3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

お正月の父の印象

今更だけれど、年始の父の印象を書き残しておこうと思う。

年々老人らしさが増してくるけれど、なんとなく去年より生活者としての活気が出てきたように感じられた。

 

  • スマホを導入して孫の画像や動画をたくさん見れるようになったこと
  • リハビリに週一回通うようになったこと
  • コープの個人宅配を始めて、ヘルパーさんと相談しながら頭を使って買物注文をするようになったこと

 

そのあたりが、父が少し元気が出てきた要因ではないかと思う。

床の間には、コープで買った鏡餅を自分で組み立てて飾っていた。

「あれは難しいなぁ。失敗したんや。お餅の後ろをめくってもうて、中からお餅が出てしもたんや」

と、なかなかスムーズにはできなかったようだけど、自分でやろうという気持ちが出ただけ立派だ。

例年は私が組み立てていたのだから。

 

それに、去年までのように、お酒を飲みすぎてひっくり返ることもなかった。

「足がやばいんや」

と言いつつ、一度も転ばなかった。

毎年、2、3回は転んで、

「大丈夫や。転ぶのは慣れとんやからうまいもんやで」

と変な自慢をしていたのに。

 

トンチンカンな教育じじい

それでも、父は父である。

「これ、サトイモくんに」

と渡してくれたのは、小学校低学年向けのドリルと、大人向けの英会話の実用書だった。

 

ドリルは、

「最近サトイモは迷路が好きでね」

と私が言ったのを受けて、迷路で文字や数字を学習できるドリルを選んだんだろう。

まあそれはいい。いずれ使える。

 

問題は大人向け英会話のほうだ。

これ何?と聞くと、

「これからは英語勉強せなあかんやろ。これで勉強しぃ」

と父は言う。

これでって…。

日常会話からビジネスシーンまで、と副題がついている。

3歳でビジネスシーン!

 

サトイモに宛てて書いてくれた年賀状にも、

「べんきょうしていますか」

と父は書いていた。

どうやら父は教育爺らしい。

 

「お義父さん、えらい勉強にこだわるなぁ」

と夫が呆れていた。

「ちゃんと大学に行かすことを考えとうか?」

と言われたらしい。

 

父は自分が高卒なので、大学に行かせることにこだわりがあるのだ。

大学の銘柄は関係ない。

とにかく「大学に行く」のが大事らしい。

 

かつて父は、

「お父さんは大学に行きとうても行かれへんかったからな、なみ松には大学に行ってほしかったんや。行ってくれてよかった」

と言ったことがあった。

 

父が青年時代を過ごしたのは、まだまだ戦後の1950年代。

満洲から引き上げてきた一家にとって、大学進学は経済的に難しかったのかもしれない。

それを斟酌しつつ、あえて私が、

「大学に行かれへんかったのはなんで?」

と尋ねた。

「家が貧乏やったから行かれへんかったの?」

 

「いいや。アホやったからや」

 

え〜〜〜〜っ!!

 

思ってもよらない返答が返ってきた。

そんなん自分のせいやん!!!

 

「高校3年のとき、卒業したら大学行こかな、言うたら、『もう遅い、今さら無理や』言われたんや」

どのタイミングかはわからないけど、そりゃそうだろう。

成績のせいか、経済的にか、時間的にかはわからないけど、手遅れだったんだな。

よっぽどぼ~っとしてたんだ…。

 

「そんなもん、大学行かすように親がちゃんと考えとかなあかんのや!」

…いや、親のせいじゃないと思うけど…。

「そやから、サトイモくんには大学に行けるように、今から親が考えとかなあかん!」

今度は極端に早すぎるよ!!

 

3月生まれのハンデ

You Tubeを見ていて、ちょっとショックな情報があった。

低出生体重児は、そうでない子どもに比べて生涯においてIQが少し低いというのだ。

どこだったかの女子大の栄養学の講義動画なので、それなりに確かなデータだったと思う。(主旨としては、「だから妊娠中にダイエットかするなよ」と女子大生を戒め、「栄養学に興味を持って!」とあおる流れ。)

 

サトイモは3月の末に生まれたので、ただでさえ同級生と比べて発達が遅い。

そのうえ、低出生体重児ときている。

なんちゅーハンデ!

かわいそうだけれど、頑張らないと同級生についていけない。

 

ナイツの塙がやはり3月下旬生まれで、学校生活ではみんなについていけないなぁ、という劣等感があったそうだ。(ラジオ番組の『TOKYO SPEAKEASY』でそう言っていた。)

成績とか学歴はどうでもいいけど、3月に生まれただけなのに、

「僕はダメなやつだ」

という劣等感を芽生えさせたくない。

 

だから、少しでも「自分はできる」と感じる経験をしてほしい。

勉強でも、何でも。
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でも、何のために勉強するのか。

なんでも「なんで?」と尋ねてくるサトイモである。

いつか「なんで勉強しなきゃいけないの?」と尋ねられたときに、ハキハキ答えられるように、私のほうが勉強しなきゃいけない。

私の宿題だ。