品に費用がかかるから贅沢できないな」
と抑制する気持ちになる。

日本国で考えても、老人福祉や医療費の予算と、子育て支援の予算が取り合いをしている。
(それ以前の問題として、森友とか加計とかアメリカから購入する武器とか、長生きのためでも子供のためでもない政治家の無駄遣いが多すぎるんだけど。)

予算の視点で考えると、まるで老人を長生きさせるか子供を増やすかの二者択一みたいだけど、『ダイヤモンド博士の“ヒトの秘密”』では、「お婆さんが長生きしている家系のほうが孫の数が多い」というような話もでてくる。
元気な老人が孫の面倒を見てくれれば、安心してたくさん子どもが産めるわけだ。冒頭の美容師さんの家のように。

さて、さらに私について言えば、母の介護という“修復”から、子供を産むという“繁殖”にカロリーをシフトしようとしている。

資金配分と違って、本当のカロリー、体力や時間のほうがシビアだ。
化粧品のランクを下げるのは平気だけど、母の世話をしなくなるのは、まるで母を見捨てるような気持ちになってしまう。

けれど、臨月は否応なくやってくる。
そうなると、病院のお見舞いすらままならない。
繁殖のために修復を諦めるのはつらい。