3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

気をつけて、しかし恐れずに

11月19日以来、連日兵庫県の新型コロナ感染者が百人を超え、昨日も最多数を記録している。

いよいよここまで来てしまった感じがする。

ただ、うちの夫はよく、

「知り合いか、知り合いの知り合いに感染者出た? 俺の周りはまだ一人もおらへんけど」

と言う。

確かに、私の周りにはまだ一人もいない。

先日美容室に行って、美容師さんたちに同じ質問をしてみたけれど、

「まだ知り合いやお客さんには出てないっすねー」

という返答だった。

 

かつて、「関西人は、必ず知り合いの知り合いに『探偵ナイトスクープ』に出演した人がいる」という都市伝説があった。

私の知り合いの友達も依頼者で出たことがあるし、職場に探偵が尋ねてきてちらっと画面に出た友達もいた。

夫の会社の人も出演したことがある。

美容師に尋ねてもやっぱり友達の友達が依頼者になっていた。

 

つまり、ナイトスクープコロナウイルスより身近。

 

それが私の現在の実感である。

「コロナがナイトスクープより身近に迫ってきた」とは思えないせいで、ウイルス自体も目に見えないけれど、感染も目に見えず、まるでネット上の仮想敵みたいに思える。

 

我慢できなかった三連休

本来なら我慢の三連休なのに、結局は連日出かけてしまっていた。

そのうち1日はしまじろうのクリスマスコンサート「しまじろうとふゆのおうじょさま」だった。

こんな状況下でもあるし、今年は神戸じゃなく明石市立市民会館での開催なので、チケットを取るときにすごく迷ったけれど、「3歳未満ひざ上無料」につられてしまった。

何より、一番の決め手はサトイモの反応だった。

「去年、しまじろうのコンサートに行ったの覚えてる?」

「おぼえ、テる~」

「今年も行きたい?」

「いき、たいョ」

とたどたどしく言った。

そして、去年「赤いものを持ってきてね」と言われて持って行った消防車を取ってきて私に見せてくれた。

「消防車持って行ったの覚えてるの!?」

「おぼえ、テる~!」

子どもの記憶なんてどーせすぐ消えちゃうんだろ、とタカをくくっていた私は、ちゃんと覚えていてくれたことに感激してしまった。

夫は、

「コンサートなんか、ようさん人が来るのに大丈夫なんか?」

と言いながら、夫も車で会場まで送ってくれた。

 

正直、去年よりも物足りなさがあるコンサートだった。

何が違うんだろう、と考えてみると、コロナのせいでできない演出が多々あることに気づかされた。

オーケンがライブでコール&レスポンスができないことでものすごく戸惑っているのと同じく、しまじろうのコンサートも観客をあおることができないのだった。

筋肉少女帯と同じく、子ども向けコンサートも参加型である。

「みんなで大きな声でしまじろうを呼んでみよう!」

なんていう呼びかけは当然御法度なのである。

クイズを出して、

「会場のみんな、答えを教えて!」

という問いかけもできない。

代わりに、入り口で渡された星型の厚紙を使って、

「みんな、キラキラスターを振って!」

という呼びかけがあり、星をヒラヒラ振ってしまじろうたちに元気を送った。

 


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去年は目の前までガオガオさんが来てくれて興奮したけれど、今年は出演者が通路まで出てきてくれることもない。

ダンサーなど出演者の数も最小限にとどめているみたいで、華やかさに欠ける。

間隔をあけているので席はゆったりしているけれど、会場の熱気も換気で出て行ってしまった。

大人としては、

「制作サイドは目一杯頑張っているだろうけど、いろいろ残念だなぁ」

という感想を持たざるをえなかった。

 

それでも、帰りの車の中で、

「コンサート楽しかった?」

と尋ねると、サトイモが、

「たのしカた!」

と答えてくれたのがせめてもの救いである。

 

旅人の名言

オーケンがnoteで「のほラジ」という有料5分ラジオを配信していて、その中で語っていたのが、沢木耕太郎の「気をつけて、でも恐れずに」という言葉だった。

ネットで検索すると、正確には「気をつけて、しかし恐れずに」で、下記にインタビューが載っていた。

news.yahoo.co.jp

 

気をつけて、しかし恐れずに。

コロナや旅行にかかわらず、人生のすべてに通じる名言だと思う。

 

サトイモは好奇心でどんどん行動してしまう子どもなので、私はいつもヒヤヒヤしっぱなしだ。

コンサートでも、前に出て行きそうになるのを止めるので必死だった。

 

コンサートで出ていくのは当然止めるべきだとしても、日常生活のいろいろを、親としてどこまでやらせるべきなのか、どこまで止めるべきなのか悩む。

先日は私がピーラーでジャガイモの皮をむいていると、自分もやりたがってダダをこねるので、やらせてみた。

ピーラーは包丁より危なくはないけれど、間違えば指の皮をすりむいてしまう。

「ああっ!危ない!しっかり持ちなさい!」

と怒鳴りながらも、見守りながら2個のジャガイモをむいた。

 

恐がってばかりじゃ前に進めない。

でも、まずは気をつけて。