3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録

神戸に住む40代波野なみ松の、育児と趣味と要介護両親の対応に追われる日々の記録。

復職1日目。

今日、とうとう職場復帰した。

ありがたいことに、約3年ぶりに会う職場の人たちは、すごく温かく迎えてくれている。

3年の間にいなくなった人も新しくやってきた人もいるけれど、ほとんどが顔なじみなのがありがたい。

ただやっぱり何かにつけて浦島太郎状態で、パソコンにログインするところからつまづいた。

その後も、電話を取れば内線の転送方法がわからないわ、文書を印刷してもプリンタがわからずウロウロするわ、ホチキスを外したあと芯を捨てようと思ってもゴミ箱の場所がわからないわ(3年のうちにオフィスにあるゴミ箱の数が極端に減っていた)、ちょっとしたことに戸惑ってばかり。

今、昼休みになってほっとしているところ。

 

サトイモは、今年度から幼稚園入園。

預かり保育が充実してる園だから、と思っていたら、入園まではお預かりできない、ていうか4月中は慣らし期間なので延長保育もできない、ということが3月半ばで判明。(判明というより、正しくは私が気がついた。)

そこから預け先探しにすったもんだして、今朝に至っている。

 

今日サトイモを預けているところは託児所のようなところ。

部屋が狭いので、サトイモが脱走しないか心配である。

朝別れるとき、泣きはしなかったものの、

「ママおしごといっちゃダメ!」

と困った顔をしていた。

かわいそうだけれど、試練だ。

寂しくて泣くとか、そんなことは我慢せぇ、と思うけれど、ケガをしたりさせたり、バイキンや怖い病気をもらったりしませんようにと祈るばかりだ。

まもなく育休明け

ヘルパー盗難事件について長々と書いているうちに、とうとう3月も下旬になってしまった。

プレ幼稚園も児童館のクラブもとっくに終わった。

3年間通った子育て広場ともお別れ。

 

まもなくサトイモは3歳のお誕生日を迎える。

と同時に、長かった私の育休が終わり、4月からは職場復帰だ。

サトイモは幼稚園入園だけれど、入園式までの預け先をどうするかとか、慣らし期間のお迎えをどうするかとか、課題が山積み。

 

まさに大事件だった盗難事件のことをちゃんと記録しておきたいけれど、落ち着くまでちょっと書く時間がとれない。

メモだけしておくと、その後まずケアマネジャを変えたことを書かないといけない。

ほかにも、向こうの弁護士と示談が成立したこと、検事と電話で話したこと、3月18日に公判に行ったこと、などなど。

会社の昼休みにコツコツ書けるかな。

 

解決済みの事件より、今は幼稚園!

Xデーがやってきた!

1月17日日曜日、私には警察から言われているミッションがあった。

それは、月曜日のヘルパーサービスをキャンセルすること。

ただ、事情については、ケアマネジャにもヘルパー事業所にも内緒にするようにとのことだった。

小島よしお警官が、

「月曜日、キャンセルできますか?」

と神妙に言う。

事業所から以前、

「家族が来る場合は原則ヘルパーサービスは受けられませんので、事前にキャンセルしてください」

と言われていたので、私が行くからと言えばそれだけでキャンセルできる。

それだけのことなのに、よしおったら心配性で、

「これまでキャンセルしたことがあるんですか?前列もないのに大丈夫ですか?」

と慎重で、私に対して演技指導が入った。

「『これでサービスをやめるわけではないのですが、月曜日、一日だけキャンセルしたいのです。また水曜日からお世話になりますから、今後ともよろしくお願いします』というふうに、怪しまれないように断ってください」

そんなクドクド言うほうが怪しいわ!!

 

結局、日曜日にヘルパー事業所に電話して、

「明日用事があって実家へ行くんで、すみませんがキャンセルさせてくださいね〜」

と軽く伝えたら、

「了解です、担当のスタッフに連絡しときます〜」

と、簡単にミッションは終わった。

 

昭和刑事によれば、月曜日に裁判所で令状を取って、火曜日には逮捕、という予定である。

火曜日はもともとヘルパー利用がないので、この2日が勝負だ。

 

月曜日の昼下がり、昭和刑事から電話がかかってきた。

「今、本人を呼んで任意で話を聞きよんやけど

ね。認めたら逮捕、いう流れですわ」

と言う。

どうやら無事令状が取れ、本人もすでに警察の取り調べを受けているようだ。

逮捕まで秒読みである。

火曜日と言っていたが、もう月曜日に済みそうだ。

加えて、

「ヘルパー事業所の所長を呼んで、カメラの顔の確認してもらいましてね。確かに宅間です、って認めました。たぶん所長さんから波野さんに連絡あると思いますんで、まあよろしくお願いしますわ」

と言った。

 

続々とかかってくる電話

さて、事業所がどんな態度でのぞんでくるのか。

当然、まずは謝罪。

こちらは、どういう態度でいようか。

弁護士の友達よしえちゃんから、

「本人に支払い能力がなければ、事業所を相手に訴訟する可能性もあるよね」

というアドバイスをもらっていた。

訴訟相手になるかもしれない、という意識で、慎重に話さないといけない。

 

だからといって、ヘルパー利用をやめたら、父の生活がめちゃめちゃになる。

別の事業所に変えるとしても、すぐには見つからないだろう。

しばらく利用は続けることになるのだから、敵対するわけにはいかない。

あなたたちに管理責任はありますよ!という態度を示しつつ、今後もよろしく、でもしっかりね、と釘をささないと。

 

しばらくすると、ヘルパーリーダーの増子さんから電話がかかってきた。

「今日娘さんがご在宅だということですが、何時に神戸へ帰られるか、時間を聞いてほしいと所長に言われまして」

と言う。

平然と予定を聞いてくるので、

「増子さんは、どこまで知らされましたかか?」

と尋ねると、

「いえ、何も…、急用だということしか…」

と増子さんは困っていた。

なんと、増子さんは事情を何も聞かされていなかったのだ。

所長から、実家にいるはずの私にアポを取るように言われて電話してきただけだった。

なんで何も教えてない人に電話さすねん!

しかも、なんで所長自ら電話してこぇへんねん!!

私はムッとなった。

「実は、私は今日実家にはいません。そして、所長さんに直接電話してくださいと伝えてください。増子さん、まずは所長から事情を聞いてください。知ったらひっくり返りますよ」

気の毒な増子さんは戸惑いながら電話を切った。

 

しばらく待ったけれど、所長からの電話はかかってこず、次に電話がかかってきたのはメガネ刑事からだった。

 

「先ほど、逮捕しました」

 

とうとう!

逮捕おめでとう!

 

「それで、警察においては、逮捕者が出ると新聞とかの報道に情報を知らせることになってるんですが、了承してもらえますか」

と言う。

「父の名前とか住所とか、被害者情報が出ないならかまいませんよ」

と答えておいた。

かまわないどころか、こんな悪いドロボーがいたことを世間様に知らせたいくらいである。

ただ、騙しやすい高齢者の一人暮らしがバレてしまうので、父の情報は絶対知られたくない。

新聞にのせてほしい、でも詳しく書かないで、と裏腹な気持ちだった。

 

それからまもなくして、事業所長から電話がかかってきた。

「このたびは、本当に、申し訳ございません…」

所長は消え入りそうな声で侘びた。

「なんで何も知らせてない増子さんに電話さすんですか」

と私が先になじると、

「警察の方から、いきなり私から面識ない波野さんに電話するとビックリされるから、ふだん担当している増子から連絡したほうがいいと言われまして」

と、やはり消え入りそうに言い訳をした。

ビックリするか!

昭和刑事の入れ知恵だろうか。

警察の余計なおせっかいは、やっぱりどっかズレている。

とにかく、事業所は父と私に謝罪したいというので、翌日火曜日に実家で会うことになった。

 

私が電話をとるたび、サトイモがそばで、

「だあれ〜!だあれ〜!パパ?ばあば?じぃじ?だあれ〜!」

と叫んでいる。

油断をすると、背中に跳び乗ってきて、後ろから首を締めてくる。

大事な話をしてるのだからやめてほしいが、サトイモは私が電話しているのが気に入らない。

自分が無視されていると思っているのか、とにかく私の気を惹きたくてしょうがないのだ。

私は耳をふさぎながら、サトイモから逃げて隣の部屋で電話したりするのだけど、電話が終わって戻ってみると、サトイモが洗濯物を散らかしたり引き出しの中のものをひっくり返したりと、部屋の中は惨憺たる有様だった。

 

こいつはヘルパー事業所との話し合いには連れていけないな、と再びサトイモをお姑さんに預けていくことにした。

警察での長い1日の終わり

カメラ映像以外に有力な証拠品となったのが、オトリに使った10万円の残り8万円とそれが入っていた銀行封筒だった。

もちろん、10万円を引き出しに入れる前に画像におさめ、番号を記録していたのも大きかった。

当然、盗まれた2万円のシリアル番号がはっきりわかっている。

8万円と銀行封筒も、机の上に並べて指をさして写真を撮った。(何度も書くけど、指をさす必要ある????)

8万円と封筒を証拠品として出す書類も書いた。

封筒は、引き出しに入れるときも出すときも私だけにして、夫や父が触らないようにしていた。

つまり、私以外に触ったのは犯人だけなのだ。

 

供述調書を取る間に、私の指紋を採る作業も行われた。

「指紋を採りたいんですけど、かまわないですか?これも捜査上大変重要なので…」

とメガネの刑事さんは非常に恐縮している。

こっちは、

「犯人と私の指紋しか出ないはずです!どうぞ調べてください!」

とやる気満々だったので、恐る恐る言いに来たのが意外だった。

私のような人間が例外で、指紋は重要な個人情報だから嫌がるのが通常で、警察も慎重に扱っているのだろう。

 

メガネ刑事が持ってきたスタンプ台に、言われるとおりに指を回すようにつける。

指には色がつかないけれど、用紙につけると黒い指紋がとれた。

おお、手が汚れない!

一本一本、回すように採ったあと、指を4本並べて採ったり、手のひらを採ったりといろんなバリエーション。

重ならないようにつけるのに気をつかった。

私のように女性で小さめの手でさえギューギューなんだから、男性で大きい手の人だと苦労するに違いない。

もうちょっと広い用紙にしたらいいのに。

ていうか、改善するなら、紙を大きくするより手が汚れないインクより、デジタル化だ。

またドラマの話だけど、FBIだったらデジタルスキャナーとか使ってた気がする。

こういうところでも、日本のデジタル化がまだまだなんだなと思う。

 

メガネ刑事に、

「2万円が犯人の家から出てきたら、返してもらえるんですか?」

と尋ねると、

「もちろん犯人に、『盗ったもんは返せ』と言うことはできますし、持ってるならそう言います。ただ、理解してもらいたいんは、僕らができるんは犯人を捕まえることだけなんです。申し訳ないですけど、僕らにお金を返させる強制力はないんです。お金を返してもらうには、示談とか民事裁判とかで争ってください。ほんま申し訳ないですけど、僕らにはどうしょうもないんですわ」

と言った。

それは弁護士のよしえちゃんに聞いてわかっていたけれど、

「えぇ~…」

と肩を落としてしょんぼりして見せた。

一番してほしいところが抜けてるんだよなぁ…。

結局、どうやればお金が返ってくるのか、戦いはまだまだこれから、入り口にすぎない。

 

供述調書完成!

日付が変わるころ、ようやく供述調書が完成した。

小島よしお警官がパソコンで作成したものをプリントアウトして、それを夫と私が見ている前で読み上げる。

「間違っている点、少しでも気になる点があれば言ってください。もちろん、誤字脱字も指摘お願いします」

小島警官がそう言うので、

「あの、先ほどの『ベットメイク』ってところ、『ベッド』じゃないですか?」

と指摘すると、小島警官はムッとして、

「ヘルパー記録票の記載が『ベット』になってるんで、そこに合わせたんですけど!」

と反論する。

不機嫌そうだったので、

「それならいいです。すみません、誤字脱字もチェックって言われたんで、言っただけです」

と私はなだめるのだけど、長時間勤務の疲れか小島警官もムキになって、

「いえ、波野さんの供述ですから、気になるところはどんどん指摘してもらってかまいません!」

と言う。

お互い面倒くさい性格をしている。

そっちがそう言うなら…、と、そのあとも私が「てにをは」だとか動詞の使い方だとかを指摘したが、小島はその都度ムッとして、言い訳をしては直さないのだった。

「あの、ここ、『株と定期を下ろし』っておかしくないですか。『株と定期預金を解約し』にしてはどうですか」

「おかしいですか!?意味はわかりますよね!?そんな引っかかります!?」

「すみません、指摘してと言われたものですから指摘しただけです」

「いいえ!指摘してください!」

本人たちはイライラする。しかし客観的にはコントのような状況が続いた。

 

あとで夫が言うことには、

「あれは行送りを嫌がってたんやで」

ということだった。

「あそこで修正して文字数が変わったら、行が変わるやんか。行送りが面倒くさいんや」

供述調書は、罫紙の中に文字が入っているというスタイルで作成されていた。

私の職場でも、かつてこのスタイルを使わされていた。

Microsoft Wordで表に文字を入れて文書作成するのは、すごく面倒くさい。

例えば下記のようなかんじ。

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おそらく、小島警官はこんなふうに供述調書を作成していて、行送りが嫌で修正を渋っていたのではないか、というのが夫の推理だった。

「あんだけ長時間がんばってくれたんやから、正しい文法かどうか知らんけど、意味が通じるんやからええやんか」

と夫は言う。

「指摘してって言われたから言っただけなのに…」

と私は納得がいかない。

「だったら最初から、『細かいことにはこだわらないで』って言ってくれたら、私だって何にも言わないのに!」

「そんなん、言わずもがなやんか」

私が空気を読まなかっただけで、私以外はみんな「細かいことにこだわらないで」というのが本音だった。

だって、時刻は0時をとっくにまわり、警察署を出たときはすでに午前1時半になっていたのだから。

 

「今後、何か連絡があるんですか?また警察署に来ないといけないんですか?」

と小島警官に尋ねると、

「来ないといけないかどうかはっきりしたことはわかりませんが、必要があれば刑事課から連絡があると思います」

と言う。

私は今後どういう段取りがあって、どういう心づもりをしておけばいいのか知りたかったのだけれど、小島警官はそこは刑事課の担当だという。

誰が刑事課だとか、小島警官が何課だとか、教えてもらってないからわからないんだけどなぁ、と思っていたら、帰り間際、昭和刑事が挨拶にやってきて、自分がこの件の担当の橋口だと名乗った。(もちろん仮名!)

警察の人の名前を初めて聞いた。

長時間お世話になった小島警官でさえ、供述調書にサインするとき、これを作成した警官として記載があって初めて名前を知ったのだ。

あまりに名乗らないので、警察官というのはみんな匿名で仕事をするのかと思ったくらいなので、昭和刑事も名前があるんだなぁ、と当たり前のことを思った。

 

昭和刑事は、

「明日は日曜日で裁判所が開いてないんで、月曜日、令状が取れたら、遅くても火曜日には逮捕できるかなぁ、いうところですわ」

と、相変わらず夫に言った。

「ご連絡はご主人にしたらええですか?」

と言うので、

「いえ、私に!」

と私が手を挙げる。

夫にしても、「仕事中電話かけてこられたら困るわ」ってなもんである。

 

父に話を聞きに行った警官が戻っていて、出口で見送ってくれた。

「お子さんは2歳ですか。かわいいでしょう。お父さんお母さんがいなくて寂しい思いをしたでしょうから、早く帰ってあげてください」

とにこやかだった。

夫がお姑さんにLINEで確認したところ、サトイモは待ち疲れて10時くらいに寝たらしい。

まさかこんなに遅くなるとは思わなかったから、普通の服の着替えしか持たせていなかった。

こんなことならパジャマも用意しておくんだった。

 

それにしても、刑事さんたちは何時まで仕事をするんだろうか。

明日の日曜日も捜査は進むんだろうか。

どんなことを調べるんだろうか。

その間にも犯人が盗んだお金を使い込んでいたら嫌だな。

帰りの車の中でそんな話をしながら、私たちは神戸に戻った。

長い長い1日だった。

警察の不思議な生態

供述調書をとっている間も、ほかの刑事や警官がちょくちょくやってきては私や夫に質問をしたり何かを頼んだりした。

父と母の預金通帳を机に並べて指をさして写真を撮ったり(これ指をさす必要ある?)、証拠品を預けるための書類にサインを書いたり、という調子だ。

 

昭和刑事は夫と雑談しつつ、

「それにしても、なんでお義父さんはこんなにお金をおろすんかなぁ?」

と尋ねている。

夫に聞いたところで、夫だって「なんでそんなに現金おろすねん!」と腹を立てている一人なのだから明確な答えなんてあるわけがないが、

「毎日家にいて、頻度の感覚がマヒしてたんでしょう」

などと適当に答えている。

 

ふいに、昭和刑事が私に話しかけてきた。

「宅間と会ったことはあるんですか?」

「いいえ、一度も」

「お父さんはカメラの映像を見て、宅間かどうかわかるんかいな?」

「いいえ、父はヘルパーさんの顔と名前が一致しないって言ってました」

「3年も来とうのに?」

「昔から人の顔と名前が覚えられない人なんです」

 

父は致命的に人の顔と名前が覚えられない人だ。

親戚ですら覚えられず、正月などの集まりの際には、

「あれは弘樹兄ちゃんのお嫁さんの亜希子さん」

と横でこっそり耳打ちをしないといけないくらいだった。

毎日ほとんどの時間テレビを見ているくせに、SMAPのメンバーは誰一人知らなかったし、藤原紀香を見て、

「これが安室奈美恵か」

とつぶやいたくらいである。

 

すると、近くにいたメガネ刑事が、

「あの年代では覚えてなくても無理ないんちゃいます? ヘルパーは複数人おるし、みんな制服着て、歳も似たり寄ったりの女性でしょ。特にここ1年はマスクをつけているからなおさらですわ」

と助け舟を出してくれた。 

「ほんなら、誰やったらわかるかなぁ。ヘルパーステーションの事業所長に聞いたらわかるか。事業所長呼ぶしかないか」

昭和刑事が気にしているのは、映像の女性が確かに宅間というヘルパーなのかを誰かに確証してもらいたいということだった。

映像の女性はヘルパーの制服を着ているし、記録表にサインしているヘルパーが宅間であることは間違いないと思うけれど。

 

普段ニュースを見ていて、いつも気になっていたことがある。

火災現場で焼死体が見つかって、そこの住人が行方不明となっているときに、

「警察は住人の行方を調べている」

ということがある。

性別も年代もあっているなら、

「死体、絶対その人だよ!間違いないよ!」

と思ってしまうけれど、

「絶対、ほんとにその人なのかどうか」

という断定ができないとダメなのだろう。

シャーロック・ホームズだったと思うけれど、別人の遺体を火災現場に置いて雲隠れする住人の話もあったっけ。

ホームズになぞらえると、別人が宅間さんになりすまし、彼女が家事をしている間に現金を盗んでいく泥棒がいるということになる。

めっちゃミステリー!!

 

しかし、あれは本当に宅間容疑者なのか問題はすぐに解決した。

夫が突然、

「あ、ネットに顔写真出てる!」

と言い出した。

ヒマつぶしに、ヘルパー事業所のホームページを見ていた夫は、事業所の広報誌のバックナンバーがアーカイブとして残っていることに気が付いた。

広報誌では、新人ヘルパー紹介コーナーがあることも。

そこで、宅間容疑者が通い始めたころの広報誌を見てみると、ばっちり新人ヘルパーとして顔写真つきで掲載されていたのだ。

「好きなテレビ番組は刑事ドラマ」だというのが笑かす。

「休日の過ごし方は孫と遊ぶこと」ということは、子どもも孫もいる人なわけだ。

おばあちゃんが泥棒だなんて、孫が泣くぞ。

ちなみに、夫は先にFacebookを検索したみたいだけれど、宅間容疑者のアカウントは見つからなかったそうだ。

 

「ご主人、ええのん見つけてくれましたな! おい、写真撮っといて!」

昭和刑事がメガネ刑事に指示を出す。

「写真なんか撮らなくても、ネットに出てますよ。誰でも見れますから」

と夫が言うと、

「おい、うちインターネットが見れるパソコンはあったか?」

と昭和刑事がビックリするようなことを言い出す。

「いいえ、たぶんなかったと思いますけど」

とさらに驚きの事実が明かされる。

日本の警察ぅ!!!!!

 

サイバー攻撃から身を守るにはネットワークを遮断することだ、という理屈はわかるけれど、2021年にネット環境がない団体があるとは。

警察には警察の、独自のデータベースやネットワーク環境があるんだろう。

それでも、海外ドラマ『クリミナルマインド』ファンの私としては、FBIと比べて日本は原始時代にいるような感じがしてしまう。

 

警察にはネット環境がないということで、結局夫のスマホ画像の写真を撮ることとなった。

夫は左手にスマホを持ち、右手でそれを指さして、笑顔で撮影されている。

まるでスマホのCM。

あとで尋ねると、

「Webページを写真に撮るかぁ?しかも指ささなあかんかぁ?」

と考えだすと、おかしくておかしくて、笑わずにいられなかったらしい。

私たちには奇妙で仕方ないことだが、警察の人たちはそれが日常なので、なんとも思っていないらしい。

慣れは怖いよ。

 

それからしばらくして、また次の案件。

父に下記の2つの質問をしたいという。

1.カメラを設置した1月10日から今日までの間、友人や親戚等、ヘルパー以外の訪問者がいなかったか。

2.ヘルパーに金銭を貸したことがないか。

 

確かにその2つについて、私は父に尋ねたことはなかった。

1の可能性はすごく低いし、父のポリシーとして金銭の貸し借りは絶対しないのを知っているからだ。

ただ、宅間容疑者を逮捕したときに、

「貸してもらっただけです」

と言い訳する可能性だってある。

父本人が「絶対貸してない」ということは重要だ。

 

簡単な質問なので電話でも済みそうなものだけれど、警察は直接会って確認したいという。

「お父さんは午前中は寝てるんですよね? 今はまだ起きてるやろか?」

時刻はすでに22時半を回っていた。

急いで父に電話をかけ、

「これからお巡りさんが行くからね」

と連絡する。

普段夜中まで起きている父だが、

「なんや。今風呂上がって、これから寝ようと思てたのに」

とこの日に限って早寝をしようとする。

昼間警察が大勢つめかけるような非日常があったから疲れたのかもしれない。

質問内容をあらかじめ伝えると、どちらの問いに対しても、

「ない。あらへん」

と簡潔なものだった。

そのあと父に聞いた話だが、制服の警察官が2人来たという。

「何聞かれたんやったかな。たいしたこと聞かれへんかった」

と言うので、本当に簡単な質問だったんだろう。

 

時刻はとうとう真夜中を超えた。

私の身体も芯から冷え切ってしまったが、警察の皆さんは室温のことなんて気にする暇もなく働いている。

私が、

「皆さん私たちのために、こんな遅くまで残ってくれてるんですか?」

と尋ねると、そのときの刑事は、

「もともとの勤務ですけどね」

と答えた。

夫にその話をすると、

「そんなわけないやろ。その人は気ぃ遣ってそう言うてくれたんや。この事件がなかったら、こんな夜中まであんな人数働かんやろ。たまたま勤務予定の人もおるかもしれんけど、少ないはずや。ほかの人はみんな俺らのために働いてるんやで。警察いうんも、ほんま大変な仕事やで。ブラックもええとこや」

と言った。そして、

「細かいこと言うとかデジタル環境が遅れてるとかバカにするけど、みんな一生懸命やってくれてるやんか。文句言うたらバチが当たるで」

と私に諭す。

バカにしてないし、文句も言うてないし!

「お義父さんも、警察のこと『ポリコ』って呼ぶのやめなあかんわ。こんだけ迷惑かけたんやから」

夫はこの件以来、やたらと警察びいきになった。

ロングロング供述調書

まだまだ1月16日は続く。

警察署に着いたときには、あたりはすっかり暗くなっていた。

署まで来てくれとは言われたけれど、誰を訪ねればいいんだろう? 警察の人たちは誰一人名前を名乗らなかったしなぁ、と心配していたら、玄関のドアを開けた瞬間、机に座っていた署員たちがみんな、あ、来た来た、という雰囲気になった。

そのうちの一人が2階の部屋に案内してくれる。

 

通された部屋は大会議室で、デコラ机がいくつも並んでいた。

テレビドラマとかで、たくさんの警官に捜査方法なんかを説明するような部屋だ。

壁には、額に入れられた署訓や警察官の心構え、事件を解決したときの表彰状が飾ってあった。

書道で書かれた、

「初動は警察の命」

がカッコいいではないか。私の最初の通報では何もしてくれなかったけど。

 

その広い会議室の後ろ2、3列に、家へ来てくれた人たちがいて、証拠品が入っている黄色の袋や借りていった資料などが置かれていた。

うしろの隅にパーティションで区切られた一角があって、その中にパソコンとプリンタなどが置いてある机があった。

机には小島よしお警官が座っていて、パソコンに向かって何かを作成している。

仮設の捜査本部ってかんじ。

 実はそのパーティションが供述調書ブースだった。

その後何時間も、私は小島警官と向かい合わせで座り、話をし続けることになった。

 

ただ、徹頭徹尾、警察の皆さんは自分たちが何をしているのか私たちに教えてくれない。

今から供述調書を取ります、という言葉すらなかった。

ただ質問をするので答えてください、お話を聞かせてくださいというだけ。

また、供述調書には書き方というかセオリーがあるみたいで、小島警官はそれにそって私に質問をしてくるのだけれど、こっちはその意図がわからないので、なんでそんな質問をされるのだろう?と戸惑うことが多かった。

こっちはとにかくお金を盗まれた話がしたいのに。

 

だいたい、最初の住所表記からつまづいた。

「うちは『番地』じゃないんです。『1の111』っていう住所なんです」

と私が主張しても、

「『の』じゃないはずです。『1番地111』としますが、いいですか」

という。

こっちはもう45年もそこの住所を「1の111」としてきたのだけど、そっちが「1番地111」だというなら好きにすればいい。

なんなら登記簿とかで正しい表記を調べたらどお?と、細かいところにこだわられてちょっとふくれっ面になる。

 

小島警官の供述調書の組み立てはだいたいこんなかんじだ。

1.現在の家族状況

2.父の生活状況と我が家の経済状況

3.ヘルパーを入れた経緯

4.事件を認識した経緯

5.カメラを設置して犯人を特定した経緯

 

事件の前段階となる、1と2がとにかく長かった。

「お母さんはなんで入院しているんですか」

という質問ひとつとっても、うちの母の場合は簡単じゃなかった。

大脳皮質基底核変性症という難病で2009年から徐々に進行してきた病気だから、例えば〇月にガンが見つかって〇月から入院しています、というような明確な答えにならない。

「入院まではお父さんとお母さんの2人暮らしだったんですか」

と言われても、母は平日ずっとショートスティで施設にお泊りをしてもらっていたので、イエスとは答えられないのだ。

母の病気が進行して介護サービスを使うようになったこと、父と2人では生活がままならなくなってショートスティをするようになったこと、私が週末は帰って面倒をみていたこと、私が妊娠して思うように介護できないようになった矢先に母が救急車で運ばれたこと、など、すごく前から順を追って話すしかなかった。

小島警官は家族状況を把握するために母について質問するものの、どうまとめればよいか頭を悩ませていた。

挙句、母の病気については詳しく書かず、入院しているという記述だけに省略された。

めちゃめちゃ長い時間詳細に話したのに!

まあ、事件とはあまり関係ないから省略でいいと思うけど。

 

家族の状況以上に細かかったのが、父の経済状況と生活状況だった。

小島警官が書きたかったのは、

「これくらいの財産を持っている人で、年金はこれくらい入ってきてて、でも月々これくらいしか使ってなくて、でも今の残高これくらいっておかしいでしょ?」

ということで、私もそれには賛成なのだけれど、とにかく細かい。

月々何をどれくらい使っているかを詳細に書いていく。

日用品や食費はもちろん、電気代、水道代、ケーブルテレビ代、NHK代、電話代、新聞代、葬儀屋の互助会費、ガソリン代、散髪代、などなど。

「えっ、新聞代って4,400円もするんですか!」

意外なところで新聞代に食いつく小島警官。

「どこの新聞ですか!?読売!?巨人ファンでもないのになんで読売なんですか?うちは以前神戸新聞でしたけど3,600円でしたよ!」

これがもし13紙も新聞をとっているプチ鹿島だったら、新聞代の高額さにどれだけ仰天されることだろう。

私もまた必要ないのに、最初はうちも神戸新聞だったけど配達員ともめて…とか余計な話をするから、供述調書は一向に終わらなくなっていく。

 

21時過ぎまで、父の生活状況の話をしていた。

少し休憩となったが、調書はまだまだ続く。

広い会議室は底冷えがして、足が冷えてしょうがなかった。

夫が近くのコンビニで買ってきてくれたカフェオレもすぐに冷めてしまった。

一緒に買ってきてくれた使い捨てカイロが唯一の暖房器具。

 

小島警官は、

「長くなってすみませんね。ただ、これが通常の事件だったらこんなにやらないですよ。本件は2万円の事件です。でも、背景には1,600万円もの被害が隠れている大事件だから、それも含めて書いているんです。だからもうちょっと辛抱してくださいね」

と私に言った。

細かいとこにこだわるとか話が長いとか、私もつい意地悪を書いたけれど、小島警官が丁寧に話を聞いてくれて、本気でうちの家の事情も理解しようとしてくれているのには感謝しかない。

本当に真面目な人なんだ。

小島警官はさらに言った。

「今回のカメラの設置は百点満点ですよ。それに、データや記録を用意して、質問にもちゃんと答えてくれている被害者の方なんてなかなかいないです。こうやって証拠が出て、我々警察が動けるようになるのって、同じような事件が100件あったとして1件くらいじゃないかと思います。氷山の一角ですよ。警察の歯がゆいところです。せっかくこれだけ頑張ったんですから、絶対犯人を捕まえましょう!我々も全力でやりますから」

 

私はただただ、

「よろしくお願いします」

と頭を下げた。

長い話になってしまった

1月16日は想像以上に長い一日だった。

お姑さんのところで昼食を食べたあと神戸を出発して、実家で隠しカメラの映像を確認して、午後4時に警察が来て。

それで終わりかと思ったら、実はそこからが長かった。

昭和刑事は何度も、

「それで、カメラをつけたんは何日ですか?」

と私たちに尋ね、内心、「さっきも言うたやろ!メモくらい取れ!」とツッコミながら、

「1月10日です!」

と答え、一番に到着した小島よしお似の警官は、その横で私たちが作成した資料やヘルパー記録を見ながらずっと何かを書いていた。

昭和刑事は私たちに聞き取りをしながら、ときどき小島警官やメガネ刑事に指示を出す。

「おい、とりあえず2万の件でいっとけ」

そしてまた、

「えーと、カメラつけたんはいつでしたっけ?」

と尋ねるのだった。

 

私たちは、カメラ映像データはもちろん、盗られる前に撮影した1万円札の画像、Excelで作成したヘルパー記録データや想定被害金額データなど、データとして渡せるものは全部渡すつもりでいたし、実際に、

「これらは全部データでお渡しします」

と言ったのだけれど、不思議なことに彼らは折にふれ、

「これ印刷できますか?」

と尋ねてくる。

「ここにはプリンタがないので今は無理です。全部データでお渡ししますんで、好きなようにプリントアウトしてください」

と言っても、何かをパソコン上で提示するたびに、

「印刷は…」

と言うのだ。

昭和刑事だけじゃない。小島よしおまでその調子である。

もしかして、データで渡したらダメなのかしら、と心配していたら、メガネ刑事がジップロックにいっぱい入ったUSBメモリを持ってきた。

よかった、警察でも一応それくらいのことはできる。

 

昭和刑事が、「カメラつけたんはいつ?」以外に繰り返し口にした言葉は、

「一人の人間を裁くわけやから、そう簡単にはいかんのですわ」

ということだった。

私たちの、

「早くこの女を捕まえてください!」

という、はやる気持ちを抑えたかったのだと思う。

なので、2階の引き出し以外にも、食器棚の引き出しに入れていたお年玉も間引きされたことや、「30万円が貯まる貯金箱」もなくなっていることも伝えたのだけれど、

「まずは証拠があるこの2万円の件だけでいきます」

と言うのだった。

事件は、いわゆる5W1Hがないと成立しないという。

 

母が何年もかけてコツコツ500円玉を入れ続け、ギチギチの満タンになっていた30万円貯金箱。

カメラを設置しにきたとき、「そういえば!」と思い出してテレビ台の下を見たら、案の定なくなっていた。

私も父も、どこを探しても見当たらない。

もちろん、被害額にはこの30万円もカウントしたけれど、いつ消えたのか、これも宅間容疑者が持ち去ったのかどうか、何も証拠がないだけに、警察では取り上げてもらえなかった。

 

介護サービスの仕組みからですか?

3話目からだけど、宮藤官九郎脚本のドラマ『俺の家の話』を見ている。

能の家に生まれた長瀬智也が家出してプロレスラーになって、父親の西田敏行が介護が必要になって家に戻る話。

能、プロレス、介護と情報盛りだくさんで、クドカン天才だなぁ、とつくづく思う。

私が毎週楽しみに聴いているラジオ番組『東京ポッド許可局』でプロレスファンのプチ鹿島がプロレスの描き方について誉めていて、

「プロレスのディテールがちゃんとしてるということは、介護についての情報も信頼できる」

というようなことを言っていた。

なるほど、こういうドラマでもないと、介護に縁遠い人たちが介護サービスについて知る機会はあまりないのだろう。

www.tbs.co.jp

 

警察に事情を話すとき、彼らが介護サービスの仕組みがどうなっているのか知らない点が若干ネックだった。

「それで、どういう経緯でこのヘルパーを使うようになったんですか。なんで複数人が来てるんですか」

いやいや、個人で選んでるんじゃないんです。

ヘルパーステーションのスタッフがやってくるだけで、スタッフのシフトをこちらが決めるわけにはいかないんです。

そのヘルパーステーションを選んだのは、ケアマネジャが勧めてくれたからで。

ヘルパーステーションとケアマネのいる居宅介護支援事業所は別の事業所です。

そのケアマネは前のケアマネが辞めるときに勧めてくれた人です。

前のケアマネは…、そこまでいります?

 

「週5回で、朝と昼と2回来ている日もありますね。来ない日もありますが、なんでですか?」

朝はゴミ出しを手伝ってもらうからです。

スケジュールはケアマネさんが月ごとに決めてて、ケアプランといって計画が立てられてて、それに沿って内容が決められてて…。

 

そもそも介護サービスというものは、要介護度によって利用制限があり、担当のケアマネジャがケアプランを作成してスケジュールを決めるものだ。

訪問介護にも、身体と生活援助があって、うちの父は生活援助(いわゆる家事)だけをお願いしているのだけど、それには利用制限がある。

なんで週5しか来ないのかと言われても、それが父の上限だからで、介護制度では制限があるというしかない。

「事業所の都合で休みなんですね」

ちがーう!

違うけど、そこを警察に理解してもらうのは面倒くさくて、もうスルーしておいた。

昭和刑事も小島警官も、たぶんケアマネが何なのか、理解してないままだったと思う。

彼らが『俺の家の話』を見てたら、荒川良々だよって教えてあげられたのに。

 

一通りの話が終わると、あとからやってきた警察官が黄色いプラスチックバッグを出してきて、

「これお借りしていいですか」

とヘルパー記録などを入れて持ち出していった。

黄色い袋は証拠物品を入れる専用袋で、思わずこっそり写真に撮りたい!と思ったけれど、撮ってるところがばれると怒られそうなのでやめておいた。

これから皆さん署に戻るという。

これでサヨナラ、おしまいかと思ったら、

「我々は先に署で待ってますので、ごはんでも食べてゆっくりしてから署に来てください」

と言うのだ。

実は、これからが本番の供述調書作成で、これまで話をしたことは事前打ち合わせでしかなかった。

 

警察の皆さんが帰る際、玄関を見ると同じ黒い靴が何足も並んでいた。

「靴までが制服なんですか?」

とこっそり手前にいた制服警官に尋ねると、

「支給される靴があるんですけど、履きつぶしたら自分で買います。そこの靴の半分は違うやつですよ」

と言う。

パッと見、全部同じデザインに見えるし、だいたいサイズも似たり寄ったり。

「よく間違えないですね。私だったら他人のを履いて帰りそう」

被害者にそんなところを感心されても、と苦笑いの警官。

 

彼らが帰ったあと、私と夫は警察署へ向かうこととなった。

時刻は午後6時ごろ。

「ごはんでも食べてってことは、まだまだかかるんかな…」

夫がお姑さんに連絡して、サトイモに夕食を食べさせてやってほしいと頼む。

お願いするまでもなく、すでにご飯は食べたとのことだった。

 

ごはんといっても、私はなんだか興奮して食べる気になれない。

途中にあるローソンに寄って、夫だけがパンを買って車内で食べた。

いつもなら、私が食いしん坊で食べたがり、夫は自制するのが私たちのパターンなんだけど、このときばかりは違った。

「実は俺、隠しカメラがちゃんと動いとうか心配で、この一週間食欲がなかってん。ちゃんと撮れとって安心したら、やっと腹が減ったわ」

夫は珍しく総菜パンにがっついた。