3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

サトイモのがいこく

夫がセルビアから帰ってきて、2週間の自宅隔離を余儀なくされている。

とはいっても、2つの自宅を自分のクルマで往復するのはOKらしい。

なので、いつものようにウチで夜から朝まで過ごし、昼間はお姑さんの家でリモートワークで仕事をしている。

 

オリンピックのときに「穴だらけのバブル方式」と日本の水際対策が批判されていたが、夫は、

セルビアに比べたら日本はちゃんとしとうで。やりすぎちゃうかと思うくらい」

と褒めていた。

毎日2回、スマホに居所確認の連絡があり、GPSと画像でどこにいるか確認される。

もし連絡が取れなかったら5分以内に連絡し直さないといけないらしい。

とはいえ、2回目の連絡が終わったらスマホを家に置いて外出してもバレないだろうし、自宅から5分以内の場所だったらバレないだろうし、と抜け穴を探せばいろいろある。

ちゃんと管理できていると考えるか、ザルだと考えるか。

 

「がいこく」ってなぁに?

夫が家に帰ってきてから、サトイモは毎回、

「ぱぱ、きょうもがいこくにいってきたの?」

と尋ねるようになった。

「違うよ〜、ばぁばン家で仕事してたんだよ〜」

と私は笑ってしまうのだけど、本人は何が可笑しいのかわからないから、

「な〜んだ、ばぁばんちか」

くらいのものである。

時間間隔もまだまだだけど、距離感覚もまだまだ。

 

そういえば私が幼稚園児だったとき、外国=アメリカだったことを思い出す。

でも、Dr.スランプでツルリンちゃん一家がいたから、中国という国があることも知っていて、

「中国は外国?でも中国はアメリカじゃないし…、どうなってるんだ?!」

とすごく混乱した。

それに比べたら、サトイモはまだマシか。

 

今回、夫はトランジットでパリのシャルル・ド・ゴール空港を経由して帰ってきたそうで、

「パリなんて行ったことないから、空からエッフェル塔が見えて感動したわ」

とうれしそうに話していた。

エッフェル塔の画像を検索してサトイモに見せると、サトイモは「あっ!」と慌ててオモチャ箱から世界の名所の絵合わせカードを持ってきた。

「これでしょ!ペッペルとう!」

「そうそう!よく気づいたね」

ペッペルとう、という響きがかわいいので、私たちは誤りを正さないでおいた。

 

夫が不在中のある日、サトイモが私にこんなことを言った。

「ぼくもおおきくなったら、がいこくにいく。でもそうしたら、ままはひとりぼっちになっちゃうね」

何を言い出すか。

「どんどん外国に行きな。いろんなとこに行って、いろんなものを見て、外国に住んでもいいんだよ。ママのことは心配しないでね」

そう返答したけれど、サトイモは困ったような顔をして、

「ままだいじょうぶだよ、ばあばがきてくれるからね」

と私に言った。

お姑さんに来てもらってもなぁ、と苦笑い。

「ママは一人が好きだから大丈夫だよ〜。ていうか、ママも日本を捨てて外国に行きたきわ〜」

 

その後もサトイモは、

「おおきくなったらがいこくにいきたい」

と繰り返し言っている。

頼もしい。

その割に、

 

「えいごはきらい!」

だそうだ。

こどもちゃれんじEnglishのトライアルDVDさえ見る気がしないらしい。

がっかり。