3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、趣味と母の介護と育児に追われる日々の記録。

4カ月健診に行ってきた。

神戸市では、区役所で乳児の4カ月健診とBCG接種を同時に行う。
金曜日、うちの息子サトイモも受けてきたばかりだ。

もう満5カ月になっているのに4カ月健診だなんておかしいけど、もともと2週間前に受ける予定だったのを、予防接種の関係で変更してもらった。

予防接種は満2カ月から受けられる。
最初スケジュール表をもらったとき、あまりの数にクラクラした。
Hiv、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタ、四種混合、ポリオ、BCG、日本脳炎…、まだまだある。
案内冊子とカレンダーを突き合わせながら、漏れや間違いがないようにスケジュールを組んだ。

ほとんどの予防接種は自分で病院に予約を入れて受けにいく。もう前半の山場は超えた。
けれどBCGだけは例外で、神戸市から指定された日に区役所で一斉に受けることになっている。
当日の説明によると、神戸市は結核患者の多さにおいてワースト5に入る状況らしく、そのために4カ月健診と同時に一斉に受けることになっているのだとか。

私は自分で列に並んでツベルクリンとBCGを受けたのを覚えている。だから、幼稚園か小学校低学年だったはずだ。
子供だからなんの注射だか全くわからず、ただ嫌だった記憶しかない。
今回、接種にあたって説明を読んで初めて、それが結核予防なのだと知った。
だったら、結核予防接種って言ったらいいのに、なんでBCGなんだろう。


そんなに大きくなかった

 

4カ月健診では、まずBCGや離乳食に関する説明をみんなで聞いて、そのあと順番に身体測定、診察を受け、BCG接種を受ける、という流れだった。

身体測定は身長、体重、頭囲、胸囲を計測する。
オムツ一丁の赤ちゃんたちが、母親に抱かれて列をなす。
ついつい、ほかの子がどんな様子か、気になってしまう。
ここでも、うちのサトイモは一番髪の毛が薄かった。

計測している最中、サトイモは頭囲・胸囲を測るメジャーの端っこをつかんで離さない。
「あらあら、つかむのが上手ねぇ」
保健師さんが優しく言ってくれたのをいいことに、サトイモはそれを口に入れようとする。
この日だけでも何十人の赤ちゃんを計測しているメジャーだ。そんなのナメナメしたら、また口にカビが生えちゃう!

計測値は母子手帳の4カ月健診の欄と乳児身体発育曲線の欄に記録してくれた。
発育曲線のグラフを見ると、生まれたときは標準を示す色付きのエリアから外れていたのが、今は追いついて、中に入ってきている。


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健診後の栄養相談コーナーで、
「できれば粉ミルクを減らして母乳メインにしていきたいんですが」
と相談すると、
「発育曲線グラフの色のついたところは、100人赤ちゃんがいたらどのあたりか、という目安です。真ん中が平均です。今は色のついたところに入っていているものの、まだ下のほうですよね。これまでは欄外だったので学年の一番前だったのが、前から三番目くらいになってきたくらいです。これまで頑張ってぐーっと追いついてきたのに、今ミルクをやめてしまったら、このまま下のラインで推移することになるかもしれません。平均を超すまでは混合をお勧めします。」
と言われてしまった。

色がついた帯部分については特に説明がないので、入っていたら大丈夫なんだと思っていた。
鵞口瘡を診てもらったとき、小児科の先生に「大きい」って言ってもらったので勘違いしてしまった。
当分、ミルク混合はやめられそうもない。

がっかり。

そのうえ、ミルクの回数についても相談すると、
「間隔が5~6時間も空くのは空きすぎです。水分不足が心配です。うんちが毎日出ないのもそのせいかもしれません。欲しがらなくても4時間くらいのペースであげてください。」
と言われた。
サトイモはよく寝る子で、長時間眠ってくれる。
こっちは楽ができるけれども、それでいいのか心配だった。
やっぱり起こしてでも授乳したほうがよかったのか…。
3カ月のときに病院で相談したときは、
「何時間に1回と決めなくてかまいません。この子のペースに合わせてあげてください。寝てくれたら、お母さんは『ラッキー!』と思って休んでいいんですよ」
と先生が言ったのに。
相談する人によってまちまちなのは困るけれど、それだけ子育てに正解はないってことなのかな。
ただ、「水分不足」という指摘が気になるから、あまり時間が空かないよう気を付けよう。


新たな四文字熟語に遭遇!

 

身体測定のあとは診察を受けた。
聴診器で胸の音を聞いて、診察台ではガラガラを見せて目で追うか、振り向くか、とか、うつ伏せにして首を上げるか、などの検査をした。
先生はたくさんの赤ちゃんを次々を診察しなければならないから、テキパキ、パパパっと処理していく。

突然オムツを外すやいなや、人差し指でサトイモの睾丸を触り始めた。

な、何!?

グリグリ、グリグリ、グリグリグリ…。

何度も触る。

私が戸惑っていると、
「う~ん、ちょっと水が溜まってますね」
と先生が言った。

「何か悪いんですかっ!?」
「ちょっと水が溜まってるだけです」
「それって何なんですかっ!?」
「いえ、多かったら針で抜くこともありますけど、ちょっとだけですからね~」

こちらは意味がわからないので非常に不安になっているのに、先生は何も説明をしてくれない。
悪い病気なのか、原因は何なのか、それが悪化するとどうなるのか…。

カルテには「陰嚢水腫」と書かれる。

だから一体何なのよ~!?

鵞口瘡もそうだったけど、漢字の病名って怖い。
うちの母親が「パーキンソン病関連病」と言われたとき両親ともにあまり深刻にならなかったのも、病名が「パー」から始まる響きだったからだ。
あれが漢字の羅列だったらもっと怖がっていたじゃないかと思う。

結局、陰嚢水腫については、
「次に予防接種に行くときにでも、主治医に経過を診てもらってください」
と言われただけだった。
「陰嚢水腫」だなんて数が多い四文字の漢字を書かれ、なんの説明もなく「経過観察」と言われても…。

家に帰ってからネットで調べたら、乳児にはままあることで、かつ、自然に治癒することが多いみたいだ。確かに大した問題ではないようだった。
まったく、ネットがなかったら子育てやってられんぞ。
インターネットがある時代、万歳。


多国籍な健診

 

区役所の健診会場には同じ月齢の、いろんな赤ちゃんがやってくる。
親もさまざま。

さすが神戸だなと思ったのは、外国人の赤ちゃんが複数いたことだ。
私と同じ回には、インド系のママ、ヒジャブをつけたイスラム系のママ、アフリカ系黒人のママ、金髪碧眼の白人のママがいた。
アジア人は見た目にはわからないのではっきりわからないけれど、中華系の人もいた。韓国人もいたかもしれない。

その中で、私が気になったのは白人のママだった。

私はその白人のママを知っていた。
出産で入院していたとき、向かいの病室だったフランス人のカトリーヌさんだった。(仮名。)

カトリーヌさんには赤ちゃんのほかに二人息子がいて、病室によく出入りしていた。
上の息子さんは小学校低学年くらい、下の息子さんは3、4歳くらい。
兄はいつも病院の廊下を走り回っていて、一人で運動会をやっていた。
挙句の果てに転んで口を切って、院内の小児科の先生に診てもらうというハプニングがあった。
兄に負けず弟もウロウロする子で、一度間違って私の病室に入ってきたことがあった。
そのときはお父さん(やはりフランス人)がすぐに連れ戻してくれた。

この日、カトリーヌさんは下の息子と赤ちゃんの3人だった。
ほかの外国人はみんな夫も同伴で来ていて、夫婦で健診に臨んでいた。
言葉や文化の壁を二人で乗り切ろうとしていたのだろう。

一方、カトリーヌさんは一人で赤ちゃんと幼児の二人を面倒みなくてはならない。
日本人でも大変だろうに、カトリーヌさんは日本語ができないからなおさらだろう。
そんなママの傍らで、息子は会場内を自由奔放にかけ回っていた。
ほかにも上の子供を連れてきたママはたくさんいたけれど、カトリーヌさんの息子ほどやんちゃをしている子はいなかった。

カトリーヌさんはあまり笑顔のでない人だった。
常に息子を注意しながら、不機嫌で、ひどくイライラしているように見えた。

身体測定だとか診察だとかの待合で一緒になるたび、私は話しかけようかどうしようか迷った。
「私、あなたを知っています。同じ病院で、向かいの病室だったんですよ。」

彼女は日本語ができないのは知っていたから(病院で看護師が話していた)、話しかけるとしたら英語だけれど、その勇気が出なかった。
向こうもフランス人だから英語で話しかけられたってうれしくないかもしれない。
突然下手な英語で話しかけられたって迷惑だろうか…。

躊躇するうち、BCGのコーナーでカトリーヌさんはスタッフの人たちと何やらやり取りをしていた。
言葉がうまく通じてないらしく、しばらくしたら「Interpreter」の腕章をつけた通訳スタッフがやってきた。
「英語、中文」と書かれていたから、彼女はどうやら中国人で、英語も日本語も話せる人のようだった。
カトリーヌさんはその通訳スタッフともやり取りをしていたけれど、しばらくしたら会場からいなくなってしまった。
BCGを受けずに帰ってしまったみたいだった。

英語が下手だとか、そんなことを気にせず話しかければよかったな、と後悔した。
初めての子供である私と違って、カトリーヌさんは3人目の子供だから、それほど心配することはないかもしれない。
それに、話しかけたところでなんの役にも立たない。
けれど、もし自分が逆の立場だったら、あいさつをする人がいるだけで孤立感が少し和らぐだろう。

なんとなく、カトリーヌさんのことが気にかかってしょうがなかった。

この先、もしカトリーヌさんに出会うことがあったら、勇気を出して話しかけてみよう。
フランス語は無理だから、もうちょっと英語の勉強をしなくちゃ。

孤立しがちな日本の子育てを思うと、なんかせつない。