知能検査を受けた結果(1)
幼稚園の先生から、幼稚園連盟がやっている専門家の「子育て相談」を受けることを勧められたのは昨年の11月頃だったかと思う。
サトイモが幼稚園に慣れ、落ち着いた頃だったので、
「でもまだ、幼稚園側からしたら、そういうとこを勧められる問題児なのね…」
と少々ガッカリしたものだ。
勧めてくれたのは、サトイモ担当と言っていいほど面倒を見てくれている副園長先生だ。
「今行っている発達支援教室もいいですけど、また違った視点からアドバイスが受けられますよ。小学校に上がる前にこの子育て相談を受けることで、学校の授業へも適応しやすくなるって聞いてます」
とても人気があるので半年くらい待つとは聞いていた。
でもというかだからというか、秋に申し込んで、面談の連絡が来たのは3月。
ちょうど幼稚園がコロナ陽性者続出で閉鎖が頻発、私も年度末でバタバタしていた頃と重なり、日を延期してもらうことになった。
ようやく5月になって、子育て相談を受けてきた。
「子育て相談」というタイトルなので、親の悩みを聞いてくれてアドバイスしてくれるものだとばかり思っていたら、そうではなかった。
2日に分かれていて、1回目は子どもの検査。というか実際はテスト。
2回目はその結果を受けて専門家が解説とアドバイスをしてくれる。
なんと2回目は幼稚園の担任の先生も一緒に来てくれて、専門家のアドバイスを共有してくれるという丁寧さだ。
そして先日、その2回目を終えた。
これは一味違うぞ
最初は、サトイモも同室で過ごせるように、面談の部屋の中にマットが敷かれ、玩具が置かれていたのだけれど、
「サトイモくんは大人たちが自分のこと話してるなぁということはわかりますか?」
と尋ねられ、
「わかると思います」
と答えると、サトイモは別室で別のスタッフが預かって遊んでもらうことになった。
専門家の先生は年配の女性だけれど、保育関係者によくあるようなお母さんタイプのおばさんではなかった。
キャリアを積んだ女性の、少し居丈高な雰囲気。
どこかの大学の助教授だという。
私と幼稚園の先生にイスにかけるように言うと、まず私に、
「で、お母さんが心配されていることは何ですか?」
と尋ねた。
心配? ❛心配❜かぁ…。
「それは、今心配していることですか? それとも将来の心配ですか?」
「どちらでも」
困っていることは山ほどあるけれど、❛心配❜と言われると言葉に窮した。
「以前は勝手に走り出したりして、交通事故にあわないか心配でしたけど、最近はそういうことも減りましたし、高いところに登ったり危ないことをするのも減りましたし…」
答えに困っている私の様子に、
「でも、何らかの心配事があるから、この相談を受けようと思われたんでしょう?」
そう言われたので、幼稚園の先生に勧められたことや、おおまかな経緯を説明した。
1歳半健診のときに言葉が遅くて、区役所が主催する支援クラブに通っていたこと。
コロナでそのクラブが実施されなくなり、代わりに個別診断が行われたこと。
その個別診断では、発達にバラツキがあるのかも、と言われつつ、今のところ問題はないから様子を見ましょうと言われたこと。
幼稚園に通うようになると、脱走などの問題行動が起きて、ADHDかも、と思い、発達支援教室に通うようになったこと。
発達支援教室では良い子なのに、幼稚園や家庭ではときどき問題行動が出ること。
専門家は、
「発達にバラツキがある、というのは具体的には?」
「そんなに詳しく説明を受けたわけではないので…」
専門家がまるで尋問のように聞いてくるので、私もつい口ごもる。
「で、問題はない、様子を見ましょうと言われたんですね」
「はい」
すると、専門家は呆れたようにため息をついた。
テスト結果に驚く
そして本題。
専門家が私たちにテスト結果を見せながら、
「とても頭のいいお子さんです」
と、きっぱりと言い切った。
そう言われて、私がうれしくないはずはなく、なんだか照れてしまった。
「受けていただいたテストはWPPSIというテストで、いわゆるIQをはかっています。だいたい100が真ん中だと思ってください。言語性IQが118、動作性IQが129あります。全体として129。つまり、お子さんには130近いIQがあるということです」
えっ、IQ130!?
一般人のIQは100前後だ。
はかったことはないけど、私もたぶんそれくらいだろう。
夫は大人になってからIQを調べる機会があり、120くらいだったそうだ。(ちょっと自慢気だった。)
ということは、サトイモのほうが私達より賢いってこと?!
しかも子どものIQは6歳ごろまで伸びる。
サトイモはまだ4歳1か月だ。
これまで、サトイモをそんなに賢い子だと思ったことはなかった。
東大生の幼児期のエピソードなんかと比べると、記憶力もいいとは言えないし、飲み込みもさほど良くない。
それなのに、IQ130?
「全項目においてさほどバラツキはなく、すべての項目において10を超えています。迷路は突出してできていますね。15ですからね」
確かに、サトイモは迷路が好きで、赤ちゃんの頃からタブレットのアプリで迷路を解いていた。
子供向けアプリとはいえ、一番難しい迷路もクリアしたときはちょっと驚いたっけ。
「この数字だけをみれば、知能は問題ありません、となります。子ども家庭センターで問題ありませんと言われたのも、それはそうでしょう」
専門家はそこで言葉を区切った。
「ですが」
【話が長くなるので、ここでいったん切ります。次回へつづく】