ゴンタ坊主と中国人のママ友
サトイモの病気が治ったら、これまで以上にパワーアップしてゴンタ坊主が戻ってきた。
大人のベッドの上を走り回る、ベッド柵によじ登る、トイレのドアを開けて中に入り、便座のふたを開けて便器の中を触ろうとする、トイレットペーパーやティッシュペーパーをどんどん引っ張り出す、ごみ箱の中身を全部放り出す、本を破る(なんと図書館で借りた本を!!)、室内物干しを遊具がわりにする、ダイニングのイスを移動させてテーブルの上にのぼる、テーブルの上に置いていた私の菓子パンを盗み食いする。もちろん前回も書いたように、当然本棚の本は放り出される。
「子どもの手が届かない場所に」と思って置いたはずが、背が伸びたりイスを運ぶ知恵がついたり扉を開ける力がついたりして、どんどん安全地帯が減っていく。
なみ松の叫び
先日、今年一番の「叫び」が出た。
キッチンで洗い物をしていたら、何やらカチャカチャと音がする。
サトイモはしまじろうを見ていたはずでは?
覗くと、DVDはとっくに終了していて、ダイニングテーブルの上にサトイモが座っていた。
テーブルの上には、消費増税前に駆け込みで買ったばかりのノートパソコンと、さっき淹れたばかりのお茶を置いていた。
まさか…。
そのまさかだ。
コップは無残に倒され、サトイモはお茶っ葉を粘土のようにつかんでクチャクチャやっている。
わ゛っーーーーーーーーーー!!!!!
こういうときはね、まず叫ぶしかできないものなんだな。
慌ててパソコンを拭きながらも、壊れた機械のようにずっと叫び続けていた。
幸い、パソコンは無事で今もちゃんと起動してくれているし、お茶も冷めていてサトイモがヤケドすることもなかったけれど、まったく何をされるかわかったもんじゃない。
子育てが楽しくなる時期
今思えば、赤ちゃんの頃はまだ余裕があった。
ダイエットのエクササイズとかやってたんだから。
授乳中はドラマもたくさん見たっけ。
でも、どっちが楽しいかというと、今のほうが楽しい。
ひとつは、今のほうがサトイモが可愛いからだ。
赤ちゃんは小さくて愛らしいけれど、反応がない。
上を向いてモゾモゾ手足を動かすだけ。
それに比べて今は、おしゃべりこそしないけれど、呼びかけると反応するし、笑顔でアイコンタクトができるし、楽しいことがあれば笑いあって共有できる。
「顔立ちが美しい人よりも、表情が豊かな人のほうが魅力的だ」と誰かが言っていたけれど、幼い子を見ていると本当にそのとおりだと思う。
泣いたり笑ったり、くるくると表情が変わる子は魅力的で愛くるしい。
もうひとつ、今のほうが子育てが楽しいのは、「どこかに行けば誰か知り合いに会う」状況になってきたからだと思う。
家にいたらイタズラばかりされるので、毎日いろんな場所に遊びに出かける。
今日はあっちの児童館、明日はこっちの子育て広場、次はあの幼稚園の園庭開放、といろいろ出かけているうちに、ずいぶんと顔見知りも増えた。
スーパーや道で知り合いに会うことも多くなった。
誰がどこに住んでいるのかも、だんだんわかってきた。
引っ越しして1年半。
ようやく地に足がついてきたな、という気がする。
中国人のママ友
隣のマンションに、ちょうどサトイモと同じくらいの歳の子がいる。
夕方になるとお母さんと二人でマンションの前の道で遊んでいて、長い間気になっていたけれど話しかけられずにいた。
すれ違うときに会釈をすると、向こうもニコニコと笑いかけてくれる。
話しかけにくかったのは、どうやら相手が外国人のようだったからだ。
「どう見たって中国人やろ」
と、一時期仕事でよく中国に行っていた夫がそう言った。
「なんでそんなんわかるん?」
「パジャマで外に出るなんて、中国人に決まっとう」
「私は産後でまだ調子が悪いのかと思ってたわ」
「調子が悪かったら外に出ぇへんやろ」
「それもそうか」
うちの夫が絶対中国人だというので、ある日、勇気を出して中国語で話しかけてみた。
ちゃんと通じた。
子どもはサトイモと5ヶ月違い。
驚いたことに、10年ここに住んでいるという。
それでも日本語が全くできないので、少しでも中国語を話せる私をほめてくれた。
夫にそのことを話すと、
「10年て、聞き違いちゃう? 昨日今日中国からやってきたばっかりみたいに見えるけど?」
と私のヒアリング力を疑った。
「10年おって、あんな服着る?」
夫がそう言うのには、お母さんのパジャマに加え、子どもが着ている服のせいもあった。
お尻に穴が開いていて、あそこが丸出しになっているのだった。
夫も私も驚かない。中国ではそれがスタンダードである。
オムツでガードをするのではなく、逆に丸出しにして垂れ流すのだ。
オムツいらずで経済的!
…だけど、出されたら、後片づけはどうしてるんだろう????
オムツの中に出されるのでさえ、あとでトイレにウンチを捨てるのに苦労する。
なのに、そこらで出された日にゃ、片づけがたまったもんじゃない。
気になり始めると、中国人親子がうろうろしている道によくウンチが落ちているのを発見するようになった。
「そうとは限らないのだけど、可能性はあるよな…」
ウンチを見つけるたびに気になって仕方なかった。
中国人親子とは、3日に1回くらいのペースで会う。
会えば、子どもの成長のことだとか、幼稚園や保育園のことだとか、私の拙い中国語でおしゃべりする。
もう「お友達」と言ってもいいくらいに。
でも、毎回、丸出しになっているお尻について、指摘をすることができなかった。
「日本では、幼児とはいえ糞尿を道に垂れ流してはいけないんですよ」
私が指摘せずして、誰が彼女らに指摘してあげられるというのだ!
そう使命感を感じるものの、私の中国語の能力不足で、どうやって注意すればいいのかがわからなかった。
いつか中国語が上手な人に、「やんわり注意する」のはどんなふうに表現すればいいか教えてもらおう、と思っているうちに日が過ぎた。
今日の夕方、また道で中国人親子に出会った。
秋風が吹いていた。
お母さんが、クシャミをしてたから風邪を引きかけてるかも、と子どもの心配をしていた。
子どもは、カーディガンに暖かそうな長ズボンをはいていた。
長ズボンには穴は開いていなかった。
なんとなくホッとした。
児童館に行ったことがあるか尋ねると、ないという。
児童館という言葉も知らないようだった。
今度一緒に行こうよ、と誘ってみたけれど、さて、うまく通じているかなぁ。
トラウマが気になるカルチャー
サトイモの病気がまだ続いている。
土曜日にも小児科に行って、胃腸炎のための吐き気止めやおなかの薬をもらい、一時に比べたらだいぶ良くなってきたけれど、食べ物は受け付けてくれないし薬は飲まないしで困っている。
飲み物は飲んでくれるので、フォローアップミルクだけが奴の栄養源。
ミルクを飲んでは寝て、グズッて泣いてあやして、とまるで赤ちゃん返り。
そのおかげで、寝てくれる合間にドラマを見たり本を読んだりSNSを見たりできるのだから、ここ2、3日はほんとにありがたい日々を送っている。
ずっと見たかった『THIS IS US 36歳、これから』も何話か見ることができて、しかも噂に違わず素晴らしい作品で、こんなうれし楽しいことはない。ブログなんて書いてないで早く続きを見なきゃ!
これまで夢中で見ていた海外ドラマの筆頭は『クリミナルマインド FBI vs 異常犯罪』と『ウォーキングデッド』だったのだけれど、いずれも子どもが見てしまったらトラウマになるかもしれないので、サトイモが寝静まってから見ていた。
こんな私でも、そういうのが気にかかる。
ていうか、暴力表現にしろ性表現にしろ、「年齢制限あり」な作品を私がよく見るので、たおやかなママの子どもたちよりサトイモは危険にさらされているのだ!(私が原因なのだけれど!)
どこまでサトイモが目にしても問題ないだろうか、といつも気にかかっている。
テレビ番組の「5時に夢中」にしても深夜ラジオ(例えば「エレ片のコント太郎」や「深夜の馬鹿力」)にしても、おしゃべりの中でしょっちゅう性的な話が出る。
「何歳までサトイモにも聞かせて大丈夫かしら…」
気になるならイヤホンして聞けよ、という気もするが、ママが家でいつもイヤホンしているのも奇妙じゃないか。
言葉を全力で吸収しようとしている1歳半の子どもに、テレビやラジオの下ネタがどれくらい影響しちゃうんだろう…。
言葉じゃないけれど、サトイモがいるときにはあまり暗いヘヴィーロックも聞かないようにしている。
筋肉少女帯なら『レティクル座妄想』、人間椅子は全般的に避けている。洋楽ならマリリン・マンソンだ。
直感的になんか怖い感じがする音、というのは幼い子ほど敏感に感じとる気がする。
耳で聞くより、ビジュアルで入ってくるもののほうが心配だ。
アニメならだいたいの作品が一緒に見ても大丈夫だろう、と、サトイモがいる前で『僕のヒーローアカデミア』を見ていたこともあったけれど、敵の脳無(のうむ)の造形などはけっこうグロテスクなので、怖がる前に見るのをやめることにした。
『ワンピース』なら全然問題ないと思っていたが、たまたま見かけた夫が、
「戦いのシーンは小さい子には相当暴力的やで」
というので、ちょっと迷っている。
考えてみたら、『アンパンマン』でさえ戦いの連続!
人生は戦いの日々じゃないか!
サトイモは本当にゴンタ坊主なので、本棚の本をかたっぱしから放り出すイタズラをしょっちゅうやる。
放り出すだけじゃなく、私の映画や演劇のパンフレットを取り出しては中身を確認していくので、それがヤバい。
一応全部検閲して、ホラーまがいのものは全部除いて段ボールにしまったものの、棚に残したものもけっこうギリギリだ。
『モンスター』『ドッグヴィル』『絶対の愛』『イノセンス』『キレイ』『大江戸りびんぐでっど』…。
美術館や美術展の図録のたぐいも侮れない。
西洋絵画のキリストの受難とかそのあたりの宗教絵画はホラー映画より恐ろしい。
北斎展の図録でさえ幽霊やお化けを描いた浮世絵があるので、このまま見せていていいのか疑問に感じる。
名画を見て感性をやしなってほしいのに、別の感性を刺激しかねない。
「変な趣味の子」になるくらいは願ったりだけれど、「歪んだフェチの子」になってしまったら、母ちゃんお前の将来に申し訳ないよ…。
ところで先日、サトイモを保育園の一時預かりに出して美容室に行った。
スタイリストさんとはいつも、「今はまっているドラマやテレビ」の報告をしあう。
そのとき私が見ていたのが、BSプレミアムでやっている『おしん』再放送、録画をためていた『コードギアス 反逆のルルーシュ』、Amazonプライムで見ている『ウォーキングデッド』の3つだったのだけれど、どれもがちょうど悲惨な時期にさしかかっていた。
『おしん』は第2子を妊娠しながら姑にいじめ倒されて絶望状態、『コードギアス』はユーフェミアがギアスにかかって日本人大虐殺、『ウォーキングデッド』は救世主というまるで世紀末覇者ラオウのような男が現れ、仲間が二人もバットで撲殺されるという絶体絶命状況に置かれていた。
どの番組を見ても救いがなく、出口が見えない。
私もつられて落ち込み、もう最悪な気分…。
それなのに、
「俺、『テラスハウス』見てるんですよ~。いいですよぉ平和で。なみ松さんもテラハ見ましょうよ」
とスタイリストさん。
「何をノンキにっ!こっちは殺るか殺られるかの世界に生きてんだっ!惚れたハレタなんて言ってられるかぁっ!!」
…いやアンタもテレビ見てるだけでしょうが。
さ、『THIS IS US』の続きを見ようっと。
秋の風邪
サトイモが風邪を引いてしまった。
一昨日の夕方から咳が出はじめ、夕食を食べていて咳き込んだら全部吐いてしまった。
昨日の朝、37.5℃の熱が出ていたので、かかりつけの小児科へ。
春に蕁麻疹が出て受診に来たときはまだハイハイの頃で、抱っこしていてもじっとしていられず大暴れし、待ち時間が大変だった。
今回も本人はいたって元気で、待合室をウロウロ。
前は床をハイハイさせるわけにはいかなかったから抱っこで押さえつけていたけれど、歩きまわる分には問題はない。
好きにさせておいたら、置いてある絵本やおもちゃを引っ張り出してご機嫌に遊んでいてくれて助かった。(でも一番触っていたのはアンパンマンのジュースの自販機。人気でほかの子も触りまくっていた。)
診察室に入って、“もしもし”のときにおとなしくしていたら、先生に「あら、えらいのね」とほめてもらえて、私の気分がとてもよくなる。
最近は家でいたずらばかり、ちっともじっとできないので、どこかおかしいのではないか、もしかしてADHDなのでは?と心配するくらいだったのだけれど、診察室でちゃんとしていてくれたのは自信になった。
「胸の音もきれいですし、のどもそれほど赤くなってません。鼻水がのどに流れ込んで、それが悪さをして咳が出ているのでしょう」
という先生の見立てに安心して家に帰った。
それなのに、午後になって熱がぐんぐん上昇。39.5℃まで上がる。
診察のときは熱が低かったので解熱剤はもらっていなかった。
以前に処方してもらっていた坐薬の解熱剤がひとつだけ残っていたので使ってみたが、熱は朝まで下がらなかった。
さすがに高熱が出ているとサトイモもぐったり。
遊ぶどころではないどころか、一晩中グズグズ泣いていた。
こんなサトイモは初めて。
ごはんもちっとも食べられず、口にするのはヨーグルトとゼリーだけ。
仕方ないので、今朝再び病院へ。
先生は昨日とは違う医師だった。
「のどが赤くなってますね」
「昨日はあまり腫れてないって言われたんですが」
「その後腫れてきたんでしょう」
そういわれるならそうなんだろう…。
「前回出してもらった解熱剤を使ったんですが、熱が下がらなかったんです。実はこれまでもこの解熱剤を使ってみて熱が下がったことがないんですが、別の解熱剤はないんでしょうか」
と相談すると、
「まず、子ども用の解熱剤はこれだけで、何歳になってもこれです。それから、熱が下がらなかったということですが、解熱剤で下がるのは約1度、効果は約4時間です。ですから…」
「39℃が38℃にしかならないってことなんですね…」
「でも、鎮痛効果もありますし、熱が軽くなって、のどの痛みがましなうちに眠ったり食事をとったりしてください」
結局前と同じ解熱薬を少し多めに処方してもらって調剤薬局へ行った。
私がお薬手帳を探している間に、サトイモがベビーカーの中でひどく咳き込んだ。
ちょっと長く続くなぁ、と思った瞬間、
ゲボォォォ…!!
朝食べたヨーグルトを豪快に吐いてしまった。
私はこんなこと初めてなのでオロオロしていると、ティッシュやビニール袋を手際よく出してくれる薬剤師さんたち。「小児科の隣の薬局あるある」なんだろう。
幸い着替えを持ってきていたので、服は着替えさせたものの、ベビーカーが汚れてしまったのがショックだった。
薬剤師さんが、
「咳き込んだせいで吐いたみたいでしたけど、もし胃腸炎の可能性があるなら再度受診されたほうがいいですよ」
と言ってくれたけれど、
「たぶん咳のせいだと思います~」
と軽く受け流してしまった。
今これを書いている時点で、薬局での嘔吐を除き、2回吐いている。
ゼリーやミルクを飲んでしばらくして、苦しそうにしているから抱っこしてなだめていると急にゲボォっと来るのだ。
抱っこしているので、本人だけじゃなく私の服も全着替え。
…明日の朝、また小児科に行くか。
まさかの3連チャン。
そういや母もよく吐いた
育児休業中だからこそ、ちょっと調子が悪いだけでも気軽に「小児科行くか」と思えるのだけれど、これが復帰後だったらどうなんだろうと考えるとぞっとする。
子どもが悪いわけじゃないのに、
「なんで病気になんかなるかなぁ!」
と恨めしく思い、
「これくらい平気よね?ね?」
と無理やり心に嘘をついて、子どもに無理をさせてしまうのではないか。
介護しているとき、母が病気になると私はいつも内心でそう感じていた。
面倒くさい、また会社を休まないといけないのか…、と。
ひどい話だけれど、「会社を休む」というのはそういうものだ。
どんなに環境がよい職場だったとしても、気持ちよく会社を休める人なんて、きっといない。
そういえば、母が嘔吐したといっては介護施設から連絡があって、しょっちゅう会社を休んで病院に連れていかないといけなかった時期があったっけ。
逆流性食道炎だという診断がくだって、ネキシウムという薬が出るようになってからは嘔吐もおさまったけれど、それまでは大変だった。
今回、サトイモに吐かれた後、吐しゃ物や汚れた衣服の処理を優先するべきか、そんなこと放っておいてサトイモを「よしよし」してケアしてやるべきなのか迷った。
結果、ちょっとだけ「よしよし」してから片づけをしたけれど、それでもサトイモは自分を放っておいて洗濯している私が恨めしかったに違いない。
ちょっと離れるだけでグズグズ泣く。
こういうときワンオペだとつらい。
老人の場合は「よしよし」しなくてもいいから割り切って片づけに当たれるものの、ゲボッとやられたあとはパニクってしまうので、猫の手でも借りたい。
ときには父に助けを乞うこともあった。
記憶に残っているのは、嘔吐後の母の着替えを私がさせている間、母の汚れたセーターの片づけを父に頼んだときのことである。
父は洗面所からえらく早く戻ってきて悠然とテレビを見ているので、おかしいなぁと思ったら、セーターは吐しゃ物がついたまま洗濯機に突っ込まれていただけだった。
「洗濯機で洗濯したらきれいになるやろ。あかんのか?」
と父は悪気なし。
頭数がいても、働ける人数とイコールではない。
結局ワンオペなんだよなぁ。
父の食事と宅配
前と比べて手間が軽減したことがひとつだけある。
父の食事の手配だ。
これまでは、私がセブンイレブンのお弁当をネット注文して父に届けていた。
「もう弁当いらんで」
と父からは何度も言われていたけれど、やめると父はとたんに何も食べなくなるので(それで私の出産前後に父は栄養状態が悪くなって体調が悪化した)、できるだけ味に飽きないよう種類を考えながら注文を続けていたのだ。
日記を振り返ると、セブンイレブンの宅配サービスは2016年の年末から利用し始めていた。
年寄り向けの宅配弁当の薄味を嫌がる父のために、当時のケアマネさんがセブンイレブンの宅配を勧めてくれたのだった。
最初のころは500円以上で配達を利用でき、送料もかからなかった。
ところが最近は、利用金額も1,000円以上、配送料も216円取られる。
費用は私が負担し、父からは最近「もう飽きた」と感謝もされないので、なんだかなぁと思い始めていた。(働いている間は費用の負担なんて感じなかったけど、育休中の今は無収入だからなぁ…)
そんなふうに利用し続けていたセブンイレブンの宅配だったけれど、突然サヨナラする日がやってきた。
8月になってセブンアンドアイのサイトにアクセスしようとすると、なんだかうまくいかない。
何度やってもログインできない。
コードか何かをメールで送ってくるというけれど、それも届かない。
調べてみると、セブンペイが問題を起こした影響で、セキュリティ強化のために7id全部のパスワードがやり直しさせられている、とTwitterで話題になっていた。
なんだそれ!セブンペイ関係ないのにすごい迷惑!!
セブンイレブンの宅配弁当がなかったら、うちの父は食事ができないんですけど?!?!
結局、セブンアンドアイのサイトにはログインできないまま。
腹が立つので、ログインできるように問い合わせなどをする気も失せた。
もうセブンイレブンのお弁当とはサヨ〜ナラ〜!
じゃあ、父の食事をどうするかについて、ケアマネさんに電話で相談することにした。
父のケアマネさんは、私が妊娠中に新しい人に代わった。
前の人は本当に親身になってくれて、父や母の様子やケアプランについて、私によく電話やショートメールで連絡をくれた。
新しい人になってからは一度も連絡をもらったことがない。
ケアマネさんよりも、週6で来てくれているヘルパーさんのほうがあれこれ教えてくれる。
まあ、ケアマネさんから連絡がないのは問題がないからだろうと思っていた。
けれど、今回お弁当のことで電話をしてみて、それはケアマネさんの性格というか資質なのだとわかった。
「じゃ、ヘルパーにお弁当を買ってきてもらうように言っときます」
それで終わりだった。
これまで、けっこう手間隙をかけて父のお弁当の手配をしていたのがむなしくなってしまった。
父の好みだとか栄養バランスを考えて、PC画面とにらめっこしていた。
スーパーで実物を選ぶより、Webサイトの画像を見て試行錯誤して選ぶほうが時間がかかる。
サトイモが寝てから夜その作業をしていると、気付けば日付が変わっている日もよくあった。
おそらくこの手間を理解してくれる人なんて誰もいないだろうな…。
拍子抜けではあるけれど、ひとつ仕事が減ってラクになった。
送りつけるのはムダ
父の食事といえば、レトルトの煮魚セットを送ったことがあった。
お弁当も手配しているものの、毎食ではないから、食事のたしになればという思いもあったし、ちょうどお中元の季節の頃で、親戚のおばさんやらお世話になった友人やらにギフトを送るついででもあった。
ところが。
父に電話をしたあるとき、
「そやそや、なみ松に聞かなあかんと思ったことがあったんや」
と父。
「こないだ新聞を整理しとったらな、不在連絡票いうのが出てきたんや」
と言う。
私が送った煮魚セットの不在連絡票だった。
日付を見てもらうと、7月9日だという。
そんな前の不在票?!?!
通常なら、宅配業者が未配達のままほっておいたりしない。
連絡がなくても再配達してくれたり、送り主である私に電話連絡があったりするものだ。
こんな長期間、未配達のままなんてことがあるだろうか?
父は、
「さあ、なんでやろうなぁ」
と呑気に言っている。
仕方ないので電話をきって、注文した店に問い合わせてみると、
「7月10日14時16分に受け取りとなっていますが…」
と調べてくれた。
ちゃんと受け取ってるやん!
じゃあ、商品はどこへ…?!?!
父にそのことを電話で伝えると、受け取った記憶もないし、商品がどこにあるかもわからないという。
「冷蔵庫に入ってない?よく探してみて!」
と私は必死に言ったけれど、
「また見てみるわ〜」
とやる気のない父。
5千円くらいする詰め合わせセットだったのに…。トホホ…。
「お父さんのために何をしてもムダやな!」
とイヤミのつもりで吐き捨てたが、
「もうそんなん送って来んでええで〜」
と父は普通に言った。
親の心子知らずとは言うけれど、うちは「娘の心父知らず」だ。
もう父の心配はするまい。
…そう言いながら、増税前に父のお酒をネット宅配で注文したりしている。
どこまで甘いのか。
寝かしつけをしている間に日本が変わっていく
9月に入ってもう11日も過ぎてしまった。
なんでこんなに慌ただしいんだろう、と振り返って理由を考えると、サトイモが歩き回るようになって手がかかるようになったこと、これまで以上にまとわりついて離れなくなったこと、昼も夜もなかなか寝ついてくれなくなったこと、の3つが思い当たる。
サトイモが眠っている間が唯一の自由時間なのに、就寝時間が遅くなればなるほど私の時間が減る。
こっちは早く寝てほしい。相手はできるだけ眠りたくない。
昼も夜も戦いである。
寝かしつけ。
目下の大問題である。
これまでだとおんぶして台所仕事をしていたら自然と眠りについてくれていたんだけど、最近はおんぶを拒絶するようになった。
奴はおんぶされると寝かしつけられることがわかっているのだ。
こっちだって、10キロ強の体重を背負いながらの家事は肩がこるので、できればおんぶなんてしたくない。(ちなみに抱っこは同じく肩がこるうえ何もできない。)
おんぶを拒絶された場合、一番手ぬるい寝かしつけ方法としては添い寝でトントンという方法があるけれど、サトイモの場合、すぐにムクリと起き上がって私の髪をひっぱったり眼鏡を取ろうとしたりリモコンやスマホをさわろうとしたりしてしまう。
うまく寝かしつけた場合でも、寝転ぶと私自身も一緒に眠ってしまって、下手をしたらそのまま朝まで、ということもあるので、リスクが大きい。
そこで、最近はおんぶを拒絶されたら、即ベビーベッドへ放り込んでほったらかす、という強硬手段をとっている。
ベビーベッドの柵にしがみつき、絶叫に近い泣き声で助けを求めるサトイモ。
だいたい30分くらい泣き続け、やがて泣きつかれて寝てくれる。
ほかの人はどんなふうに寝かしつけているんだろう?と最近ようやく気軽に話せるようになったママ友さんたちに聞いてみた。
一人は、
「うちはまだおっぱい吸ってるから」
という回答で、もう一人も、
「もう授乳はしてないけど、まだおっぱいは大好きだから、触りながら寝ちゃう」
ということだった。
サトイモはあまりおっぱいに興味がないからな~。貧相な母でごめんよ。
寝かしつけの理想は同僚のスタイル。
娘さんをベッドに入れて「おやすみ~」と声をかけ、電気を消したらすぐに寝てくれていたそうだ。
うらやましい~!
いつになったらうちのサトイモは「おやすみ」で寝てくれるようになるんだろう。
ニュースがおかしい
とにかくあっという間に1日が過ぎる。
私はヤフーのフリーメールを使っているんだけれど、メールチェックが2日遅れということもザラだ。Facebookもそう。
連絡をしたい友人だってたくさんいるけど、なかなかメッセージを送れない。
見ているテレビはほとんどがEテレ。幼児向け番組を朝も夕方も見る。
毎日のニュースは、新聞を読む暇がないので、スマートスピーカーに尋ねる。NHKラジオとヤフーニュースを教えてくれる。
オーケン情報だけは欠かせないから、ときどきTwitterをチェックする。
・・・すると、なんだか日本がおかしなことになっている。
千葉県や神奈川県で、台風被害がえらいことになっているじゃないか。
ちらっとみたテレビのニュースでは小泉進次郎の入閣の話が大きかったみたいだけど、そんなことやっている場合なんだろうか。
トップで報じないとおかしいくらい、災害規模は大きく見える。
一応私も阪神淡路大震災を経験しているから、災害にあっている人に必要な支援が行き届いてないなんて情報を見ると耐えられない。
ちなみに、災害について私が情報を得たのは、クレイジーケンバンドの小野瀬雅生さんと氣志團の綾小路翔やんのツイートから。その二人のツイートが一番多かった。
政治家とかじゃなくて、その二人だよ。(ま、政治家はそもそもフォローしてないけど。)
子育て広場に公園に児童館にスーパー。その行ったり来たりだけが今の私の生活だけれど、なんか最近のニュースはどうかしている気がする。
日米FTAのこととか、放射能汚染水放出のこととか、消費税の軽減税率でどんなふうにややこしくなるのかとか、気になることはいっぱいあるけど、調べる時間もない。
何も知らされないまま、いつの間にか日本は違う国になってしまいそうだ。
親の責任と恥
先日、派遣で働いている友達が遊びに来てくれた。
そのときに聞いた話。
会社の同僚が中学生の息子の宿題を手伝っている、しかもその理由がひどいのだ、と。
「塾の勉強で忙しいから学校の宿題なんてやっている時間がない」
というのだ。
なんたる本末転倒!
親が自分でやるのはまだいいほうで、工作だとか自由研究だとかはメルカリで買う親もいるという。
世も末だな。
またラジオ『エレ片のコント太郎』の話になるけれど、片桐仁も子どもの夏休みの宿題の手伝いが大変だと話していた。しかも2週にわたって。
そんなのほっとけ、というエレキコミックの二人に対して、片桐仁は自分もお祖母ちゃんに宿題を手伝ってもらっていたから、と返していて、そこにはちょっと可愛らしさもあったけれど、友達の同僚の理由は全く可愛らしくない。
「もし提出しなかったら内申に響くから」
というのが親が子どもの宿題をする理由らしい。
だったらなおさら子ども自身にやらせろよ!
と思うけれども、その同僚いわく、
「今はみんなこうなのよ!ジョーシキよ!」
ということらしい。
そのうえ、その同僚は自分のことを棚に上げて、
「工作や自由研究はどうせ本人がやってないんだから提出させる意味がありませんので、こんな宿題を出すのはやめるべきです」
と学校の先生に意見したというのだから恐れ入った。
子どものほうも、親にやってもらったことが学校にばれたら恥ずかしい、と思わないのだろうか。
私も人の親になったので、自分のことに照らし合わせて考えるけれど、そんな親子には死んでもなりたくない、と思う。
それとも、子どもが学校に入ると考え方が変わるんだろうか…。
過干渉はよくないけど放任主義もどうかと思う
友達と、自分たちの親が自分の将来や進路について何かしてくれたり考えてくれたりしたか、という話になった。
うちの親について言えば、まるで放任主義だった。
「好きなようにしたらいいよ」
父も母もそのスタンスだった。
唯一、母が頑なだったのは、
「浪人だけは許さない。大学は現役で受かったとこに行きなさい」
ということぐらい。なぜかやたら浪人するのは恥ずかしいと思っていたみたいだけれど、その理由はわからない。
浪人の何がそんなに恥だと思っていたんだろう?
ともあれ、私は自分の進路も何もかも、自分で決めてきたというか、決めざるをえなかった。
何を相談しても、「なみ松はどうしたい? したいようにしたら?」と言われてきたから。
私は他人から「わがままだ」「好き勝手だ」と言われるけれど、自分で自分のことを決めて当然の家庭で育てられたのだから仕方がない。
そして思い出すのが、幼いころの私の口癖だ。
母がよく思い出話として語っていた。
「何が飲みたい?」
と尋ねると、きまって、
「にゅうにゅう。にゅうにゅう。おちゃとういれて、くるくるちて」
と答えていたそうだ。
お砂糖入りの牛乳。
マグカップに入れてかき混ぜ、電子レンジで少し温める。
それを眠れない夜など、ベッドに入る前に飲んでいたのを自分でも覚えている。
…あかんやろ、そんな甘いもの飲ませて寝かせたら!
現在からすると、とんでもないことをやっていたもんだ。
そりゃ虫歯になるわ!
私の乳歯はほとんどの歯が虫歯だったけれど、納得するしかない。
子どもに好きなものを好きなように与えるな!
そこは親として管理してほしかった…。
虫歯になると恥ずかしい
今、子どもの虫歯の罹患率は右肩下がりに減ってきている。
乳歯で虫歯になる子なんて、1割程度だそうだ。
子どもの虫歯は親の責任だと言われているから、現代の親たちは予防歯科に必死だ。
親の唾液が子どもの口に入ると虫歯菌がうつってしまうという。
だから唾液の母子感染についてみんな神経質になる。
私も離乳食を始めたころはひどく警戒していたけれど、最近はもう感染についてはあきらめた。
というのも、サトイモはしょっちゅう私に「あ~ン」して食べさせたがるからだ。
「俺の食べ物が食えんのか!」
とばかりに差し出してくる。
私がサトイモに食べさせるマネをしているのだ。
親から子どもに食べさせているのに逆は食べられないとなるとサトイモも気が悪いだろうから、サトイモの手から食べ物を食べる。
けれど、その瞬間、サトイモの手には私の唾液がついてしまっているはずだ。
「虫歯になったら私の責任だな…」
いつもそう思いながら、
「あとでハミガキがんばろう…」
と自分を励ます。
食べたあとすること何だった?
ハミガキ!
寝る前すること何だった?
ハミガキ!
自分で磨くだけではなくて、ママのひざの上で仕上げミガキ。
『おかあさんといっしょ』の「はみがきじょうずかな」でもあるとおり、「仕上げはお母さん」で、ひざのうえにゴロンと仰向けになって親が磨く。
サトイモはこれを非常に嫌がる。
ハミガキされるのが嫌なのではなく、「じっとしている」ことが耐えられないのだ。
いつも泣きわめき、こちらは暴れるのを脚で押さえつけて実行する。
その様子を見ていた夫からは、「まるで虐待」と言われてしまった。
万が一、虐待と間違われてご近所に通報されたとしても、虫歯になるよりマシ!
乳歯の虫歯は恥!
それくらい、
「子どもの虫歯は親の責任」
そういえば、私は子どもの頃に「仕上げミガキ」をしてもらった記憶がない。
昭和の時代、オーラルケアの重要性なんて全然考えられてなかったんだろう。
常識も変わる。
2番目のタフガキは誰に似たのか。
人の性格は生育環境とか人生経験とかに大きく影響されるものだと思っていたけれど、子育てをするようになって、見る目が少し変わった。
というのも、生まれて間もない赤ん坊でも、それぞれ性質が全然違っているからだ。
泣いて泣いて親を困らせる子もいれば、眠ってばかりののんびり屋もいる。
ましてや少し成長すると発達の個人差も出てくるので、さらに違いが大きくなる。
うちのサトイモみたいに何にでも興味を示して率先して手を出す子もいれば、水遊びすら怖がって泣く子もいる。
児童館や子育て広場で0~3歳までの子どもたちを見ていても、発達も個性も一人として同じ子はいない。
そうなると子育てしている母親同士で話していたって、
「へぇ~、チャイルドロックが必要ないの⁉ いいねぇ!」
とか、
「果物を食べてくれるならいいじゃないの、ビタミンが摂れて。うちはお菓子しか食べてくれないのよ」
とか、「へぇ~」のオンパレードだったりする。
人と比べるのはナンセンスだとわかっていても、「それだったらうちの子のほうがマシかな」とか「わ、うちの子は遅れてるぞ!」などと思ったりもする。
児童館でも子育て広場でもよく会う子どもたちのうち、一人ズバ抜けてヤンチャな、ジャイアンみたいな子がいるけれど(その子の話はまたいずれ)、うちのサトイモはその子に次いでゴンタな性格である。
アンダーワールドのアルバムのタイトルに『Second Toughest In The Infants(邦題:2番目のタフガキ)』というのがあったけれど、まさにガキの中で2番目に強い奴なのだ。
他人と比べて違いがあるのは当然なんだけれど、
「まるでクローンのように瓜二つ」
と言われている夫の子ども時代と比べても、サトイモの性格はまるで違うらしい。
お姑さんから、
「はるくんは大人しかったから育てやすかったけど、この子はほんまにゴンタやわ」
と毎回言われる。
正直、子育ての大変さはいろいろあるだろうけど、大人しい子とゴンタ坊主では当然後者の母親のほうがキツイ。
「女の子はもっと大人しいで。下の子がそうやった。お人形さん抱いてじっと遊んどったもん」
えっ、じっとしてくれる子どもなんているの?!
私としては目からウロコである。
「この子はちょっともじっとしてへんから大変やな」
とお姑さんが同情してくれるように、最近の私は毎日ヘトヘトである。
「この性格は一体誰に似たんやろう?」
お姑さんも夫も私も、それがみんなの疑問なのだった。
このお盆休みには、夫にお願いして王子動物園とうちの実家に連れていってもらった。
王子動物園には「ふれあい広場」というコーナーがあって、ガチョウやヤギなどが放し飼いになっている。
普通の子どもなら怖がってもよさそうなものだけれど、うちのサトイモは平気でアヒルの群れに入っていくし、ホロホロ鳥も追いかけて行く。
すぐそばをカピバラが走り抜けていっても驚きもしない。私のほうがビックリしてビビッてしまった。
うちの母のお見舞いに行っても、病院の雰囲気に委縮することもなく、母に近づけるとすぐに鼻のチューブを引っ張ろうとする。
夫は、
「そんなん抜いたら死ぬぞ!」
と慌てるけれど、経鼻栄養のチューブだから抜いても死んだりしないのだが。
毎回、お見舞いに行くと母の爪が伸びているので切って帰るのだけど、その間、サトイモと母が向かい合わせになるようにベビーカーを置く。
お互い、「あ~」しか言えない。
「サトイモ、おばあちゃんだよ。お母さん、待望の孫さんだよ」
と声をかけるけれど、どちらもわかってるのかわかっていないのか。
私のことはまだわかっているように思うけれど、今回、「この子、誰?」とでも言いたげな母のまなざしで、サトイモを孫だと理解できていないんだろうなと感じた。
幸い、母は本当に子どもが大好きな人だったので、小さい子どもを見ているだけで喜んでいるだろうと思うけれど。
反応がだんたん鈍くなる母とは逆に、サトイモは私たちが言っていることをグングン理解するようになってきた。
きっとうちの両親についても、お祖父ちゃんお祖母ちゃんだということをわかってくれているんじゃないかと思う。
しわくちゃでタバコ臭いうちの父にも笑顔で接してくれて、帰り間際には車の中から手を振ってくれるサトイモ。
人見知りせず、泣いたりしないのがありがたいなぁ、と、小さなタフガキに毎回感謝である。
翌日、父とメールのやりとりをしていると、こんな一文が。
「遊びに行っても目を離すな。小さいときのなみ松に似ている」
えっ、私!?
落ち着きないのは、私に似たってこと?!
…ちょっとショック。
でも、しゃーないな、私の子やもんな、と開き直るしかない。
今日も一日、追いかけ回して疲れた。