家族内三角関係
やはりサトイモの「だっこして」はまだまだ継続。
「ママだっこして」とサトイモが号泣しているとき、たまに夫がタイミングよく帰ってきて、
「パパが代わりに抱っこしてやろう」
と抱き上げるときがある。
「よかったね、パパが抱っこしてくれるって!」
よかったよかった、これで治まる、…かというと、全くそんなことはない。
「パパじゃない!ママだっこして!」
とパパ全否定。
それでもしつこくパパが抱っこしていると、
「パパはイヤ!パパはキライ!」
とすっかり嫌われてしまう。
こんなに優しく大切にしてくれているのに、冷たい仕打ち…。
親たちよ、愚問を口にするな
夫はときどき、
「パパとママ、どっちが好き?」
という愚問を口にする。
…マゾなのか?
当然サトイモは、
「ママ!」
と答える。
躊躇なし。
「そういう忖度がないところもかわいい」
と夫は呑気である。
「子どもは母親が好きなもんや。そこでパパって言うのはおかしい。いや、言ってほしくない。ママって言ってくれてむしろうれしい」
と、悔しまぎれなのか支離滅裂である。
私が子どもの頃。
両親が幼い私に、
「パパとママ、どっちが好き?」
と尋ねたそうだ。
「どっちも同じくらい好き」
と答えた私を、うちの両親は、
「なんと賢い子だろう!」
と絶賛したらしい。
親バカか。
私はそれを覚えていない。
けれど、うちの両親はよくケンカをする夫婦だったから、どちらかを答えればどちらかが傷ついたり不仲になったりするのが嫌で、配慮した答えを編み出したんだろうと思う。
なかなか健気じゃないか、私。
昨年くらいだったか、東出昌大が不倫騒動を起こしたときに、
「杏さんと唐田さん、どっちが好きですか?」
と質問した記者がいたらしい。
「どっちもだよ!どっちも好きだからこんなことになってるんだよ!くだらない質問するなよ!」
と突っ込んでいた。
どっちが好きかなんて、本当に愚問だ。
あっちを立てればこっちが立たない。
東出昌大は当然のこと、子どもだったら絶対つらい。
パパと言うかママと言うか、心を悩ませて忖度するしかない。
まあ、サトイモは全く悩んだそぶりはなかったけれど。
しばらくは甘えさせるか
最近、サトイモは毎夜寝る前にベッドの中で、
「ママだいすき」
と言う。
私も
「ママも大好きだよ」
と答える。
一回だけじゃない。
何回も何回も、それを繰り返す。
『うる星やつら』の諸星あたるが、かたくなにラムちゃんへの気持ちを告白せず、
「言わにゃわからんのか!」
と言っていた。
あたるの気持ちがよくわかる。
好きだ好きだと言われて、私はちょっと不安になる。
言葉にして確認しないとこの子は不安なのだろうか、と。
抱きしめるだけでは、親の愛情が伝わってないんだろうか、と。
今朝は玄関で、
「もうあるけない、だっこして」
というサトイモを受け入れて、
「いいよ、抱っこしてあげる」
と、抱っこで家を出た。
14キロの幼児を抱っこで坂を登り、そのあと出勤するのは本当にキツイ。
いつもなら、
「何言ってるの、歩きなさい!」
と怒鳴り、泣き叫ぶのを無理やり引きずるようにして登園させるところだ。
こないだなんか、
「もうあしがいたくて、あるけない。」
と突然座り込んで動かなくなった。
「さっきまで走り回ってたじゃないの。どこが痛いのかな?おまじないしようか?もうちょっとだけ頑張ろうよ!」
とあれこれ声をかけたけれど、頑として動かず、「だっこ」の一点張り。
「抱っこはしないよ。頑張って歩こうよ。ママ先に行くよ!」
とこちらが跳ねのけると、
「こうなったら、もう、くつをなげるしかない」
と言い出す始末。
「脱ぐな脱ぐな!おいほんまに投げるな!何すんねん!」
とこちらもイライラしてくる。
そんなストレスに比べると、結果的に抱っこしたほうがスムーズに登園できた。
幼稚園が近づいてきたら、降りて自分で歩いてくれたし。
サトイモが「ママだいすき」と言わなくなる日まで、少し甘やかしてみようかと思っている。