サンタ悲喜こもごも
サトイモが1歳のクリスマスから、サンタさんはプレゼントを持ってくるようになった。
最初は音が出て光るパトカー。
2歳のときは、くもんのひらがな積み木。
サンタさんは来ていたものの、これまでサトイモはクリスマスの概念もなく、「サンタクロース」という人の存在も理解していなかった。
去年まで通っていたプレ幼稚園が教会付属の幼稚園で、アドベントや降誕劇などのクリスマスイベントをめちゃくちゃ本格的にやってくれたにもかかわらず。
そして、今年。
クリスマスを理解してるかどうかはともかく、サンタクロースがよい子にオモチャをプレゼントしてくれるということはわかるようになった。
そうすると親としてはシメシメだ。
「よい子にしてないと、サンタさんは来てくれないよ」
持続はしないものの、言われた瞬間の効果は絶大である。
サンタさんへの手紙
サンタさんの名前を出すと効果があることを知った夫は、サトイモが言うことをきかないとサンタさんの名前を出して脅した。
「そんなことしててええんかな?サンタさんが見てるで!」
言われると蝋人形のごとく固まるサトイモ。
けれど効果は持続せず、すぐに忘れていたずらをする。
棚の上によじ登ったり、テレビ台の上に登ったりして、夫に叱られる。
「パパ、サンタさんに手紙書くよ。悪い子やからプレゼント要りませんって」
言われるととりあえずやめるけれど、しばらくするとまた再開するので、
「もう決めた!今晩手紙書くからな!」
私が洗面所で髪を乾かしていると、サトイモが泣きながらやってきた。
「どうしたの?」
と尋ねると、
「まにあわなかった」
と言う。
まさかおしっこ?!と慌ててズボンを確認したが濡れていない。
「何が間に合わなかったの?」
「パパがサンタさんに、もうおてがみかいちゃったんだよぉ〜!」
両目から涙をポロポロ流しながら泣いている。
そういうことか。
私はぎゅっとサトイモを抱きしめて、
「大丈夫大丈夫! 手紙を書いたって、ポストに投函するまでは時間があるんだから。手紙はポストに入れないといけないって、サトイモも知ってるでしょう? だから、明日パパが出掛けるまでおりこうさんにしてたら、ポストに入れるのをやめてくれるかもよ?!」
とアドバイスした。
「わかった?」
と聞いたら、目をこすりながら、うん、とうなずいた。
翌日、サトイモが大人しくしていたので、夫はちゃんと、
「サトイモがいい子にしてたから、パパ、お手紙ポストに入れるのやめたわ」
となぐさめていた。
「でも、手紙は置いとくからな。いつでもまた出せるからな」
とあくまで脅しはやめない。
そうなると、サトイモとしては手紙がどこにあるのか気になって仕方がなくなった。
「パパ、サンタさんのおてがみどこにあるの?」
としつこい。
すかさず、
「パパはお手紙をパソコンで書くんだよ」
と私がフォローすると、サトイモは自分のオモチャ箱からこどもちゃれんじの「ひらがなパソコン」を持ってきて、
「パパ!サンタさんへのおてがみは、これでかいて!!」
と夫に渡した。
パソコンって名前だけど、手紙が書けるようなパソコンじゃないんだけどね、それ。
「にこにこのーと」開始
先月、発達支援教室の先生からこんなアドバイスを受けた。
「サトイモくんは、大好きなママから誉められるのが何より好きなお子さんですから、1日の終わりに1つでいいので、その日よかったことを伝えて誉めてあげてください」
どうせ誉めるなら記録に残しておいてもいいかも、とノートに書いていくことにした。
ひらがなで書いて本人に読ませれば、ひらがなの学習にもなる。
ノートの余白には1日ひとつ、クルマのキラキラシールを貼ってもいいことにした。
ノートが積み重なれば、振り返ったときに本人の自信にもつながるはずだ。
最初は「よかったことノート」だとか「ほめることノート」だとか呼称が定まらなかったけれど、本人が、
「にこにこのーとにしようよ!」
と自分で命名したので、名称が決まった。
意図していなかったけれど、これがクリスマスと時期が重なって、
「これをサンタさんに見せたら、良い子だってわかってくれるかもね」
という良い子証明ノートになってきた。
サトイモにとって、パパの手紙に対する命綱になっている。
さて、そこまでして楽しみにしているサンタさんなのだけれど、じゃあ期待しているプレゼントは何か。
「ぼくね、サンタさんにちえのわをたのんでるんだよ」
ちえのわ????
何かの間違いか思い込みかと思い、何度も何度も確認しているけれど、何回確認しても「ちえのわ」だと言う。
本当に本当に知恵の輪でいいの??
クリスマスにプレゼントが届いたときに、
「これじゃな〜い!!」
と泣きはしないか、それが心配で仕方ない今日この頃である。